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地に落ちた朝日新聞の一面記事
〜恥ずかしげもなく
鈴木宗男議員質問主意書の
完全後追い〜


青山貞一

2006年1月18日
  
  
2006年1月13日の朝日新聞夕刊の一面記事をご覧になられた方は多いはずだ。その一面記事は、朝日新聞が情報公開によって得た外務省が貯蔵する来客用ワインについての記事だった。
 
 以下はその記事の全容である。


.外務省貯蔵の賓客用ワイン8千本 なぜか9割は仏産
朝日新聞 - 2006年1月13日

東京・麻布台にある外務省施設の地下貯蔵庫に約8000本のワインが眠る。日本を訪れる賓客をもてなすために、同省が買いためたものだ。外交の舞台でテーブルを彩るワインは欠かせないだろうが、いったいどんなワインを買っているのか。情報公開制度を通じて、購入の実態を探った。.....

 
ところで、 これってどこか聞いたことがある内容ではないか? 

 そうだ、衆議院議員に返り咲いた鈴木宗男議員が30数本出した質問主意書の一本に政府が答えた答弁書の内容である。

 以下は鈴木宗男議員が出した質問主意書とそれに対する内閣総理大臣からの答弁書である。

平成十七年十月三十一日提出
質問第五六号

外務省におけるワインの購入に関する質問主意書

提出者  鈴木宗男

外務省におけるワインの購入に関する質問主意書


一 外務省の国内施設(例えば飯倉公館)にワイン貯蔵庫が存在するか。存在するならばその場所と貯蔵ワインの数を明らかにされたい。

二 平成十七年度のワイン購入経費が予算計上されているか。されているならばいくらか。

三 平成元年から平成十六年まで、毎年のワイン購入にあてられた総額と本数如何。

四 平成十七年三月十一日付内閣参質一六二第七号で、「外務省は、諸外国の要人の接遇等に資するため、質、価格等に関する情報や想定される使用の機会等を勘案して、ワイン等種類を選定し、購入している」とした上で平成十四年以降平成十七年三月七日までに「外務本省において購入したワインは、合計で千六十四本、九百九十五万五千七百三十八円である」と答弁しているが、当該ワインは全て日本国内で購入されたか。それとも外国で購入されたものもあるか。当該ワインを購入した際の領収書等の証拠書類は外務省に保存されているか。

 右質問する。


 内閣衆質一六三第五六号
  平成十七年十一月四日

内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

 衆議院議員鈴木宗男君提出外務省におけるワインの購入に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 衆議院議員鈴木宗男君提出外務省におけるワインの購入に関する質問に対する答弁書



一について
 外務省においては、飯倉別館のワイン貯蔵庫において約八千本のワインを保存している。

二について
 平成十七年度において、ワインの購入のための予算は、単独の項目として計上されていない。

三について
 確認できる範囲では、平成十二年から平成十六年までに外務本省において購入したワインは合計で二千百七十七本であり、その総額は千六百四十四万三千三十八円である。

四について
 お尋ねの「当該ワイン」はすべて日本国内で購入されており、その証拠書類は保存されている。

 朝日新聞はあたかもスクープでもあるかのごとく、一面に大々的に外務省の来客用ワインに関する記事を掲載していたが、まさにこれは鈴木宗男議員の質問主意書の完全な二番煎じである。

 天下の朝日新聞が何も外務省のワインリストごときを、こともあろうか、一面トップの記事にすることもない、と思う。今の日本、もっともと重要な記事がワンサとある。

 私は鈴木宗男議員が一人で30数本質問主意書を内閣に出したことは大変すばらしいことだと思うが、朝日新聞がほぼ同じ内容を情報公開制度で入手したとして、一面トップに大々的に掲載したことについては、いかがなものかと思う。

 日本の言論の雄としてならした朝日新聞が、ここまで地に落ちた、としか考えようもない記事だ。

 それにしても、日本の大マスコミの現在の「思考停止」状態、政府の「御用広報機関化」にはうんざりだ。どうしようもないものを感じる。

 同じ御用政府広報機関だとしても、BSE、アスベスト、耐震強度偽装、ライブドア錬金術などもう少し重要な記事があるのではないかと思うが、いかがなものであろうか。