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ジャパン・ナッシング!?
   青山 貞一

掲載日:2004.3.13

 3月11日夜の筑紫哲也NEWS23にゲスト出演した米国の共和党議員の発言は大変興味深いものがあった。

 日本の必要以上の米国追随について警鐘を鳴らすなど、米国の共和党議員にもこのような考えをもっているひとがいるのかと、驚いた。この共和党議員は、以前国務省副長官をしていたという。

 興味深かったのは、米国の対日政策がジャパン・バッシング→ジャパン・パッシング→ジャパン・ナッシングに移っていると言う点だ。もちろん、その背景には、すさまじい勢いで成長、発展する中華人民共和国の存在がある。

 その昔、アッシー君とか、何何君と言うのが流行したが、日本の外交スタンスはまさに、それである。いくら気を遣い、金を使い、乗り物を提供しても、相手は用がない限り、さして日本を気にかけない。その意味で、経済分野では部分的にジャパン・バッシングがあり得ても、外交分野では総じてジャパン・パッシングの状態にあると言ってよいだろう。

 イラク戦争支持にしても、イラク自衛隊派兵にしても、米国としてみれば、口では社交辞令的に感謝しているものの、その実、復興支援金さえ出してもらえれば、それ以上はどうでもよい、と言ったところか。

 今後、米国の主たる関心が同じ東アジアでも中国に向かうことは必至である。そうなれば、まさにジャパン・ナッシングとなるだけであろう。要するに、米国から見れば、日本は何も言わずただついてくる、言えば金を出す相手であって、肝心なところで助言をしてくれたり、批判をしてくれる真の意味での友人ではないからだ。岡崎元駐米大使が主張する損得だけの米国盲従だとすれば、当然の帰結である。

 現在の米国の一国主義化についても、この共和党議員は行き過ぎであることを指摘し、国連など多国間での協議を重視すべきと言っていた。さらにブッシュ政権は帝国主義であると言う認識を示していた。

 さらに興味深いことを言っていた。それは、日本が将来、北朝鮮問題で世話になるか、イラク戦争やその戦後復興で米国を支持したことへの質問への返事だ。共和党議員は、それはまったく別のものであって、北朝鮮問題はイラク戦争と関わりなく、同盟国として対応するだけであると言っていた。おそらくこれが共和党、民主党を問わず平均的な米国政府のスタンスではないだろうか。

 最後に、民主党のケリー上院議員がこの秋の大統領選でブッシュ現大統領を破る可能性について聞かれたら、同議員は、かなり良い勝負をするだろう、と述べていた。