下野新聞 2002年3月3日 |
松葉で大気中のダイオキシン類濃度を測定しようと上三川町と住民らが実施した調査結果が二日までにまとまり、町内の年間平均濃度(単位:ピコグラム/立方メートル)は0.46と推計されることが分かった。ダイオキシン類対策特別措置法に基づく調査方法とは異なるが、全国平均0.15の3倍となった上、県と宇都宮市の定点観測値よりも高かった。
国の環境基準0.6は下回っているものの、町は「来年度も引き続き松葉から濃度を調べ、必要があれば原因の特定に努めたい」と調査を継続する方針。松葉調査で一自治体全域の濃度を検出したのは県内で初めて。 測定ボランティア「くろまつ」のメンバーが昨年11月、上三川町内32ヶ所から松葉計1600本を採取し、町がカナダの民間分析機関に依頼。 二年葉の松葉が蓄積したポリ塩化ジベンゾフランなどのダイオキシン類を分析し、大気中の平均濃度に換算した結果、推計で0.46という数値が出た。
県環境管理課によると、2000年度の全国平均は0.15。同特別措置法に基づき県も10ヶ所、宇都宮市は7ヶ所で定点観測しており、同年度の県内の濃度は0.31〜0.09、宇都宮市内は0.33〜0.12だった。県・同市ともデータは年4回、計4日間の平均で出している。 行政の調査方法は、モーターの吸い取り口にろ紙を張って大気を吸引し、付着物を分析する。全国規模で松葉調査に取り組む「環境総合研究所」(東京)は、「わずか四日間の平均データと、長期間のダイオキシン類を取り込んだ松葉を比較すれば精度の違いは明白だ」と指摘する。
上三川町生活環境課は、「クリーンパーク茂原周辺の大気濃度は、0.2程度で影響はないと推定できる。焼却炉を持つ業者の指導や野焼きの禁止を徹底させたい」とコメントしている。 「くろまつ」の同町ゆうきが丘、会社員大野恒夫さん(41)は「思っていたより高い数値で、詳しい調査が必要だ。周辺自治体でも松葉測定を検討してもらいたい。」と訴えている。
写真:松葉を採取するボランティア団体のメンバー(昨年11月10日、上三川町)