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民主党政権になって鳩山前総理が国際的に二酸化炭素排出量90年比25%減を表明して以来、事業所や家庭での省エネ、節電が今まで以上に必要だとして官民挙げて?様々な取り組みを進めているところだった。 その裏で、温暖化対策の切り札として原発推進が大手を振って進められていることの問題をもっとしっかりと指摘し続けるべきではなかったかと改めて悔やまれる。温暖化対策のためではなく、原発依存から脱却するためにこそ、省エネ対策・節電が必要だったからである。 さて、東京都は自治体の中でもかなり積極的に温暖化対策に取り組んでおり、「温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度」に基づき大規模事業所に対しては厳しい二酸化炭素の排出抑制を求めている。 そんな中、衆議院議員の河野太郎氏がメールマガジンで都内の大学別電力消費量比較データを取り上げ、昨年(2010年)8月の東大本郷キャンパスの電力使用量は、22,725,240kWと、他の大学に比べて一桁大きく、第二位の東京医科歯科大学の4倍と大きいことが明らかになった。 それを受け、東京都市大学の青山貞一教授は、独立系メディアE-wave Tokyoのブログで「東大がダントツに電気を使っていた!東京都内にある国立大学の電気使用量」として論評し、「東大はいわゆる”原発村”の中核にあるわけだが、その東大が上記のように膨大な電気を使っているのはブラックジョークである!」と結んでいる。 そのブログを見たのかどうか、2011年5月19日の東京新聞の「Tokyo発」の頁に「東大流節電術 6万戸相当消費『都内一』IT駆使 電力量見ながら使う」という記事が掲載された。記事のリードは次の通りである。 −−−−−−東京新聞(2011.5.19朝刊28頁のリード部分)−−−−−−−− 東京大学が、電力消費量「都内一」だと、やり玉に挙げられている。電力不足が心配される夏はすぐそこ。世界に誇る先端研究の拠点で、頭脳を結集して始まった「東大流節電術」とは。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− これをみると、さすが「東大」と思わせるような技術でも導入したのかと思うが、何のことはない、「消費電力の見える化」を行って節電しているという話に過ぎなかった。そんなことは巷ではとっくに取り組まれていることである。 それにしても、国立大学の中で消費電力がダントツに多い東大は、当然のごとく二酸化炭素排出量もダントツで、本郷キャンパスは大学だけでなく都内事業所の業務部門で最大の排出者だったのだ。以下、東京新聞に掲載されたデータを紹介しよう。 −−− CO2排出量の多い都内の主な施設一覧 ※2009年度業務部部門、都の資料から抜粋(単位:t)
◆東京都によると、オフィスや商業施設といった工場などの生産拠点を含まない業務部門では、2007年度の統計でCO2排出源の76.8%を電力が占めた。CO2の排出量の多い事業所を見ると、電力消費量の多い大型コンピュータを使うオフィスビルや、深夜も休まないテレビ局などのマスコミ、ホテルなどが目立つ。 (東京新聞記事より抜粋)−−− 驚いたのは、記事のタイトルにもあるように、東大本郷キャンパスだけで、6万戸分の排出量というのだ。この度の震災で被災した南相馬市の人口は7万人、世帯数は24000世帯ほどである。いかに巨大かがわかるというものだ。それが、今頃、「電力使用状況を把握しないまま省エネに取り組む事業所は、速度計のない車を運転するようなもの」(東大大学院の江崎弘教授のお言葉)というのだから、何をか言わんや、である。 東大の見える化は、学内の消費電力量の推移をインターネットのサイト上にリアルタイムで表示し、学生や教職員はパソコンやスマートフォンなどの画面で建物ごとの電力量を把握でき、使いすぎていることに気がついた人が電源を落とすことなどで節電効果が期待される、のだそうだ。 最もおもしろいのは「使いすぎていることに気がついた人が電源を落とす」というのだが、実際そのようなことがあるのだろうか。疑問である。なによりも、他校やその他の事業所との比較を出して、組織を上げて猛省した上で、トップダウンでより積極的な対策を講じることが必要なのではないだろうか。何よりも、いままで気がついていなかったことをまず真摯に反省すべきである。是非とも節電の効果も見える化し外部に公表して頂きたいものである。 大学別が明らかになった次は、主要なマスコミ別の電力消費量、二酸化炭素排出量も是非しっかり比較し、評価を行ってみる必要がありそうだ。 |