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小沢捜査を斬る!
〜これは検察の戦争だ
戦争だから何でもやる

元大阪高検公安部長・三井環氏が語る


日刊ゲンダイ
30
Jan. 2010


 高知、高松地検の次席検事や名古屋高検総務部長、大阪高検公安部長などを歴任した三井環氏((みつい・たまき、65)。約30年にわたって検事生活を送ってきた三井氏は、組織内部の「裏金」作りを告発。直後に公務員職権濫用罪などで逮捕・起訴され、刑務所に1年余り収監された。今月18日に静岡刑務所を出所した三井氏に検察の暴走について聞いた。
 
 昨春の小沢秘書逮捕で、検察は「選挙に影響を及ぼす時期に強制捜査はしない」という不文律を破りました。

 理由は明白で、民主党政権の誕生を何としても阻止したかったのでしょう。もちろん、バックには自民党がいる。裏金問題という“弱み”を握られている検察は、自民党に逆らえないのでしょう。

   ◇    ◇

 「年間6億円に上る調査活動費を裏帳簿で管理し、ゴルフや飲食、マージャンなどの遊興費や、法務省幹部の接待費に充てている」

 三井氏が01年に告発した裏金問題は検察組織を大きく揺さぶった。捜査機関が自ら違法行為に手を染めていたことが明るみになれば、検察の威信は失墜するからだ。

 しかし、三井氏は02年4月に突然、大阪地検特捜部に逮捕される。容疑は、電磁的公正証書原本不実記載、公務員職権乱用など“微罪”だった。

 三井氏は1、2審で「口封じの立件で公訴権の乱用」と無罪を主張したが認められず、上告も却下された。2審の大阪高裁判決では検察の裏金作りが一部認定された。

   ◇    ◇

 告発した当時、裏金作りの実態を京都市内のホテルで自民党幹部に細かく報告しました。しかし、事実解明も改善もされず、森山真弓法相や原田明夫検事総長はともに会見で「事実無根」とシラを切った。

 私はこの時、検察と自民党が手を握ったと思いました。案の定、日歯連と自民党をめぐる1億円ヤミ献金事件はウヤムヤに終わりました。検察はここ数年、自民党の大物政治家に手を出していない。自民党と一緒に“けもの道”に踏み込んだのです。

 しかし、民主党政権誕生で慌てることになる。民主党は取り調べの可視化法案や、検事総長人事を国会承認案件にすることに積極的です。仮に検事総長が民間人になれば、隠してきた裏金問題が明らかになってしまう。

 だから何としても民主党政権を潰したい。そんな思惑が見えます。だとすれば、検察と小沢幹事長の捜査は「戦争」です。戦争だからあらゆる策略を使う。検察は積極的にマスコミに情報をリークし、捜査を有利に進めようとするでしょう。

 リークは検察内の隠語で「風を吹かす」という。国民世論を味方に付け、容疑者を逮捕・起訴する頃に「大悪人」に仕立て上げるのは彼らの常套手段です。

 小沢氏は国会に対して説明責任があっても、検察に対しては全くない。黙秘を貫くべきです。いろいろ話すから検察がそれを利用し、リークを流す。そんな検察の思惑に乗って「説明責任」を騒ぐマスコミもどうかしています。

 検察の不祥事を見逃し、傲慢なやり方を批判しないマスコミが検察の暴走を助長していると思います。

(日刊ゲンダイ 2010/01/29掲載)