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2012年5月5日のこどもの日に稼働中の泊原発3号機がいよいよ定期点検のため停止する。これで日本中の原発がすべて停止した状態となる記念すべき日となるか。全国の反原発市民団体は、「今年のこどもの日は、子どもたちに原発のない未来をプレゼントする特別の日」、と位置づけ運動を強化している。
私たち大人は、地震列島活断層だらけの狭い国土に54基もの原発を唯々諾々と建設させてきた責任を深く反省し、これ以上、現在そして、未来の子どもたちに不幸の元を押しつけることがないように、原発の無い社会を実現すべく全力で取り組む責任がある。 泊3号機は3.11の福島第一原発事故の後、2011年8月に営業運転を再開していた。電力会社の本社がある都道府県に所在する原子力発電所は当発電所と東北電力の女川原子力発電所のみである。そして、北海道内唯一の原発である泊原発の運転継続には北海道知事の意向が強く反映されているという。 ◆泊原発の立地位置 泊原発の位置 北海道電力泊原発 出典:Wikipedia 北海道泊原子力発電所 出典:グーグルマップ 2012年4月29日、災害瓦礫の広域処理問題について講演を依頼され苫小牧市を訪れた折、筆者の後の第二部でPPSについて講演をされた布施哲也氏とお話しする機会を得た。 話題は泊原発の停止にも及び、泊村財政が原発三基に係る電源三法の交付金と北電からの固定資産税に大きく依存しているため、原発の完全停止は村の存続を左右する問題にまで発展するとの見通しを話された。 布施氏の近著「福島原発の町と村」(2011年12月七つ森書館発行、1600円+税)は、原発を誘致した福島県浜通りの町や村を取材して、麻薬のように原発に依存していく町や村の実態をするどく描き出している。 その中から、泊原発に関連する部分を紹介してみたい。 ■布施哲也著 「福島原発の町と村」 http://www.7netshopping.jp/books/detail/-/accd/1106108816 筆者は、瓦礫問題の講演の中で、高橋はるみ知事が放射性物質の安全性に関する国の考え方を信頼し、瓦礫の受入を表明、さらに道内市町村への協力要請も行い、既に北海道独自の受入基準も策定しているのに対し、徳島県はまったく反対の「信頼できない」「市町村へは要請しない」「独自基準は作らない」という意向を表明したことを指摘した。 高橋知事のこうした国寄りの考え方、意思決定は、次のエピソードからも明らかだという。 <「福島原発の町と村」より関連部分の概要>そして、泊村がいかに泊原発に依存しているかについても驚くべき実態を明らかになっている。泊村には電源三法の交付金とともに多額の固定資産税が入る。交付金の使い道はいろいろな制約があるが、固定資産税は自由に使える。多すぎて村が住民へ「献金」をする以外使い道がはないようだという。原発のない自治体、周辺地域にも含まれない自治体にとっては驚きの事実である。 第4章 自治体とPPS2012年5月4日、テレビのニュースでは泊村住民のインタビューを放送していた。多くの住民が「原発あっての泊村なので、存続して欲しい」、「多くのものを頂いているのでなくなると不安」といった原発依存の生活実態をあらわにした。 村民のこうした存続希望の声をよそに、泊三号機は停止する。泊村財政のため、村民生活の安定のため、原発を存続するという選択について、私たち国民一人ひとりはどう考えるべきなのか。布施氏が明らかにした上記の実態を改めて深刻に受け止め、この国の行く末を考えなければならないだろう。 |