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好天に恵まれた2010年6月6日日曜日の午後、約50名の市民が集まって「廃プラ類の焼却を考える」学習会が開催された。今後の所沢市の廃棄物行政 を左右する大きなターニングポイントとなる政策変更(埋立から焼却へ)のはずだが、まだまだ市民の関心は低い。 講演する筆者 撮影:森氏 問題点は大きく二つに分けられる。ひとつは、科学的と第三者性を装ってはいるが、その実、まったく科学的でない廃プラ焼却の実証試験を行い、透明性のない選考プロセスで専門家を選び、委員会も開催せずにその意見をひとつのよりどころとして「安全宣言」をしたことである。そもそも東部クリーンセンターでは事業系一般ごみが50%を超え、すでに廃プ ラ混入率が20%を超えている実態を無視して混入前と混入後の比較実験を行う 意味がない。 講演する筆者 撮影:森氏 そしてもうひとつは何と言っても意思決定手続きの正当性の欠如である。 @現市長は、選挙の公約として廃プラは焼却しないことを明言していた。 A上位計画、上位政策である「環境基本計画」や「廃棄物処理基本計画」でうたった基本的な考え方(廃棄物の減量化、資源化による循環型社会の実現など)を無視している。 B東部クリーンセンター周辺5自治会との協定にうたわれている事前の説明と合意がなされていない。 C全市民に対しても説明会を開催する以前に、今年10月1日から廃プラ焼却へ転換することを決定した。 D今年度の当初予算にはそのための費用が計上されておらず、予算の組み替えなどのため補正予算の議会審議が必要となる。 E科学的とは言えないわずか3日(実施前1日、廃プラ焼却実施中2日)の膨大な分析調査費として2000万円ほどを支出している。 といった点が指摘できる。人口34万人の所沢市は11年前のダイオキシンによる汚染の問題に直面し、さまざまな闘いを乗り越えて少しずつ美しい武蔵野の雑木林を取り戻しつつある。 講演する筆者 撮影:森氏 また、人口は少しずつ増え続ける中市民の出すごみは減少傾向を見せている。今後も東西二つの巨大清掃工場を稼働し続けるのか、その更新や維持管理に膨大な税金を投じていくのか、それとも埼玉の星として、ゼロウエイストに一歩踏み出すのか、市民の意思が問われている。 熱心に聞き入る参加者 撮影:森氏 参加した市民の中には、焼却灰や不燃ごみの残渣を他県に埋立続けるより、焼却処理して埋立ごみを減らせる方がいいという意見も出されたが、まさに市民の意見、考えが開かれた場で議論され政策に反映されていくプロセスこそ大切にされなければならないだろう。 質疑応答 撮影:岡崎匠氏 これから市民グループは署名活動をはじめとする反対運動を展開する予定だが一方で、市民によるごみ減量化の提案も積極的に行っていくという。そうした市民の声をどう受け止めるのか、行政、そして何よりも市長の態度を監視していきたい。 ◆池田こみち:「廃プラスチック類」の焼却問題を考える 〜所沢講演会レジメ(pdf) |