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癒やしの温泉巡り


池田こみち

掲載日:2014年6月7日
独立系メディア E-wave Tokyo
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 真夏日が続く5月末の5日間、鹿児島県薩摩川内市に出かけた。

 2012年6月に災害瓦礫広域処理の問題で鹿児島市内での講演を行うために立ち寄って以来2年ぶりの帰郷となる。


鹿児島県 薩摩川内市   出典:グーグルマップ

癒やしの温泉巡り

 今回は4泊5日と短い滞在だったが、久しぶりなので、従姉妹と一緒に、二人の叔母(88歳と84歳)を連れて3カ所の温泉を楽しんだ。鹿児島には、桜島と霧島に代表される火山の恵みにより、沢山のすばらしい温泉がある。今回訪れた三カ所は@薩摩川内市湯田町の川内高城温泉、A薩摩郡さつま町の紫尾温泉、B日置市東市来の湯之元温泉だ。これらは、川内原発からの距離が@は約12km、Aは約18km弱、Bが約27kmと、いずれもUPZ内にある。


図1:訪問した温泉の位置 No.1

●薩摩川内市の川内高城温泉(原発から直線で12km)

 薩摩川内市内から約10キロ、四方を山に囲まれた小さな盆地の中にある山の湯です。800年余りの古い歴史を誇り、西郷隆盛も愛用した俗化されていないひなびた人情味あふれる温泉郷です。

 ゆっくり湯治するには絶好の場所で、旅館によっては自炊部屋もあります。平成2年には、「日本の名湯百選」にも選ばれ、県下でも有名な湯治湯として知られています。夏のかじかの鳴く声やホタルの飛び交いはよりいっそうの風情を醸し出しています。また、このあたりは竹が多く、温泉街に手づくりの竹細工店もあって、みやげ物に最適です。5月下旬には「ほたる祭り」、11月中旬には「西郷どん御狩場マラソン」も開催されます。
(薩摩川内市観光案内より)

 薩摩川内市からは、国道3号を北上し、市街地を抜けて2kmほどのところを右折、県道340号に入る。原発事故時には避難道路ともなるので、きれいに舗装された片側一車線の道路である。道なりに進むと次第に農村地帯から中山間地へと進み湯田町の峠を越えれば温泉街となる。車なら川内から20分程度で行ける。湯田の峠で県道340は、399号につながり、東シナ海に沈む夕日が美しい西方海岸へと続いている。


写真1:温泉街メインストリート 県道399号  No.2

 現在のところ、温泉街の道路は狭く、大型バスなどのすれ違いも難しいほどなので、避難道路としては使いにくいとして新たに道路整備が進められる予定となっている。私の祖父母の家は温泉の手前の部落で、山を越えて歩けば30分ちょっと車なら5分と近い。

 温泉街には、双葉旅館、梅屋旅館、貴久屋旅館、竹屋旅館、ホテルマル善などの宿泊施設があるが、マル善以外はどれも湯治客用のひなびた旅館である。竹屋は源泉をもつ旅館として歴史も古い。そこは母方の親戚でもある。久しぶりに竹屋のお風呂に入って疲れを癒やした。


写真2:竹屋旅館関連 No.3、竹屋別館入り口(看板)


No.4、竹屋別館(外観)


No.5 竹屋岩風呂

 本館の湯治客用のお風呂とは別に、竹屋には別館に大浴場岩風呂がある。この温泉街では大きいお風呂はここだけなので、日帰り客も多い。畑仕事や山仕事がおわってから近所のお年寄りたちがひとっ風呂浴びる場所であり、コミュニティの中心となっている。女湯には祖母が着物姿で子供と手をつないだ石像も飾られているので懐かしい。

 川内高城温泉にいらしたら、西郷さんが入ったとされる共同湯はとても狭いので、是非、竹屋の岩風呂をご利用頂きたい(宣伝です・笑い)。最近リニューアルして綺麗になっていた。また、別館には家族風呂も新設されていて人気が高いようである。ちなみに入浴料は改装後値上がりして350円(大人)となっていた。

さつま町紫尾温泉
 霊峰紫尾山連峰を背に、清らかな河鹿鳴く渓流、閑静ないで湯紫尾温泉。紫尾神社拝殿下よりこんこんと湧き出てあふれて数百年。今なお、豊かな湯量と清澄な湯水の美しさを誇っています。
(紫尾温泉組合Webサイトより抜粋http://shibionsen.web.fc2.com/)

 ここは、川内の中心地から北東方向に約50分ほどのドライブで到着する山間の温泉。神社と一体となっている。神の湯は共同浴場となっており日帰り入浴客も多い。ちどり荘、くすのき荘、旅籠しび荘、四季の杜紫尾庵の4件の旅館があり、今回は、しび荘別館として最近出来た紫尾庵に宿を取った。

 部屋はすべて離れタイプになっていて全6室。最近テレビの旅番組でも紹介されたらしく、週末や観光シーズンはいつも満室とか。今回は幸い空いていてつるつるの温泉と宿の裏を流れる沢で蛍の乱舞を楽しむことができた。


写真3:紫尾温泉関係 No.6 紫尾庵前集合写真


No.7 紫尾庵離れの部屋


No.8 紫尾庵離れの部屋


No.9 紫尾庵 ガクアジサイ

 以下は、紫尾神社に隣接している共同湯 神の湯の入口。ここには残念ながら今回は入らなかった。


写真4:紫尾温泉 神の湯 No.10 

●日置市東市来湯之元温泉
 山間の温泉を二つ味わったので、三つ目は従姉妹の勧めで、海の見える温泉に出かけた。ここも、川内市街から来るまで50分弱と近く夕方からでも気楽に出かけることができる。JR在来線なら湯之元駅か東市来駅からも近い。車なら南九州自動車道市來ICでおり、海沿いの国道270号に沿い、まさに東シナ海の地平線をみながら温泉を楽しむことができる。江口港にもほど近く、新鮮なお魚料理が味わえる。泊まったのは潮彩旅亭えぐち家である。ここは海の幸のお料理が評判でランチも賑わうとのことだ。

 冬の時期は、まさに東シナ海に夕日が沈むとのことだったが、夏の時期は、すぐ近くの岬の山の陰に日が落ちていった。あいにく、お天気はよかったのに、中国からの黄砂の影響で海と空の境がわからないほどぼんやりしていたのが残念だった。


写真5:東市来湯之元温泉 No.11 部屋からの眺め:東シナ海


No.12 ホテルレストラン前のテラス


No.13 日が沈む方向と体育館

              
No.14 江口漁港


No.15 記念撮影

 とはいえ、久しぶりに山と海の温泉を堪能することが出来、改めて薩摩川内市や鹿児島を身近に感じることができた旅だった。ついでに年寄り孝行も出来、従姉妹と私も久々に昔話もできて楽しいひとときを過ごせた。

 今回の訪問を通じて、庶民のささやかな楽しみや日々の暮らしを一瞬にして奪う可能性がある原発の存在が改めて疎ましく感じられた。原発に依存しないまちづくり、地域経済の立て直しのための知恵と努力を何とか実らせたいものである。

 是非、鹿児島に、そして薩摩川内市にお出かけ頂きたい。