ここ数ヶ月、連日、大手メディアは自民党の総裁選挙でもちきりである。福田氏が降りてからは、実質、安倍晋三官房長官の独走となっている。
佐藤清文氏の言ではないが、「今度の自民党の総裁選の立候補者の顔つきが社長ではなく、課長を思い起こさせてしまうように、今の日本政治のさびしい現状をよく表わしているのでしょう。」ということになる。保守なら保守でもよいが、敢えて敵をつくり単に国民の関心をひきつけるだけで、何ら理念のかけらも感じられない一国の総理では、国民は浮かばれない。
その安倍官房長官の総理としての資質、資格等、たとえばまったく経済・財政・金融オンチであるといったことについては、「独立系メディア」でもあれこれふれてきたので、ここではでは個々にふれない。
ここで敢えて問題にしたいのは、福田康夫氏や河野太郎氏を含め、9月選挙の自民党総裁(総理)選の候補となっている(なった)ひとの大部分が三世議員であることだ。
以下のコラム(データ)は昨年の衆議院議員選挙の前に書いたコラムである。データ中、黄色で示した議員が今回の総理候補及び小泉首相である。
それらを以下に書き出してみた。
麻生太賀吉 → 麻生太郎
安倍寛 → 安倍晋太郎 → 安倍晋三
小泉又次郎 → 小泉純也 → 小泉純一郎
河野一郎 ・河野謙三 → 河野洋平 → 河野太郎
谷垣専一 → 谷垣禎一
福田赳夫 ・福田宏一 → 福田康夫
これは何も総理候補に限らない。現職の大臣にしてもそうだ。たとえば、文部科学大臣の小坂憲次氏(長野一区)についてもそうだ。
小坂善之助 → 小坂順造 → 小坂善太郎・小坂徳三郎 → 小坂憲次
一体、今の日本はどうなっているんだ、と思わざるを得ない。国会が小泉チルドレンのようなひとびとと、二世、三世の巣窟となっている実態を危惧せざるを得ない。もちろん、これは何も自民党だけの問題ではない。民主党とておなじことだが、まだ野党という立場にいる分、許せないことはない。
昨年も書いたように、本来、多種、多様で多彩な人材が国政に議員として行くべきと私は常々思っているが、日本では安易な世襲によって、議員のみならず大臣、総理までが二世、三世議員で占められ、それらのポストがたらい回しされている。
小泉政権で短期間のうちに日本社会が格差社会となったことについて、安倍氏は格差を是正すると提起している。しかし、政治の世界では、数10年も前から各社社会ができあがっている。
衆参ともに、二世、三世議員が政治家としての条件、資質、能力をよそに、ポスト利権を手にし続けている。
こんな現実を直視すると、本来、国政でがんばってもらいたい、いわばまともな人材が二の足を踏むことは言を待たない。
しかも、大マスコミの政治部は、9月のデキレース総裁選でバカ騒ぎするばかりで、二世、三世議員による総裁たらい回し問題など、総理候補に嫌われるテーマはハナにもかけず、記事にもしないありさまだ。
小泉政権で日本社会は、「社会経済的弱者切り捨て」、まさにあっという間に激しい格差社会となった。
今後、安倍政権が誕生すれば、間違いなく、「戦争ができる普通の国」に向かって一直線、まっしくぐらとなるだろう。
ここ10年、さらにここ数年の日本の状況なら欧州諸国、韓国なら若者の暴動が起きてもおかしくない。
この国の国民は、一体どこまでお人好しで忍耐強いのだろうか? 小泉8月15日靖国参拝支持率が高いのは20歳代の若者だという。
巨額の累積債務を返済し、戦場に送られるのは若者なのに! お任せ民主主義、観客民主主義の弊害が来るべきところまで来たと言うことか。
末期的症状を呈する自民
その5 「二世」、「三世」議員
青山貞一
掲載日2005.8.14
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長期に政権、権力に居座ることの一つの大きな弊害は、官僚出身議員とともに、二世、三世議員が増えることである。これは特に政権政党である自民党において顕著である。
本来、より多様で多彩な人材が国政に行くべきだが、安易な世襲によって多くの二世、三世議員が誕生している現実を直視するば、まともな人材が二の足を踏むのも分かるというものである。
事実、給与以外に政務調査費、旅費交通費などを含めると年間一人当たり3000万円近くの税金が政権与党の世襲議員に払われることになる。世襲そのものが一種の利権構造を生み出す土壌を醸成していると言ってもよい。
以下、あいうえお順に、自民党の二世、三世議員をリスト化した。リストの見方は、左端から右端に向か曽祖父・曽祖母―祖父・祖母─父・母─息子・娘の順となる。
自民党(衆院、参院)の二世、三世議員リスト
逢沢寛 → 逢沢英雄 → 逢沢一郎
愛知揆一 → 愛知和男 (養子) → 愛知治郎
赤城宗徳 → 赤城徳彦(孫)
麻生太賀吉 → 麻生太郎
安倍寛 → 安倍晋太郎 → 安倍晋三
甘利正 → 甘利明
池田勇人 → 池田行彦(娘婿)
石原慎太郎 → 石原伸晃
石破二朗 → 石破茂
伊藤宗一郎 → 伊藤信太郎
稲葉修 → 稲葉大和
臼井尚一 → 臼井日出男
宇野宗佑 → 宇野治(娘婿)
浦野幸男 → 浦野休興
江崎真澄 → 江崎鉄磨 ・江崎洋一郎
江藤隆美 → 江藤拓
大石八治 → 大石千八 → 大石秀政
大野伴睦 → 大野明・大野つや子(明の嫁)
小此木彦三郎 → 小此木八郎
小渕光平 → 小渕恵三 → 小渕優子
奥野誠亮 → 奥野信亮
梶山静六 → 梶山弘志
加藤精三 → 加藤紘一
加藤高蔵 → 狩野昭男(娘婿)・狩野安
金子一平 → 金子一義
亀井善彰 → 亀井善之
唐沢俊樹 → 唐沢俊二郎
川崎克 → 川崎秀二 → 川崎二郎
岸信介 → 安倍晋太郎 (娘婿) →岸信夫 (安倍家から岸家へ養子入り)
岸田正記 → 岸田文武 → 岸田文雄
北川石松 → 北川知克
北村義和 → 北村直人
木村文男 → 木村守男 → 木村太郎
倉成正 → 倉成正和
小泉又次郎 → 小泉純也 → 小泉純一郎
河野一郎 ・河野謙三 → 河野洋平 → 河野太郎
河本敏夫 → 河本三郎
久野忠治 → 久野統一郎
高村坂彦 → 高村正彦
小坂善之助 → 小坂順造 → 小坂善太郎・小坂徳三郎 → 小坂憲次
後藤田正晴 → 後藤田正純(正晴の甥の子)
近藤元次 → 近藤基彦
桜内幸雄 → 桜内義雄
左藤義詮 → 左藤恵 → 左藤章
佐藤栄作 → 佐藤信二
斉藤滋与史→ 斉藤斗志二
斎藤昇 → 斎藤十朗
塩崎潤 → 塩崎恭久
塩谷一夫 → 塩谷立
島村一郎 → 島村宜伸
鈴木善幸 → 鈴木俊一
砂田重政 → 砂田重民 → 砂田圭佑(重民の甥)
住栄作 → 住博司
関谷勝利 → 関谷勝嗣
世耕弘一 → 世耕政隆 → 世耕弘成(政隆の甥)
園田直 → 園田博之
竹下登 → 竹下亘(弟)
谷川昇 → 谷川和穂
塚原俊郎 → 塚原俊平
田中角栄 → 田中直紀 (娘婿)
谷垣専一 → 谷垣禎一
田村元一 → 田村憲久(甥)
土屋義彦 → 土屋品子
戸井田三郎 → 戸井田徹
渡海元三郎 → 渡海紀三朗
中川一郎 → 中川昭一
中川俊思 → 中川秀直 (娘婿)
中島知久平→ 中島源太郎 → 中島洋次郎
中曽根康弘→ 中曽根弘文
中村庸一郎→ 中村正三郎
中山榮一 → 中山利生
中山福蔵・中山マサ → 中山太郎 ・中山正暉 → 中山泰秀
西銘順治 → 西銘順志郎・西銘恒三郎
丹羽喬四郎→ 丹羽雄哉
野田武夫 → 野田毅 (娘婿)
野田卯一 → 野田聖子 (孫)
橋本龍伍 → 橋本龍太郎
初村滝一郎→ 初村謙一郎
服部安司 → 服部三南雄
葉梨新五郎→ 葉梨信行 → 葉梨康弘
鳩山和夫 → 鳩山一郎 → 鳩山威一郎 →鳩山由紀夫 ・鳩山邦夫
浜田幸一 → 浜田靖一
林大幹一 → 林幹雄
林平四郎 → 林佳介 → 林義郎 → 林芳正
原田昇左右→ 原田令嗣
平井太郎 → 平井卓志 → 平井卓也
平沼騏一郎→ 平沼赳夫 (兄の曾孫→養子)
福田赳夫 ・福田宏一 → 福田康夫
福永健司 → 福永信彦
藤井丙午 → 藤井孝男
元田肇 → 船田中 ・船田享二 ・藤枝泉介 → 船田譲 →船田元
藤本捨助 → 藤本孝雄
古屋善造 → 古屋慶隆 → 古屋亨 →古屋圭司
細田吉蔵 → 細田博之
保利茂 → 保利耕輔
堀内光雄 → 堀内一雄 → 堀内光雄
松永東 → 松永光(東の養子)
町村金五 → 町村信孝
水野清 → 水野賢一(中尾栄一 の息子→養子)
三ツ林幸三 → 三ツ林弥太郎 → 三ツ林隆志
三原朝雄 → 三原朝彦
御法川英文 → 御法川信英
宮沢裕 → 宮沢喜一 ・宮沢弘 → 宮沢洋一
宮下創平 → 宮下一郎
武藤嘉門 → 武藤嘉一 → 武藤嘉文
森矗昶 ・岩瀬亮 → 森曉・森清・森美秀 →森英介
大平正芳 → 森田一(娘婿)
保岡武久 → 保岡興治
山下元利 → 山下英利
山本富雄 → 山本一太
渡辺美智雄→ 渡辺喜美
綿貫佐民 → 綿貫民輔 |
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