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2012年2月15日の東京新聞こちら特報部にがれきの広域処理問題についてのインタビュー記事が掲載されてから、この問題についての全国各地での講演依頼が相次いでいる。これまでに、岡山市、米子市、和歌山市、徳島市、川崎市、北海道(札幌市、苫小牧市、室蘭市)、都内各地と学習会、講演会が続いている。 5月12日土曜日は、愛知県刈谷市のJR刈谷駅からすぐ近い愛知県刈谷市産業振興センター小ホールにおいて、250名近い参加者を得て、「今、考えよう!未来の命のために in 愛知!〜本当に必要な支援、安全な流通を問う〜」と題して二部構成の講演会が開催された。 第一部は、私から「災害がれきの広域処理は安全か」について、約1時間半ほどお話しさせて頂き、第二部は琉球大学の矢ヶ崎先生による内部被曝についてのご講演が行われた。 がれき問題については、愛知県の大村秀章知事が3月19日の定例会見で受け入れを表明、中部電力碧南火力発電所(同県碧南市)にがれきの焼却施設と埋め立て地を建設する方向で中部電力側と調整していることが明らかとなった。 また、4月24日の会見では、受け入れることによって「風評被害は起こさせないことに全力を尽くす」と強調したという。そして、県内の市町村長には「皆さんも『東北を応援しよう』と言っておられた。そのことをふまえて、協力していただきたい」と呼びかけを行った。 ◆朝日新聞:愛知知事、震災がれき受け入れ表明 独自安全基準設置へ4月10日に新聞各紙に報じられた共同通信の調査によれば、愛知県は、国の放射性物質の安全性の主張については、信頼していない(×)にもかかわらず、県内市町村への要請は行い(○)、独自基準も作成する予定(○)と表明し、徳島県がいずれも×として筋の通った姿勢を示しているのに対して、やや「揺れ」が感じられた。しかし、野田総理大臣からの要請を受けて知事の態度は一気に「受入」へと舵を切ったとされている。一方、名古屋市の河村市長は現時点では明確に受入を否定しているようだ。 ◆PPT県別比較 こうした状況の中、知事が愛知県知事の瓦礫受け入れ表明において、候補地に上げた田原市の市民グループをはじめ、県内の漁業関係者、小さい子どもを抱える母親たちの危機感が一気に高まった。 講演会当日は、お天気に恵まれた土曜日だったが、会場には小さな子どもたちを連れた若いご夫婦が大勢参加され、託児サービスも行われて賑やかな会場となっていた。また、刈谷市市議会からは自民系会派の議員の方々はじめ、13名もの議員が参加され、その他周辺の知多市、岡崎市、安城市、大府市、豊橋市、碧南市からも大勢の議員のみなさんが参加してくださったとのことだ。 講演中の池田こみち 講演中の池田こみち 最終処分場候補地のとなりの市である常滑市の議員さんは、「6月議会で取り上げたい」と意気込みを話されたとのことで、この問題を巡り愛知県内の市議会の動きが活発になることを期待したい。 なんと言っても一般廃棄物の処理は基礎自治体の自治事務であり、国の要請があったからといえ、県知事が出しゃばるのは筋違いであり、地方自治を踏みにじる行為である。ましてやその背後に中部電力やトヨタ自動車との癒着や利権が取りざたされているとすればとんでもないことである。民間企業が受入を表明しても、地域の住民の理解が得られなければ計画通りには進まない。国を信頼しないと言って独自により厳しい受入基準を策定しても、基準に適合しているかどうかをどのように確認するのか、簡単ではないはずだ。 ◆毎日新聞:震災がれき:トヨタが最終処分場建設受け入れ方向で検討県民の健康と安全、環境を守る立場として、見識を示して欲しいものである。この問題は、単に放射性物質による汚染の問題にとどまらない、民主主義、地方自治の根幹に係わる問題をはらんでいる。まさに自治体の長としての見識が問われる問題である。 私にとっては久しぶりの愛知県内での講演会となったが、10年ぶりに松葉ダイオキシン調査で一緒に活動した市民グループのみなさんにもお会いすることができて改めて市民の熱気を感じる講演会だった。 ◆写真:講演終了後 ロビーで スタッフのみなさんと一緒に ●池田こみち講演 『災害がれきの広域処理を考える』 http://www.ustream.tv/recorded/22546616 ●矢ヶ崎克馬教授 『内部被曝について考える』 前半:http://www.ustream.tv/recorded/22549187 後半:http://www.ustream.tv/recorded/22549931 |