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環境総合研究所では、テンプル大学からの協力依頼を受け、2011年から毎年、インドネシアやバングラディシュからの自治体職員や大学の研究者に対する研修をお引き受けしています。 2011年から2013年の3年間は、1グループ25名の研修生を対象に、3〜4小間の講義を行うとともに、23区内の清掃工場(港清掃工場や中央清掃工場)や廃棄物最終処分場(中央防波堤沖最終処分場)、リサイクル施設(港資源化センターなど)の施設見学のガイドを行ってきました。 2014年から2016年の3年間は、少人数の研修生がERIを訪れ、2時間ほどをかけて、ミニプレゼンテーションと意見交流を行っています。 講義はすべて英語で1小間90分、以下の4つのテーマについて行います。 1)廃棄物政策(Waste Management) 2)環境計画(Environmental Planning) 3)環境影響評価(Environmental Impact Assessment) 4)環境情報システム(Environmental Information System) 4週間から2週間の長期研修の主なテーマは、Special Terms of Reference for Green Economy すなわち、「環境に配慮した経済発展のための条件」となっていますが、分別がまったく行われていない埋め立て中心のごみ処理の課題に直面しているインドネシアやバングラディシュでは、今後の廃棄物政策をどうすべきかが大きなテーマとなっています。 廃棄物政策の講義では、日本のごみ処理の現状と課題を解説した後に、焼却炉に依存することなく廃棄物を資源ととらえ、環境を保全しながら雇用を創出し、市民参加のもとで適正技術によるごみ処理を進めることをお話しします。カナダのノバスコシア州が取り組んでいるゼロ・ウェイスト政策の紹介も行います。 東京に滞在中は筑波の国立環境研究所を訪問したり、環境省や東京都、横浜市などを訪問しますが、公的機関の訪問では、焼却炉のメリットばかりが強調され、問題点は明らかになりません。 そのため、私の講義では、日本ではごみ焼却施設や処分場の建設をめぐり多くの裁判が起こっていることや市民参加の環境調査が行われている実態を説明し、焼却主義、焼却依存の課題を指摘します。講義の後で施設見学を行うことにより、現場で自治体の職員に対してより具体的で鋭い質問をすることができるため好評です。 環境計画では、計画立案の前にいかに地域の現状を適切に評価するか、事前調査の重要性を指摘するとともに、計画立案プロセスにおける市民参加の重要性、計画立案の方法、考え方などを講義しています。 環境影響評価では、手続きにおける市民参加の問題点や予測評価のわかりやすい 情報解析、情報提供のあり方などについてもERIのシステムを活用して事例を紹介します。 環境情報システムでは、自治体職員がパソコンで手軽に環境情報を処理したり、アセスメントにおいて予測評価のチェックを行うことができればコストの削減になるだけでなく、市民とのインターフェースが改善され、市民参加を促すツールとなることを国内の事例を通じて説明します。 少人数での講義やディスカッションでは、独立した民間シンクタンクERIの役割や設立の経緯などについても紹介し、30年間に蓄積してきたさまざまな事例やオリジナルの技術が大いに役立っています。公的機関の訪問では得られない貴重な情報が得られることが参加者にとっての貴重な時間となっているようです。 以下は現地視察時また討議終了時のスナップ写真です。 (1)2013年9月 インドネシア研修生の東京都中央防波堤現地視察沖最終処分場視察 (2)2012年10月 インドネシア研修生の東京都中央区中央清掃工場現地視察 (2)−2 2012年10月 インドネシア研修生の東京都中央区中央清掃工場現地視察 で池田が通訳をしている写真 (2)−3 2012年10月 インドネシア研修生の東京都中央区中央清掃工場現地視察 で池田が通訳をしている写真 (2)−4 2012年10月 インドネシア研修生の東京都中央区中央清掃工場現地視察 で池田が通訳をしている写真 (1)2011年12月 鷹取による環境アセスメントの講義が終わたところ (4)2014年10月 インドネシア研修生の環境総合研究所での研修 (5)2015年11月 インドネシア研修生の環境総合研究所での研修 (6)2016年7月 インドネシア研修生の環境総合研究所での研修 |