参議院予算委員会 2002年3月25日
厚木基地に隣接する産廃焼却施設等の接収
に関連する質疑速報


 以下は、2002年3月25日に参議院予算委員会で行われた厚木海軍飛行場内に隣接する産業廃棄物処理業者、エンバイロテック社(旧神環保社)への日本政府の対応に関する質疑の速報(概要)である。

福島瑞穂議員
財務大臣よろしくお願いします。エンバイロテックへの補償問題ですが、神奈川県の産廃処理会社エンバイロテック焼却施設に、防衛庁は撤去のために51億円、ダイオキシン排出炉への撤去に○○億円、解体費用17億円を、しかしそれぞれの費用算定根拠は明らかにされておりません。詳細の内訳を公開していただきたいのですがいかが。

中谷防衛庁長官
昭和37年に中央公共用地の取得にともなう損失補償基準、に基づき、既存焼却炉に変えて基本的に同規模の施設を設置した場合を想定しまして
1.施設の補償
2.休業中の人件費補償
3.その他の補償、
ということでリース契約物件解約損害、付属建物新設費、新設アセス費等で適正に算出したものでありまして、総額51億6千万円となっております。

福島議員
 他の産廃施設でこのように政府から補償金が払われ、解体撤去された事例はあるのでしょうか

環境省飯島廃棄物部長
お尋ねの国費で補償した事例を環境庁として他には把握していない。

福島議員
この産廃処理施設は法令違反があったのでしょうか。

飯島部長
当該焼却炉はH11年7月に日米共同モニタリングを実施いたしまして、その結果、厚木基地周辺で環境濃度を大幅に超過する高濃度のダイオキシン汚染が明らかになりました。これを受けて神奈川県が、H11年11月に廃棄物処理法違反があるとしてバグフィルターを設置するよう改善勧告を行ったもの。なお同社は勧告に従いバグフィルターを設置し、後の神奈川県の立ち入り検査で、ダイオキシン排出基準を下回っていたことを確認。その後も、神奈川県の方で廃棄物適正処理や施設の維持管理など、必要な改善指導などを行っているところ。

福島議員
 廃棄物処理法違反にあたらず、他に保証金支払われた例もない。にも関わらずなぜ、巨額の国費がここに使われたのか。このエンバイロテックは、2001/11/21日に、91−96年までの間に約22億円の所得を隠し、8億円の法人税を免れたとして、2億3千万円の罰金、2年八ヶ月の懲役。控訴はされているんですが、判決の中で裁判官は、指定暴力団との関係を明白に認定しました。政治家との関係、暴力団との関係が言われている、少なくとも判決は暴力団との関係を認定している、しかも巨額の脱税会社。なぜここに国費がこんなに沢山使われたのか、廃棄物処分法違反でもなく、これ以外の例がなくてなぜ払われたのか教えてください。

防衛施設庁おおふる施設部長
補償措置を講じた理由について。厚木海軍飛行場内の米軍人、軍属およびその家族のみならず、周辺住民等へのダイオキシン類等の大気汚染の懸念。政府としては、環境安全上重要な問題と認識、だけでなく、また政府としては環境安全上重要とともに日米安全保障体制の信頼性向上をはかる上で不可欠と。閣議了解を踏まえまして、適切な補償の元、当該焼却炉の撤去を求めることにしたものです。

福島議員
 国はこの判決をご存知だったのか。あるいは巨額の脱税という事件があることなどはご存知だったのでしょうか。

おおふる施設部長
 判決内容については防衛庁としては存じているが、この補償措置の算定にあたっては、当該会社の性格とは関係なく、あくまでの補償工事という観点から厳正に算定したもの。

福島議員
法令違反にもあたらない施設に対して、多額の補償金が出ています。これについて資料要求したことろ、全く出てきておりません。
防衛庁長官は、予算支出の背景について、詳細な調査をおこなうべきと思いますががいかがですか。

中谷防衛庁長官
 当庁といたしましては、エンバイロテック社との間で民事契約をして、適切な補償の元に昨年12がつに撤去工事を了としたところでして、適正に算定したものと認識しております。