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声 明
   劣化ウラン研究会

掲載日:2004.4.10
   
  3名の命を守るためにあらゆる努力を続けよう

                             劣化ウラン研究会

 衝撃的なニュースが、イラクから送られてきた。

 サラヤ・アル・ムジャヒディーン(イスラム聖戦士団)と名乗るグループが、フリージャーナリスト郡山総一郎さん、「No 小型核兵器 サッポロ・プロジェクト」の代表で劣化ウラン研究会の会員でもある今井紀明さん、イラクの子どもたちへの支援活動を続けてきた高遠菜穂子さんを拉致した。

 彼らは「3日以内に自衛隊の撤退を決めなければ、3名を生きながら焼き殺す」とのアラビア語のメッセージと、3名の自由を奪い、脅している様子を映したビデオを中東の衛星テレビ局「アルジャジーラ」に持ち込んできた。
 
 3人はいずれもイラク戦争により傷つき、家や家族を失い、劣化ウランの影響によると見られる健康被害を受けた人々を支援し、世界に伝え、また劣化ウランの危険性を啓蒙するための絵本をつくるという目的で、情勢が悪化し続けるイラクに行った。

 米英軍主導の占領軍が、イラク市民をいまだに傷つけ、殺し、家を奪い、財産を破壊し、略奪している中で、少しでもイラクの人々のために役立つことをと考えて行動しているさなかに、そのイラクの抵抗勢力によって拉致監禁され、さらに生命をも危機にさらされているとしたら、これほど理不尽な話はない。

 私たちは無条件かつ速やかに3名を解放することを強く訴える。
 
 それとともに、日本政府には自衛隊の即時撤退を要求する。
 
 これは3名の命との交換ではない。
 
 もとより自衛隊という武装勢力をイラクに派遣すること自体が、イラクのためには何の利もないばかりか、日本にとっても利益とはならず、むしろ「軍隊あるところに戦闘あり」の事態を引き起こすだけであることは、かねてから多くの人々が指摘してきたことである。それが今まさに現実のものとなってしまった。

 また、イラクはいまでは米英軍主導の占領軍により、再び戦闘状態に入り、自衛隊の宿営地に向けて砲撃があり、さらにサマーワのCPA本部にも対戦車砲弾が撃ち込まれているのである。これを「戦闘」と呼ばずなんと呼ぶというのだろうか。

 すなわち、既に政府自らが強行採決により強引に成立させた「イラク特措法」に言う「戦闘地域」が出現しており、自衛隊の活動は「終了」しなければならないのだ。
 
 3名が拘束された場所は、バグダッド郊外というよりも「ファルージャ近郊」という場所であろうと見られている。

 ファルージャでは、6日間にわたる米軍の無差別攻撃により、一般市民450名以上が死亡し、1000名以上が負傷したと、アルジャジーラは伝えてきた。

 アルジャジーラの報道は涙が止まらなくなるほど悲惨で残酷な市民の被害を伝えている。
 3名の拉致とファルージャ攻撃はリンクしているのである。
 
 少しの想像力があればすぐ分かることであるが、ファルージャで子どもも大人も見境無く殺戮する米軍の存在が無ければ、この事件は起きなかったのであり、自衛隊が派兵されていなければ日本人がターゲットとなることも無かったのである。

 この事件を引き起こした背景には、米軍による度重なる戦争犯罪と、日本の憲法を破って派兵をしたことがあるのであり、私たちがすべきことは、事件の背景となったこの事態を変える努力でなければならない。
 
 サラヤ・アル・ムジャヒディーンに対しては、占領軍とは無関係であり、むしろイラク戦争そのものに強く反対し、その結果もたらされた惨禍に対して、自ら進んで取り組んでいる3名への非道の行為を直ちに止め即時解放することを要求する。
 
 日本政府には、もはや自ら定めた法律の下でさえ、継続して派兵を続けることができなくなっている状況を謙虚に認め、撤退を決断することを求める。
 
 米国に対しては、度重なる戦争犯罪により大勢の市民を殺傷し、そのうえウラニウムにより全土を汚染した責任を取ることを強く求める。
 
 私たち劣化ウラン研究会は、私たちの仲間を危険にさらす現状を変えるために、
あらゆる努力を続ける。

                          2004年4月10日