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世論無視で米追随した政権の末路(2)
   青山 貞一

掲載日:2004.3.23

 ついに、テロ対策を担当していたリチャード・クラーク前大統領特別顧問がブッシュ大統領、ラムズフェルド国防長官による9.11以降の対テロ戦略の実態を暴露した。クラーク氏によると、9.11勃発当初から、何ら根拠ないままブッシュ米大統領やラムズフェルド国防長官は何とイラク攻撃を指示していたと言う。

 ブッシュ大統領は、9.11勃発以降、クラーク氏らに、「イラクがやったかどうか知りたいんだ」と話し、クラーク氏は大統領がイラクがやったという報告をほしがり、自分たちに圧力をかけていると受けとめたと言う。クラーク氏が「イラクは(対米テロとは)関係ない」と説明すると、大統領は「イラク! サダム! 関連を見つけだせ」と強い調子で指示したという。

 2004年1月に辞任したブッシュ政権のオニール財務長官やケイCIA特別顧問も、ほぼ同じような証言をしているところをみると、ブッシュ大統領やラムズフェルド長官らがイラク戦争の理由とした、「大量破壊兵器」の存在など、どうてもよいこと、ただイラク戦争をしたいだけだったことが良く分かる。とんでもないことだ。

 そんな中、東欧諸国でハンガリー、チェコとともに、国民世論を無視して米英によるイラク戦争に追随したポーランドのクワシニエフスキ大統領が、「大量破壊兵器不存在」問題を理由に、イラクから2005年早々に軍隊を撤退すると述べざるを得なくなった。

ポーランド・クワシニエフスキ大統領近影

 大統領は以下の朝日新聞の記事にあるように、「大量破壊兵器ではだまされた」と述べたそうだが、結局、ポーランド、ハンガリー、チェコなどの東欧諸国は、米国への寄らば大樹と米国からの経済援助の観点から追随したことは間違いないところだ。

 イラク戦争勃発前、一方でEU参加を願い出ながら、他方で米国にすり寄ったツケがここにきて出つつある。何よりも、問題なのは国民世論を無視して米英に追随したことであろう。今後、ポーランド現象は他の東欧諸国にも波及することが必至である。

 すでにオランダやポルトガルも撤兵を検討し始めたという。2003年2月時点のオランダ、ポルトガルの国内世論は72〜80%がイラク派兵に反対となっていた。いずれにしても、世論無視の米国追随の末路は同じである。

ポーランド大統領、「大量破壊兵器ではだまされた」
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 ポーランドのクワシニエフスキ大統領は18日、イラクで大量破壊兵器が発見されていない状況について「我々はだまされた」と述べ、米国を批判した。ポーランドは親米国で昨年3月のイラク戦争開戦時に戦闘部隊を派遣し、戦後も治安維持に全面協力している。

 ワルシャワからの報道によると、大統領は仏記者団との会見で「大量破壊兵器に関する情報でだまされたことに、不愉快さを感じている」と述べ、別の記者会見で「これは米英と、他の多くの国々の問題だ」と指摘した。

 イラクからの撤兵時期についても、従来表明していた「05年半ば」より早く「05年初め」となる可能性に言及した。

 スペインの撤兵方針表明で、米国寄りの「新しい欧州」の一角が崩れ、ポーランドは欧州で孤立する可能性が出ている。一方、イラク復興事業での受注増や渡米者へのビザ基準緩和といった米国への要求は満たされていない。このため、もともと派兵に反対の声が半数を超えていた国内の不満は高まっている。

 大統領の発言は5月に欧州連合(EU)加盟を控え、米欧間のバランスを考慮して、軌道修正を図ったとの見方も出ている。

 反響は大きく、米国では政府首脳が両国関係の不変を強調するなど対応に追われた。クワシニエフスキ大統領は19日、ブッシュ米大統領から電話を受けると、「ポーランド軍は、必要とされるよりさらに1日長くイラクにとどまる」と確約したという。

朝日新聞2004/03/20 02:16)