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本来、廃棄物処分場が設置できない八丈島の水海山に管理型最終処分場の建設が予定されている。 これに関連し、去る2009年6月30日に締め切られたパブリックコメントに意見を出した。 今回出した意見は「国立公園・国定公園の特別地域及び特別保護地区内における行為の許可基準の特例」を定め、廃棄物最終処分場の設置を認めるための措置に対するものである。 パブコメ締め切り後2ヶ月余りが過ぎたため、とりまとめ状況や見解などについて環境省に問い合わせたところ、9月2日にプレスリリースを行い、見解書などがホームページに掲載されているとのこと、さっそく全19頁にまとめられた本件に寄せられた意見とそれに対する環境省自然環境局の見解に目を通した。 そもそも、パブリックコメントへの見解を発表したことについての環境省の広報が、意見募集を行った本省ウェブサイトにはない。 「関東地方環境事務所」のサイトにのみに掲載している。このこと自体、国民に対して、意見を寄せた者に対して、非常に不親切かつ不行き届きな対応と言わざるを得ない。 【お知らせ】 「富士箱根伊豆国立公園の特別地域及び特別保護地区内における行為の許可基準の特例を定める件の一部を改正する件」についての意見募集の結果について http://kanto.env.go.jp/to_2009/0902a.html 広報によれば、有効なパブリックコメントは全部で850余にのぼったとのこと。意見の内訳をみると、次のようになっている。
延べ850余の意見のうち賛成は2件のみで、自然公園法の趣旨からして、そもそも建設することができない廃棄物処分場を認めるような特例を定めるべきではない、とする意見が特に多く寄せられていることが分かる。 これに対する環境省側の見解は実に奇っ怪である。 「・・・当該市町村の区域の大半が国立・国定公園区域に含まれるなどにより、公園区域外において処理施設を設置することが著しく不合理な場合において、その設置について検討するものであり、・・・・八丈島においては、集落地や農地などを除いた地域がほぼ国立公園特別地域に指定されており、特別地域以外において処理施設を設置することが著しく困難であることから、許可基準を緩和し、一般廃棄物処分場の設置を認めることとした。」 とある。 この見解のとおりであればパブリックコメントなどするまでもない。 最初から、八丈島の大半(全てではない)が国立公園特別地域に指定されていて場所がないというのであれば、何おか況やである。 その前提には、そうした離島地域にあっては、他の地域と同様の廃棄物処理をすること自体に問題があるという極めて常識的な認識が全くない。 自らが是としている「ただごみを集めて焼却して残った灰を埋め立てる」という一方通行的な20世紀型ごみ処理以外に何の代替案の検討もする必要が無く、また検討させるように誘導、指導する気もないという環境省の姿勢がある。 もうひとつ、多くの島民や八丈島に心を寄せる市民が寄せた意見に「地下水汚染への危惧」があったが、これに対する見解にも驚かされる。次の通りである。 「国立公園は、優れた自然の風景地を保護するもので、地表に影響が現れない地下水汚染については、自然公園法による規制対象ではありません。しかしながら、廃棄物の処理及び清掃に関する法律その他の法律によって適切に対処されるものと考えています。」 要するに、自然公園法においては、あくまで土地利用の変更によって地表の風景地が損なわれるかどうかを判断するのであり、地下水の汚染や飲料水への影響などは関係ないというのである。 今後、この特例が認められたことにより、処分場については東京都、取り付け道路については環境省の許認可手続きへと進むことになるが、処分場の建設段階でどこまでの実効性のある環境配慮が期待できるというのだろうか、今までの例を見れば明らかである。 まさに今回のパブリックコメントに対する見解書から、環境省が自ら、自然破壊を進めていることが改めて明らかとなったと言っても過言ではないだろう。 個々の法律の不整合という問題もあるが、本質的には環境省があいかわらず焼却主義的な廃棄物行政を推し進めていること自体に問題がある。民主党政権には、こうした矛盾もひとつひとつ是正していってほしいものである。 |