パソコンの大量生産、大量消費、大量廃棄が地球環境に甚大な影響を及ぼすという調査報告を国連大学(東京都渋谷区)がまとめた(巻末の共同通信の速報参照)。パソコンはモデルチェンジが著しく早い。CPUの速度、メインメモリー、外部メモリーの規模など、日進月歩ならぬ秒進分歩の勢いで、各社モデルチェンジを行っている。
共同通信速報は、パソコンがもたらす主として製造から廃棄までの資源、エネルギー量について触れているが、現実には日本だけで年間500万台超と言われるパソコン廃棄物がもたらす環境への影響もある。パソコンには多数、多種の重金属などの有害化学物質や塩化ビニールなどが使われている。
したがって、安直に焼却、溶融などの処理を行えば、重金属やダイオキシン類が気化し大気中に飛散しないとは言えない。パソコン関連のダイオキシンには、昨年夏、ボストンで開かれた国際ダイオキシン会議で多くの論文が発表された臭素化ダイオキシンも含まれる可能性がある。
他方、液晶ディスプレーにより1台当たりの電力消費量は省エネ化されたとは言え、他の家電同様、一家で数台、一人で複数台使用するケースが増え、インターネット常時接続や個人によるサーバー設置などにより、使用時間も大幅に増えている。
クリントン前大統領は、就任直後、ワシントン(DC)の各省庁が使うパソコン機器の省エネ方針を出したが、野放図に設置、使用されている日本の省庁、自治体のパソコン機器についても購入からリユース、リサイクルについて明確な方針を出すべきである。
1台の資源消費1・8トン パソコン製造で国連大調査
【ワシントン7日共同】パソコン1台の製造には燃料や水、化学物質が計約1・8トンも必要で、コンピューターの大量生産、大量廃棄は地球環境に重大な影響を及ぼすとの調査報告書を国連大学(本部・東京)の研究グループが7日発表した。
調査をしたエリック・ウィリアムズ研究員は「パソコン販売台数は各国で急増しており、政府や企業が長寿命のコンピューターの製造と普及に取り組まなければ、パソコンブームは地球温暖化や化学物質汚染を深刻化させる」と警告した。 グループは日米のコンピューターメーカーからの聞き取りや、企業が公表した資料、研究論文などを調べ、コンピューター関連製品の製造から廃棄までに使われる資源の量を計算した。
その結果、17インチのディスプレーを持つパソコン1台を製造するには、240キロの化石燃料と1500キロの水、22キロの化学物質が必要であることが明らかになった。(共同通信) |