環境総合研究所自主研究情報
東京都特別区における窒素酸化物・浮遊粒子状物質
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以下の調査は、環境総合研究所が東京大気汚染公害裁判の原告団、原告弁護団からの依頼により実施し、東京地裁に証拠として提出されたものです。環境総合研究所所長、青山貞一は、平成11年9月に主尋問(原告側からの証人尋問)、平成12年2月に反対尋問(被告側からの証人尋問)に対応し、東京特別区内の大気汚染の実態・課題等につき第三者立場の専門家としてら証言しています。 |
1.東京都特別区における大気汚染の実態 本調査では、主として東京都特別区内の幹線道路上を走行する自動車からの大気汚染物質(窒素酸化物及び浮遊粒子状物質)を対象とする。 図1−1 NO2濃度年平均値の経年変化(東京23区内測定局平均) 2.調査の概要
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方向 | メッシュ間隔 × メッシュ数 = 予測範囲距離 |
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東西方向 | 150m × 240メッシュ= 36,000m(=36km) |
南北方向 | 150m × 240メッシュ= 36,000m(=36km) |
対象範囲(東京23区内)の道路のうち、対象年次において道路交通センサス調査(全国道路交通情勢調査、建設省)の対象となっている全道路とする。(表2−2)
道路種別 | |
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1種 | 高速自動車国道 |
2種 | 都市高速道路 |
3種 | 一般国道 |
4種 | 主要地方道(都道) |
6種 | 一般都道 |
1) 昭和49年度、
2) 昭和60年度、
3) 平成2年度、
4) 平成6年度、
1) 窒素酸化物 大気汚染:NOX
2) 二酸化窒素 大気汚染:NO2
3) 浮遊粒子状物質:SPM
1)NOXの年平均濃度(対象道路からの寄与濃度)
2)NO2の年平均濃度(対象道路からの寄与濃度、及び、全ての煙源からの重合濃度)環境基準値(日平均値の年間98%値0.06ppm)にほぼ相当する年平均濃度0.03ppmにより評価を行う。
なお、WHOでは「喘息患者およびその他のハイリスク・グループのヒトを対象とした管理された暴露研究に基づき、NO2の短期指針値として、1時間値の日平均最高濃度の200μg/m3下(〜0.11ppm)が勧告された。小児における呼吸器疾患のリスク増加を示す疫学研究に基づいた長期指針値は、年平均値として40μg/m3(0.023ppm)が勧告されている。」(環境保健クライテリア「窒素酸化物」に関わるWHOタスクグループ1994年11月会合、「WHO EHC 188環境保健クライテリア「窒素酸化物」」、環境庁環境安全課監訳、公害健康被害補償予防協会発行、平成11年3月) 3)SPMの年平均濃度 (対象道路を走行する自動車の排気管から排出されるSPM、タイヤ磨耗、走行巻き上げによるSPMの寄与濃度のみを対象とする。自動車に起因するSPMのうち2次生成粒子は対象としない。) 長期的評価の環境基準値(1日平均値の年間2%除外値0.10mg/m3)にほぼ相当する年平均濃度40μg/m3(=0.04mg/m3)により評価を行う。
都内一般環境測定局より表2−3に示す代表局を用いた。
気象 ブロック 番号 |
気象代表局の名称 | 風向・風速計 設置高さ (地上から) |
設置/移設年度 | ||
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名称 | 略称 | 旧称 | |||
1 | 足立区島根 | 足立1 | 足立 | 19m | 昭和48年度 |
2 | 江戸川区鹿骨 | 江戸川1 | 江戸川 | 7m | 昭和45年度 |
3 | 江東区大島 | 江東1 | 城東 | 24m | 昭和43/51年度*1 |
4 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
5 | 練馬区北町 | 練馬2 | 練馬北 | 20m | 昭和48年度 |
6 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
7 | 大田区東糀谷 | 大田 | 大田区大森南 | 25m | 昭和42/平成6年度*2 |
8 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
9 | 港区白金 | 港 | 港 | 44m | 昭和48年度 |
10 | 世田谷区世田谷 | 世田谷1 | 世田谷 | 27m | 昭和44年度 |
11 | 杉並区久我山 | 杉並一般 | 久我山 | 11m | 昭和48年度 |
12 | 田無市本町 | 田無 | 田無 | 27m | 昭和46年度 |
*1) 城東一般環境大気測定局を城東保健所の立替のため、同所内に移設した。
*2)大田区東糀谷一般環境大気測定局は、平成6年8月29日以降、旧大田区糀谷保健所(大田区大森南1-20-11)より、新大田区糀谷保健所(大田区東糀谷1ー21ー15)へ移設した。
対象道路の道路延長を、道路交通センサスより集計した結果を図1−1に示す。なお、昭和49年度については、入手した資料の関係で道路種別の内訳は示してない。
図3−1 対象道路の道路延長
対象道路を走行する自動車の走行量を、道路交通センサスより集計した結果より、平日の例を図3−2に示す。なお、昭和49年度については、入手した資料の関係で道路種別の内訳は示してない。
図3−2 対象道路の走行量
平成6年度の東京特別区部対象道路の24時間交通量図及び24時間平均の大型車混入率図を図3−3及び図3−4に示す。これらは昭和49年度より平成6年度までの各対象年度について集計、整理した。 |
図3−3 平成6年度の24時間交通量図 | 図3-4 平成6年度大型車混入率図 |
図4−1に本調査の計算結果より、背景濃度と自動車寄与濃度の23区を横断した濃度勾配図(横軸を距離、縦軸を濃度としたグラフ)の例を示す。網掛け部分が自動車寄与濃度、網掛けより下の部分が背景濃度を表す。
道路沿道の高濃度とともに、道路と道路の間の地域においても濃度が高くなっていることが分かる。
図4−1 背景濃度と自動車、幹線道路からの寄与濃度(NOx)の断面の例
東西方向の断面(平成6年度)
南北方向の断面(平成6年度)
図4−2〜5に本調査のNO2濃度の年平均値の面的分布を示す。
濃い黄色・明るい黄色・オレンジ・赤・紫で示された地域が現在の環境基準に相当する濃度(年平均値0.03ppm)を超えていたと考えられる地域である。
対象地域(東京都特別区内)昭和49年度では約7割、昭和60年度では約4割、平成2年度、平成6年度では約8割近くの地域において環境基準を超過しており、依然として大気汚染が非常に悪化した状態が続いていることが分かった。
図4−2 昭和49年度 NO2濃度年平均値(全煙源)
図4−3 昭和60年度 NO2濃度年平均値(全煙源)
図4−4 平成2年度 NO2濃度年平均値(全煙源)
図4−5 平成6年度 NO2濃度年平均値(全煙源)
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