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 越谷市で市民参加の
松葉ダイオキシン調査学習会


池田こみち
 
2009年5月17日 無断転載禁


 1999年に開始された市民参加による松葉ダイオキシン調査は今年でついに10年目を迎えることになる。

 当初は全国各地で産業廃棄物焼却炉周辺で高濃度が検出され、行政による大気の測定では捉えられなかった地域の汚染を松葉が正直に反映することがわかり、市民にとって大きな力となった。

 年々ダイオキシン問題に対する関心も薄れていくなか、北は北海道から南は沖縄県の宮古島までマツの針葉を生物指標としたダイオキシン測定活動が10年間も継続されてきたことは実に感慨深いことである。


越谷で開催された学習会

 市民による地道かつ継続的な監視活動は大きな力となって、事業者や行政を動かしてきたことは間違いない。

 この週末16日の土曜日には、埼玉県越谷市での初の松葉ダイオキシン調査実施に向けて学習会が開催された。

 主催は越谷市民ネットである。越谷市といえば、今から26年前、私たち(青山・池田)が支援して日本の市町村で初めて「環境管理計画」を策定した市である。

 当時の環境庁から市町村版計画のモデル事業として策定費が助成され、私たちは年に何十回も越谷市に通い、基礎調査を行った上で市民参加型の環境管理計画の策定を支援した懐かしいところである。

 日本ではこの計画がプロトタイプとなり、津々浦々で環境管理計画や環境基本計画が策定されることとなった。

 越谷市は埼玉東部に位置する住宅地であり、市のほぼ中央を南北に国道4号バイパスが通過しているものの、周辺には農地も残りのどかなベッドタウンのはずだが、川口市の松葉調査報告会のために、環境省がとりまとめた19年度の有害大気汚染物質モニタリング結果をみたところ、越谷市の濃度が軒並み高いことが分かった。

 なんと5つの有害物質(ベンゼン、ジクロロメタン、アセトアルデヒド、1・3ブタジエン、ホルムアルデヒド)の大気中濃度が全国で3位以内に入ってたのだ。

 また、大気中のダイオキシン類濃度も年間平均が0.087pg-TEQ/m3と全国平均の倍以上、埼玉県内の一般局の中で最も高濃度だった。いずれもいわゆる基準値や指針値はクリアしているとはいえ、なぜ越谷市でそんなに濃度が高いのかは市民ならずとも気になるところである。


図1 ダイオキシン濃度のグラフ

 そこで、市民グループが立ち上がり、松葉によるダイオキシン調査を実施することとなったのだ。越谷市内には県内でも最大規模800t/日の東埼玉資源環境組合第一清掃工場が稼働している。プラスチック混入率も25%程度と高い。予断はいけないが、有力な発生源として改めて市民の関心が集まっている。


図2 東埼玉資源環境組合第一工場の写真


図3 越谷市のごみの組成割合の推移

 埼玉県内の松葉ダイオキシン調査実績は少ないため、今回の越谷市での調査は埼玉県東部地域の汚染の実態を把握する上で重要な意味をもつものとなると期待されている。

 学習会には、越谷市民ネットメンバーに加えて、生活クラブの組合員、近隣自治体の議員の方々、越谷市の担当職員も参加され、するどい質問もたくさん出され、3時間の学習会は成功裏に終了した。

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 松葉調査の理論と実践に加えて、せっかくなので、巨大焼却炉に依存する越谷市でも是非この機会にゼロ・ウェイストについても考えていただきたいとの思いから、カナダ・ノバスコシア、ハリファックスの紹介も含めたので盛りだくさんのお話になってしまいました。

 市長選も間近いとのことなので、是非、廃棄物政策も選挙の争点にしていただきたいものだと思いました。