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「脱原発法」意見交換会
に参加して


池田こみち
環境行政改革フォーラム副代表
掲載月日:2012年10月26日
 独立系メディア E−wave



◆徹底討論!脱原発実現のための「脱原発法」意見交換会
E-wave You Tube

 民主党政府の「脱原発依存政策」は、大飯原発の再稼働、大間原発の建設再開決定、さらには細野政調会長の川内原発再稼働の言及などで、既に朝令暮改の露と消えた。また、原発推進をはっきりと打ち出している自民党への支持率がじわじわ上昇し、財界の圧力も一段と強まりを見せ、政局のゆくえとともに、日本の脱原発政策の実現は益々危ういものとなりつつある。


撮影:池田こみち Nikon Coolpix S8 2012-10-26

 8月中旬「脱原発法制定全国ネットワーク設立」の記者会見で、ネットワークの代表世話人のひとりである作家の大江健三郎氏が、福島第一原発事故の現実を経験してもなお大飯原発が再稼働されたことに対しての心情を、次のように吐露したことは記憶に新しい。

「原子力発電というものは、私たち人間の根本的な倫理に反するものであり、だからこそただちに全面的にやめなければならない。根本的な倫理とはすなわち、次の世代、次の世紀、次の時代に人間が生きることを妨害しないことである。ところが、いま大飯原発の再稼働を許してしまったではないかという敗北感、無力感を強く感じながら過ごしてきた」


左端が河合弘之弁護士、右端が松崎哲久衆議院議員
撮影:青山貞一、Nikon Coolpix S8 2012-10-26

 ドイツがメルケル政権の下、哲学者・倫理学者・宗教学者などが集まって議論し、人間の幸福の観点も踏まえて脱原発という結論を導き出したとプロセスが、なぜ日本ではできないのかとの思いが日本人の間にも次第に募っていることを、この発言は感じさせた。脱原発法制定に向けて国会議員への働きかけを行ってきた脱原発法制定全国ネットワークには多くの著名な文化人が顔を揃えた。

 そして、マスコミではほとんどまともに報道されなかったが、2012年9月7日、衆議院議員100余名により「遅くとも,平成32年(2020年)から平成37年(2025年)まで」のできる限り早い時期における脱原発を実現すること、廃止するまでの間においても、最新の科学的知見に基づいて定められる原子炉等による災害の防止のための基準に適合していると認められた後でなければ、運転(運転の再開を含む)をしてはならないこと、などを骨子とする「脱原発基本法案」が衆議院に提出され、次期国会に継続審議となっている。

 今回は、長年、反原発、脱原発で各地の原発相手に裁判闘争を継続してきた弁護士と大飯原発再稼働問題で官邸前抗議活動などを継続してきた「首都圏反原発連合(反原連)」が法案について意見交換することになった。

 今日の集会には、参議院議員会館1Fの講堂(300人収容)がほぼ満席となるほど大勢の参加があり、12時〜16時まで4時間にわたり、脱原発法制定全国ネットワークから法案提出の経過報告・法案概要説明、国会議員からの説明があった。さらに首都圏反原発連合のこれまでの取り組みや法案に対する意見集約の説明と質問、そして一般参加者も交えて脱原発実現に向けての意見交換が行われた。

 法案提出に尽力された「国民の生活が第一」の松崎哲久議員が最初から最後まで、報告・説明者側の一員として参加され反原連メンバーやフロアからの質問、指摘に丁寧に対応されたのが印象的だった。その他、社民党党首(福島瑞穂氏)、新党大地(平山誠氏)、共産党(笠井亮氏)、民主党(大河原雅子氏)らが前半終了まで参加されそれぞれの関与と主張を述べられた。

 河合弁護士は、脱原発を表明しているドイツを「国民の生活が第一」の小沢代表らとともに訪問したこと、いかに脱原発を実現するために基本法が重要であるかを改めて説明され、まずは多くの議員が基本理念に賛同してこの法案を通すことができるかを考え、戦略的に運動を進めるべきであると主張された。

 一方、反原連のメンバーや各地から参加された運動家、一般市民の間からは「遅くとも,平成32年(2020年)から平成37年(2025年)まで」という法案の期限について、なぜ即廃止ではないのか、期限を切る必要があるのか、期限に幅を持たせる必要があるのか、といった疑問が出された。また、再稼働阻止が最も重要なことであり、法案は再稼働に余地を残す表現となっているのではないかとの指摘もあった。

 それに対して、只野弁護士ら法律家サイドからは、現法案では、「最新の科学的知見に基づいて定められる原子炉等による災害の防止のための基準に適合していると認められた後でなければ、運転(運転の再開を含む)をしてはならないこと」という第三条4項の規定は非常に法律としては厳しいものであり、事実上再稼働は極めて難しく、このままでも法案が通過すれば大きな抑止力となることが説明された。

 既に提出された法案に対する一般市民からの意見や要望を踏まえた脱原発基本法草案を反原連が対案として示されたことは、議論をわかりやすくする上でも大変有意義なものだったと思う。これまで運動を継続し世論を盛り上げてきた立場から法案への強い期待と熱意が感じられた。

 議員立法と言えば、1年余に渡って国論を二分し続けている瓦礫特措法(略称)が思い起こされる。議員立法といいながらあまりにも官僚主導の非民主的な手続かつ内容で同法が制定されたことが、改めて悔やまれる。

 今回の脱原発基本法の法案提出プロセスが、国民各界各層の参加を得ながら開かれた議論のもと、検討されてきたことはひとつの大きな成果と言える。

 今後は、政局が混沌とする中、次期総選挙において、いかに有権者が候補者を厳選できるかにかかっている。この法案をなんとしても通過させ、その後着実に脱原発に向けたプロセスを踏み出すことが期待される。その一歩は現行の原発基本法の廃止に他ならない。原発推進を国策とし、電源三法で地方自治を人質に取っている関連法案を順次見直していく長い道のりの一歩を、まずは多くの国民のねばり強い運動と連携、連帯によってやり抜くことができるかが問われている。

<集会の概要>

◆徹底討論!脱原発実現のための「脱原発法」意見交換会

日 時■ 10月26日(金)12:00〜16:00

場 所■ 参議院議員会館 講堂

内 容■ 法案提出の経過報告・法案概要説明、
     首都圏反原発連合からの質問
     一般参加者からの質問
     脱原発に向けての意見交換。

出席■
 脱原発法制定全国ネットワーク:
  河合弘之(代表世話人、弁護士)
  鎌田慧(代表世話人、ルポライター)
  只野靖(事務局次長、弁護士)
  藤本泰成(平和フォーラム事務局長)

 首都圏反原発連合:
  小澤弘邦(ロックの会・個人有志)
  野間易道(TwitNoNukes)
  服部至道(エネルギーシフトパレード)
  原田裕史(たんぽぽ舎)
  平野太一(TwitNoNukes)
 法案提出にかかわった国会議員

司会■ 海渡雄一(脱原発法制定全国ネットワーク事務局長、弁護士)
  Misao Redwolf(首都圏反原発連合/NO NUKES MORE HEARTS)

主催■
脱原発法制定全国ネットワーク
首都圏反原発連合(略称:反原連)


◆「脱原発国民のため」 小沢代表、独で手応え
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012102702000107.html
2012年10月27日 朝刊 東京新聞

 「国民の生活が第一」の小沢一郎代表はこのほど、二〇二二年までの脱原発を決めているドイツを視察した。「生活」は次期衆院選の公約の柱に「十年後の原発ゼロ」を掲げる方針で現在、工程表を作成中。視察の成果を工程表に反映させる考えだ。

 「(十年後の脱原発という)われわれの主張は間違っていなかった。これが国民のためだと確信するに至った」。小沢代表は二十五日夜、都内のホテルで開いた結党記念パーティーで、ドイツ視察の成果をアピールした。

 十年後の原発ゼロ方針は「二〇三〇年代に原発稼働ゼロを目指す」野田政権の方針よりも積極的だが、財界などからは非現実的との批判が強い。訪独は、そういった批判に対して理論武装をし、衆院選で行われるエネルギー政策の論争で主導権を握る狙いがあった。

 ドイツ連邦議会環境委員会のシュレーター委員長(左派党)は小沢代表に「ドイツでは全ての政党が脱原発に賛成している。政権交代しても後戻りしないようなしっかりした法律づくりが重要だ」と助言。

小沢代表は「近く行われる衆院選で国民の支持を受け、何としても脱原発を実現したい」と意欲を示した。

 脱原発を実現するには代替エネルギーの確保が不可欠であることから、家畜のふん尿を燃料とする「バイオマス発電」などにより250%の電力自給率を達成した南部バイエルン州のメルケンドルフ村も視察。原発撤退で事業税収入が減ったものの、再生可能エネルギー関連企業の誘致で新たな町おこしを図る同州のエッシェンバッハ町にも足を運んだ。政府からの「交付金攻勢」で、原発に頼らざるを得ない日本の原発立地自治体に新たな選択肢を示すためだ。

◆増税廃止、脱原発掲げる=
「オリーブの木」へ共通公約案−生活
 (時事通信) 
http://www.jiji.com/jc/eqa?g=eqa&k=2012102600881
2012/10/26-20:08 時事通信

 新党「国民の生活が第一」が次期衆院選での選挙協力に向け、一部野党などに提示した共通公約案の全文が26日判明した。消費増税法の廃止、10年後の原発ゼロ、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加反対の3項目で構成。生活は近く関係各党と党首会談を開いて正式合意したい考えだ。

 生活の小沢一郎代表は、複数の政党が統一の首相候補を掲げて選挙を戦う「オリーブの木」構想を模索。新党きづな、社民党、減税日本、新党大地・真民主と民主党の一部議員に呼び掛け、各党が一致できる政策を検討してきた。 

 共通公約案は、消費税率を現行5%に据え置く「消費税増税法廃止法」の制定や、先の通常国会に超党派で提出した脱原発基本法案の早期成立を目指すと明記。

 TPPに関しては「一次産業を破壊し、日本の経済・社会の仕組みや生活・文化にまで及ぶ大きな変化をもたらす」として反対の立場を打ち出した。