河野太郎の国会日記 ごまめの歯ぎしり 2007年2月22日号 |
党本部八時の部会に出席するためには平塚を六時三十三分に乗る。今日は運良くその一本前に乗れた。うーん、朝から調子がよいと思っていたら...携帯電話を忘れた! 日程も携帯電話に入っているので、朝から党本部のどこに行ってよ いかわからない。 携帯電話を持つ前はどうやって生きていたんだっけ。とにかく家の電話番号と事務所の番号以外、ぜんぜん記憶にない。 夜、帝国ホテルでクウェートのナショナルディのレセプションがあるから、それに顔を出して大使に御挨拶をしてから...なんておおざっぱに予定を決めるが、で、帝国ホテルのどこよ。 相手の携帯電話の番号がわからない! 事務所に電話するがみんな地方選の応援で出払っている。が、スタッフの携帯電話の番号もうろ覚えでわからない。えらいこっちゃ。 この通常国会も約九十本の法案が国会に提出される。 政調副会長として政調の審議会で法案審議に参加するが、一時間の予定の審議会に十数本の法律がかかる。 ほとんど右から左に流すだけ。が、ここで言うことを言わないとそのまま総務会に流れ、党議拘束がかかる。 部会だって法案を一時間で検討し、結果を出さなければならない。 審議会はもっと時間がない。これで党議拘束をかけちまって良いのか。 審議会でいろいろと意見を言うと、あっという間に予定時間をオーバーする。意見を言うだけ言って、そのまま流す人もいるが、僕はおかしいものはおかしいと突っ張る。どうも審議会は河野太郎が突っ張るから長くなるといわれているようだが、じゃあ、審議しなくても良いのか。突っ張るだけ突っ張って最終的な判断は政調会長あるいは代理の采配に従うことになるが、サービサー法の改正のように部会に差し戻しということになったりもする。 一部の法案のように、族議員の集団が裏で作ってから部会に出てくるものもあり、部会では役所の都合で書かれたA4一、二枚の紙での説明で終わりだし、これで与党の責任を果たしているのだろうかといつも疑問に思う。野党はゆっくりと委員会で難癖をつけられるが、関係者が法案を見て問題点に気がつく頃には与党審査が終わっていて野党だけが問題点を指摘するということになる。 なんかちがうぞ。 で、エネルギー基本計画の改定なるものが審議会にかかる。 プルサーマルにいくらかかるかも国民に説明がなく、兆の単位で国民負担が増えるのに、節約できるのがウラン燃料の一割だけではないかという指摘をするが、それに対する答は返ってこないのだよ。 ワンススルーよりも再処理した方が、つまり使用済み核燃料よりも高レベル放射性廃棄物にしたほうが量が少ないなどという説明があるが、そこで言う高レベル放射性廃棄物にはプルトニウムを燃やしたときのものは入っていないではないか、という問いにも答はかえってこない。 ウラン価格が高くなっているのだからリサイクルしなければいけないのだというが、それならばなおのこと、今のうちにウランを長期に買い付けたらどうなのか、あるいは新エネルギーに投資したらどうなのか、あるいは高速増殖炉を前倒しする投資をしたらどうなのかといってもなしのつぶて。 高速増殖炉の実証炉は2030年までに完成する予定になっていたのが、もっと早めろという声が強いので2025年に前倒ししました、でも新エネルギーの量をもっと増やせというのはいろいろと解決しなければならない問題が多いのでそんなもの増やせません、という計画だそうだ。高速増殖炉の実証炉は鉛筆なめて導入年月が変えられるのに、バイオマスの目標値を変えるのはそれよりももっと難しいのだそうだ。 余剰プルトニウムがあるからプルサーマルというならば、再処理を止めれば良いではないか。再処理とはどういうことかという説明を国民にわかりやすくすることもせずに、国民に負担させるのはおかしいではないか、などといろいろ言っても、資源がない日本は原子力の平和利用を推進しなければならないのだの一本槍。 だから、原子力の平和利用には文句をつけていないって。プルサーマルがなんでウラン燃料のリサイクルなのか、プルサーマルで一割しか節約できないのに、いったいいくら国民に負担させるのかと聞いているのだから、それに答えて欲しいのに、エネルギーの安定供給が大事だという答しか返ってこない。 挙げ句の果てに、自分の主張と違うから反対するのはおかしいなどと言われ。じゃあ、問いにきちんと答えて見せろ!! よくわかっていて意図的に論点を外しているか、よくわかっていなくて、ウランとプルトニウムの違いに気がついていないか、どちらかではないかという人ばかりで議論しても前に進まない。 本当に、エネルギー問題を真剣に議論しようというならば、なぜ、国民にわかりやすく本当のことを話さないのか。 巨大な後ろめたさが隠されている。 |