毎日新報 2003年02月12日朝刊大阪版
ダイオキシン:
大阪・松原で大都市平均を上回る 市民団体調査


 大阪府松原市天美北地区で採取した松葉から、大都市圏の平均を上回るダイオキシンが検出されたことが11日、市民団体の調査で分かった。この数値は全国的にも上位に入るとみられる。さらに大気中の濃度を試算すると、国の環境基準を超えると推定されている。検出されたダイオキシンの化学的性質は焼却炉から排出された場合の特徴を示しており、同地区東側の大阪市環境事業局の一般ごみ焼却場「平野工場」からの排気が汚染源とみられるという。

 5町会の「天美北連合会」(住民約3000人)と市民団体「天美北環境を考える会」(松下美千代代表)が昨年10月に調査した。東京の民間研究機関「環境総合研究所」を通じてカナダの分析機関で測定したところ、平野工場から700メートル〜1.2キロにある同地区で松葉1グラム当たり5.6ピコグラム(ピコは1兆分の1)を検出した。

 環境総合研究所によると東京、大阪南部、千葉の平均値は同3〜5ピコグラム程度。同研究所が公表した01年度の全国105地点の調査結果と比較すると、天美北地区の数値は上位1割以内に入る濃度に該当する。

 さらに松葉調査結果から大気中の濃度を試算すると、1立方メートル当たり0.62〜0.7ピコグラムと推定された。これは国の環境基準(同0.6ピコグラム)を上回る。

 平野工場は71年から稼働し、4月からは西側に建設された新工場が本格稼働する予定。地元住民側は大阪市に、新工場が排出するダイオキシン類の監視強化と、現工場解体の際に慎重に作業をすることを求めていく。 【大島秀利】

●適切な運転管理に努めたい

 大阪市環境事業局の話 平野工場の(煙突での)排気中のダイオキシン類濃度は法律の基準を下回っている。今後とも適切な運転管理に努めたい。

[毎日新聞2月12日] ( 2003-02-12-03:01 )