東京23区清掃一部事務組合への公開質問 〜「東京モデル」と一組の国際協力 に関する基本方針について〜 池田こみち Komichi Ikeda 掲載月日:2019年2月20日 独立系メディア E−wave Tokyo 無断転載禁 |
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我が国の廃棄物処理は戦後一貫して、集めて焼却して灰を埋め立てるという処理処分を是とした方式で進められてきた。平成20年度からはそれまで分別・埋め立てしていたプラスチックごみも混合焼却されることとなり、焼却炉への負荷が高まっている。 焼却処理(中間処理)施設の整備、管理運営を業務とする清掃一組は、バブル崩壊後、右肩下がりに区民の排出するごみが減少しているにもかかわらず、焼却炉の更新、延命化を続け、焼却炉の数や規模は維持されたままとなってきた。 職員数1000名余、予算規模700億円超の規模をもつ清掃一組は、清掃を続けることが組織の存続を図る上で重要なものとなっていることは明らかである。 図1 23区のごみ量推移(明治34年度〜平成28年度) 注)平成28年度のごみ量は平成元年度のピーク時と比べて44%減 一方で、平成20年度に廃プラ焼却を開始して以降、23区内の清掃工場では水銀トラブルが頻発し、周辺住民に不安を与えるとともに多額費用負担も発生している。 国内での焼却炉市場が飽和状態となっていることから、各プラントメーカーは海外展開を積極的に行っており、これまでに多くの実績を上げているが、そうした民間企業の営業行為に公共団体としての清掃一組が、住民を無視したかたちで、自らのごみ処理方式を「モデル」としてPRし、売り込みを手助けしたり、つゆ払いするような行為は明らかに問題と言わざるを得ない。 以下に、大手プラントメーカーの海外での主な受注実績を示している。 ◆池田こみち:日本の焼却・溶融炉等、官民一体の海外売り込み実態 http://eritokyo.jp/independent/ikeeda-shoukyakuroexp1.html 質問を出すのがやや遅きに失した感は否めないがこのあたりで、襟を正してもらう機会としたい。 |