前回までに、「社会福祉事業団は金融機関から融資を受け校舎を建設しているが、金融機関への金利を含めた返済は、すべて東京都からの補助金で行なっている。今後とも、民間の学校法人が施設を継続的に使い続けるとすると、東京都が民間の学校法人に補助金を出し続けることになる。包括的外部監査報告によると、その総額は21億円にのぼることになると言う。さらに、包括外部監査は、建物のテナント料(賃貸料)自身が地代を考慮しないとしても、現在のテナント料の相場から見てかなり低いとしている。」ことが問題であると指摘した。
では、なぜ、包括外部監査が指摘するような現行テナント料の相場から見てかなり低い額で東京都は民間組織に便宜を図っているのだろうか?
まず、東京都は都有地など、行政財産を扱う際に公有財産管理運用委員会において議論し、当該委員会で行政財産の賃貸、貸与、売却などを決めるか、あるいは財産運用に係わる部長協議で決定しなければならない。
しかるに、今回の場合、当初計画時には、公有財産管理運用委員会で議論され、件(くだん)の社会福祉事業団独自が福祉関連の人材養成を行なうという前提で、都有地の貸付を無償貸与すると決められた。
しかし、すでに指摘したように、開校の直後に昼間は民間学校法人が教室を使うことに変更されており、都有地を使用する目的が変わったのであるから、再度、上述の諸手続をとらなければならないはずだ。つまり、公有財産管理運用委員会での再議論が必要なはずであえる。だが、本件ではどうも公有財産管理運用委員会への付議も部長協議も、されていないよ
だ。
つづく