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東京は桜も終わり、若葉が美しい季節になりました。先週4月13日土曜日の午後、標記の講演会が企画され講師として瓦礫の広域処理問題の総括的なお話をしてきました。 好天に恵まれた週末となり、参加人数は15名ほどでしたが、会場は、暖かな春の陽が明るく差し込むサロン風研修室でしたので、いつもの学校形式の講演会とはちがった雰囲気で、2時間、ゆっくりお話しすることができました。
◆池田こみち 配布資料:添付PDFファイル参照 調度、12日の金曜日発行の「週刊金曜日」の誌面に同様の総括記事を執筆したばかりでしたので、よい機会となりました。 冒頭、主催者代表として、世古一穂さん(特定非営利活動法人 NPO研修・情報センター代表理事)からご挨拶を頂きました。世古さんとはずいぶん昔から、市民参加にかかわる学会や、自治体のプロジェクトなどでご一緒させていただき、3.11震災後も何度か情報交換させていただいていました。 写真1 世古さん挨拶の写真 通常の講演会では、冒頭から150枚ほどのパワーポイントに沿ってお話を進めますが、今回は、1時間ほど、用意した資料をもとに話をさせていただき、休憩を挟んで後半で、用意してきたパワーポイントを使ってグラフ、写真、動画などを見ていただき、より問題点をクリアにご理解いただく方法をとりました。 これまで、瓦礫の広域処理問題については、(1)その必要性、(2)経済面、環境面(安全面)からの妥当性、(3)政策決定・意思決定手続きの正当性(市民参加や地方自治)の観点から総合的にお話ししてきましたが、今回は総括編ということで、主に、平成23年度から25年度の3年度で総額1兆2000億円にものぼる災害廃棄物処理のための税金の使われ方に焦点を絞り、補助金、交付金、基金からの支出の実態や配布先の実態、また岩手県、宮城県におけるゼネコンへの一括発注の実態などに焦点を当てました。第三者の視点から冷静に判断すれば、全く結果的に、必要のなかった広域処理をむりやり推進してきた環境省のやり方については、厳しい目を向けざるを得ません。 写真2 会場の様子 写真3 池田こみち 講演中 被災地では、未だに仮設住宅で不自由な暮らしを強いられ、生活再建のための補償や住宅、雇用もままならない状態が続いている中、災害廃棄物の処理に投じられた1兆2000億円にものぼる税金の使い方が果たして適切であったのか、しっかりと検証する必要があるからです。 震災後は、国交省を上回るほどの予算を手にした環境省。瓦礫発生量の推計、廃棄物の種類別の処理方法の検討、処理業務の発注の仕方、広域処理のための広報事業、全国自治体に受入を促すためのインセンティブとしての交付金のばらまきなど、どれもとってもおよそ評価に値するものではありませんでした。 ごみを集めて焼却しその灰を埋立処分するという20世紀型のごみ処理に固執する環境省のやり方は、結果として災害廃棄物の処理に際して大きなひずみを生みました。事業官庁に成り下がった環境省は、地域環境や人の健康を守るより、ゼネコンやプラントメーカー、分析機関、コンサルタントなどに多額の税金をばらまいて利権にまみれた税金の無駄遣いに終始したと批判されても仕方がありません。 環境省始まって以来の巨額の予算を手にした役所の暴走を止めることが出来なかった議会、マスコミの責任も問われるべきでしょう。そして、政府とマスコミが一体となった情報操作による世論誘導にすっかり流されてきた国民にもその責任があると言わざるを得ません。 本来、マスメディアこそ検証するべき問題ですが、この問題に関しては、期待できません。せめて、納税者として、また市民としてしっかり声を上げていくことが必要だと感じます。 質疑応答中の筆者 環境総合研究所は一貫してこの問題に食い下がり、情報開示請求や現地視察、現地自治体へのヒアリング、環境省へのヒアリングなどを行い、問題の本質を追求し、全国の市民に情報発信してきました。今後も、引き続き、国から自治体に至るまで、廃棄物の処理に関して、本当の意味での被災地支援とはどうあるべきだったのか、今後に向けて検討していきたいと思います。 ★なお、今回、週刊金曜日編集部と協力し、環境省に質問をぶつけました。環境省からFAXで送付された回答を公表しますのでご覧下さい。 災害廃棄物の広域処理に対する自画自賛の様子や、1兆円超の予算の実態、東日本大震災復興・復旧交付金(循環型社会形成推進交付金)の配分などが明らかになっています。 特定被災公共団体への手厚い補助を行うため(100%国の負担で廃棄物の処理を行うため)補助金に加えて、GND基金(グリーンニューディール基金)から1000億円超、さらに、交付金、総務省からの補助金などが使われた実態も分かりました。 資料: 環境省からの回答(FAX) |