焼却炉建設強行の町長落選! 〜長野県御代田町〜 青山貞一 掲載日:2007.3.24 無断転載禁 |
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2007年3月22日、長野県環境審議会に出席するため長野県に出かけたが、その途中、長野県の軽井沢町と小諸市の間にある御代田町にひさびさにたち寄った。天気は上々。桜はまだだが、すがすがしい空気だ。 この町では、つい最近まで町長を務めた土屋氏が南浅間山麓で強引に大規模な溶融炉、後に大規模な焼却炉の建設を強行し、それに反対する町民と対立していた。 以下のブログは一昨年夏、地元住民団体の依頼により現地で講演をしたときのブログだが、当時は土屋町長(当時)が荏原製作所の日量で100トンを超える大規模な溶融炉をこともあろうか、浅間南山麓に立地を進めていた。 しかも、土屋町長は、御代田町だけでなく両隣の自治体、すなわち小諸市と軽井沢町を巻き込み1市2町でこの計画を進めていた。 当時私は長野県で環境政策のアドバイザーをしており、田中知事の指示で私は小諸市長、軽井沢町長と3人であい、何としても多くの湧水が存在する南浅間山麓において大型焼却炉を建設することだけは避けて欲しいと伝えた。 しかし、御代田町は立地選定調査もろくにせず、はじめから建設ありきの町の姿勢に反対する住民を尻目に、浅間山麓のなかでも風光明媚な「塩田」で大型焼却炉の建設を事実上決め、あとづけてきに環境アセスメントを強行したのである。 現地に行ってみればすぐに分かるが、この浅間南山麓は、日本でも有数のすばらしい景観、それにあちこちに湧水がわき出ている。その一角にある真言宗のお寺、真楽寺には、湧水による透明度の高いすばらしい池もある。 こんな場所に、溶融炉その後、焼却炉を町民の反対を押し切り建設すること自体、トンデモである。 町民らは、御代田町が行った環境アセスメントなどの調査費支出に関連し、住民監査請求そして住民訴訟を行った。また、ゴミ焼却の代替案をいろいろ提案するなどひとかたならぬ努力をした。反対するだけでなく、どうすればゴミ焼却主義から脱却できるかを模索したのである。 昨年秋は、上勝町長を呼んで「ゼロウエイスト問題」の講演会を行ったり、私たちが昨年10月に行った全国縦断環境政策講演会の軽井沢シンポジウムに参加するなど、勉強にも余念がなかった。 そんな中、統一地方選に魁け、2007年2月、御代田町の町長選挙が行われることになった。 具体的には、任期満了に伴い2月13日告示で18日投開票の御代田町長選である。 これには3選を目指し現職の土屋清町長(63)が早々に出馬宣言をした。 その町長が町内に計画している可燃ごみ処理施設建設をめぐり、同町長選を「(計画の賛否を問う)一つの住民投票にもなる」と述べていた。 したがって、同計画に反対する町民にすれば、この町長選挙で焼却炉建設に反対ないし見直しをする町長候補が勝てば、まさに永年の夢がかなうことになる。 だが、そういっては何だが、おいそれ町長選に勝てるとも思えなかった。 その後、御代田町長選に町議の茂木祐司氏(50)が立候補した。 私は常々、今の日本社会では、シングルイッシューの場合、住民投票や直接請求よりも、首長選の方が圧倒的に民意を問うだけでなく、政策ツールとしても有効であると考えていた。 この選挙はまさにその通りとなった。 反対派住民はがんばりにがんばった。 そして、2月18日に行われた御代田町の町長選挙では新人の茂木祐司氏が現職の土屋清町長を、4333票対3215票の大差で破り当選した。 その茂木氏は、 @暮らしの負担の軽減 A自校給食の存続 Bゴミ焼却場計画の見直し C同和事業の廃止 D農業・中小商工業者への支援 E出前町長室の開催 の6つを公約していた。 焼却炉建設に反対してきたある町民によれば、「上勝町のような明るい御代田の実現が期待できます。みんな御代田の夜明けが来たと喜んでおります。」ということになったのである。 これには全国津津浦々から賛辞が寄せられた。ただ、御代田町で「ゼロウエイスト」を実現するためには、多くの難関が待ちかまえている。気を緩めず、小諸市や軽井沢町と手を携えがんばってほしい!! |
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青山貞一講演会 in 御代田町 浅間山ろくで「ゼロウェイスト宣言」を! 〜「脱」焼却、「脱」埋立の循環型地域づくりを〜 掲載日:2005.7.24 無断転載禁 |
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2005年7月23日(土)、長野県御代田町を中心に、軽井沢町、小諸市の住民団体からの依頼でゴミ問題の講演を行ってきた。小諸、御代田、軽井沢と言えば浅間山ろくの長野県側一帯に位置する。 出典:ライブドア地図より作成 当日は、東京駅からあさま605号で佐久平に向かった。10時42分に佐久平駅に到着。講演会の主催者の尾関夫妻が出迎え、一路、講演会場に向かい、そこで地元住民のSさんと合流し、御代田町を現地視察した。立地予定地の苗畑地区に行く。立地予定地は、上の立体地図の+印周辺にある。この辺は、浅間山ろくの傾斜地、ばらしい自然、景観、水源、歴史文化がそそかしこにある。 そのまんなか、農水省系の独立行政法人、草地試験場の隣に、流動床型の溶融炉の建設が計画されているようだ。現在、生活環境影響調査の最中で、環境工学コンサルタントと言う談合業者が気象観測などをしている。 そもそも生活環境影響調査の最中に、橋梁談合で日本全体が揺れているなか、地元では溶融炉メーカーの名前がまことしやかに出ていること自体、大問題だ。 地元住民がやっとのことで入手した関連市町の年間のゴミ排出データは、以下の通り。 立地予定地の御代田町の1日ゴミ排出量はせいぜい4〜5トン、一方、一部事務組合の相手先となるはずの軽井沢町と小諸市のゴミ排出量があわせて50トン前後その約2倍の95トンが溶融炉の計画規模とのことだ。 データ面から見た根拠を推定すると、御代田町+軽井沢町+小諸市の可燃ゴミ+(不燃ゴミ)+生ゴミを溶融炉に投入するとして次のような推計となる。 表 関連2町、1市のゴミの推定排出量 単位:トン/年
がないので、割合を50%として按分してある。 年間の可燃ゴミ+不燃ゴミ+生ゴミの総量は206529t/年となる。これを365日で割ると57トン/日となる。一方、可燃ゴミ+生ゴミの場合は一日50トンになる。 御代田町の溶融炉計画が、もし不燃ゴミを溶融しない場合、残りとなる可燃ゴミと生ゴミは後述するように、堆肥化とリサイクルなどで十分対応が可能となり、溶融炉,焼却炉そのものが不要となるはずだ。すでに小諸市が堆肥化を進めており、御代田町も小諸市の堆肥化施設で生ゴミを処理しているという情報もある。 もし、日処理量が100トン規模(稼働率50%)の焼却炉を建設すると、今後少子化が進む中で、ますます発生抑制、排出抑制、減量化、リサイクルをせず全量焼却が継続する可能性が高くなる。 100トンではなくあえて95トンとしたのは、推定するに96トン以上になると長野県の環境アセス条例の対象となるからだ。95トンなら何と、土壌汚染、地下水、自然環境などが調査から除外される生活環境影響調査で地元自治体で手続が対応となると考えたからのようだ。 いずれにしても、常識で考えてきわめて不可思議なことは、全体の1/10しかゴミを出さない御代田町に溶融炉を建設することである。 上記を脱焼却、脱埋め立てを前提とした<ゼロウェイスト>的に考えると、次のようになる。 すなわち @生ゴミは堆肥化(ただし下水汚泥は別処理)、 A可燃ゴミのうち紙、木類はリサイクル、 B不燃ゴミの多くはプラスチックとなる。プラスチックは当面圧縮後に仮置、金属類はリサイクル等 となる。 小諸市ですでに比較的大規模な堆肥化施設が稼動しつつあると言うからなんで御代田町に大規模な溶融炉を建設するのか理解に苦しむ。。
現地視察をしていておどろいたのだが、浅間山ろく南側に位置する御代田町一体は、すばらしい水源となっている。あちこちに湧水がある。地元住民のSさんは、その場所を記憶され、具体的に場所を教えてくれた。 なかでもすばらしい遊水地は、尾関先生の奥様持参の昼食をとった、真言宗智山派の真楽寺の地だ。下の写真はその真楽寺のもの。こんこんと湧き出る湧水が池になっている。 真楽寺は、明天皇元年(586年)の奈良時代、浅間山の大噴火が鎮まることを祈願して建立されたと言う。仁王門の両側にある仁王像を見ながらくぐると、杉木立に囲まれた参道がある。その左側に池がある。 池を良く見ると龍が頭をもたげている。何でも諏訪の神が人間であった時に大きな苦難に遭遇しながら、みごとそれを克服したときに神と祭られましたと言う言い伝えがある。 湧水が絶えず湧き出ることで、透き通った池には、聖徳太子が立ち寄った際の“七尋芹”の伝説もあるそうだ。7月最終の土曜日に御代田町の最大行事である「龍神まつり」が開催され龍神伝説発祥の寺で勇壮な龍神の舞を見ることができるそうだが、残念ながら今回の訪問はちょうど一週間早かった(無念)。 ところで、真楽寺には観音堂がある。この観音堂は寛文5年(1665)建立され、別名「厄除慈母観音堂」ともいわれている。境内には厄除観音、三重の塔、子育て地蔵などががあった。なかでも、重要文化財に指定されている三重の塔がすばらしい。 なかなか見れない秀逸な塔だ。この三重の塔は慶長18年(1613年)に焼失したものの、寛永4年に再建されたとのこと。江戸時代中期の特徴を表している。高さは18mある。 溶融炉の立地域は、この秀逸で端正な歴史文化,自然をもった寺社から約1kmの距離にある。 現地視察を終え、午後1時30分に講演会会場にもどった。講演会には、約200名の町民、市民が集まってくれた。講演内容については別途、詳しく報告できればと思う。 講演では、焼却炉、溶融炉などによる焼却主義がもたらす5つのリスク、すなわち @環境リスク......焼却、溶融はダイオキシンはじめ重金属などを排出し 地域の空気、土壌、表流水,地下水などを汚染する。 地域の樹木、鳥類などの自然環境にも影響を及ぼす。 A健康リスク......焼却、溶融は環境を汚染するだけでなく、最終的に 人間の健康にも影響を与える。 B資源リスク......焼却、溶融は資源であるべきものをすべて燃やしてしまう C技術リスク......溶融炉は未熟な技術であり、爆発事故はじめ多くの 技術的危険性がありうる。 D財政リスク......溶融炉は建設時に膨大な費用がかかるだけでなく、維持 管理、運用時にも毎年膨大な経費がかかる。 について220枚のパワーポイントを使ってお話した。 以下の写真は主催者側が撮影。 ゼロウエイスト、とくにカナダ・ノバスコシア州の脱焼却、脱埋め立ての循環型まちづくりについては以下をご覧下さい。ことしも8月下旬に約20名で現地施策を行う。 ◆ノバスコシア・ハリファックスの循環型社会づくりレジメ(PDF) 講演では、上勝町の34分別によるゼロウエイスト宣言についても動画付パワーポイントを使い、紹介した。 それにしても、おかしく不可思議なの は、ゴミ排出量がもっとも少ない御代田町が溶融炉の立地、建設を提案し、引き受けることだ。その背景には、さまざまなものがあると思うが、ここではあえて言及しない。 一方、軽井沢町と小諸市は緊急に大規模な焼却炉なり溶融炉を必要とする背景はあるとも思えず、国庫補助等があったとしても、100トン規模となれば最低でも中枢プラント部分だけで60億円程度、補助があっても数10億円を3町村が地方債等で自己負担せざるをえない。 総務省(旧自治省)は合併特例債をゴミ処理施設に適用すると言っているようだが、ご承知のように軽井沢町は財政が豊かで過去、合併を一切しないこととしている。 となれば、環境省大臣官房リサイクル部系の国庫補助(これも近年財政難で補助率が大幅に下がっている)はまだしも、総務省系の地方交付金による起債の償還は、難しくなり、1市2町の債務は大きくなる。 いずれにしても、現地調査でみた立地予定地周辺は浅間山ろくのすばらしい湧水、水源地があり、国有林などの樹林もあり、オオタカの営巣などもありうる。さらに、先に紹介した真楽寺など貴重な歴史的建造物もあり、到底、この地に大規模溶融炉の立地はなじまないと感じた。 質疑を含め終了後、田中知事の両親がこられおり、お父様が壇上にこられご挨拶をいただいた。これにはびっくり。田中知事の自宅は、御代田町のすぐ隣、軽井沢町南原にある。 ところで、終了直後に東京で大きな地震が起きたことを聞かされた。今回は終了後、北軽井沢にある環境総合研究所の保養所(別荘)まで送っていただく予定だったが、震度5の地震発生と言うこともあり、東京に戻ることにした。 佐久平駅で長野新幹線を待っているとき、色平哲郎医師(南相木村)が私に声をかけられびっくりしました。色平さんは息子さんとご一緒で千葉の実家に帰り途中とのことでした。 車中、いろいろと近況を話し合いながら帰った。東京ではJR山手線のスケジュールが乱れていましたが、無事帰宅できた。 2005.7.24 信濃毎日記事 |