やっと出た朝日の取材内容 〜国民が知りたいのは「政治介入」の有無!〜 青山貞一 掲載日2005.8.2 |
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2005年8月1日、月刊現代9月号は、証言記録を入手、NHK番組改変問題、魚住昭、政治介入の決定的証拠 を 衝撃スクープ として掲載した。 まさに衝撃スクープである。私にしてみれば、やっとのことで証拠が出てきたと言うことになる。というのも、私は、2005年3月21日の今日のコラムで次のように書いてたからである。長くなるが要点を抜粋する。 ここから↓ この間、NHK内で行われてきたことは、およそ日本を代表する巨大メディアがすることではない。不誠実、不見識きわまりないものだ。NHK幹部らの言動には、誠意が見えないし自浄作用も期待できない。このことは、NHK放送の偏向や政治家からの影響を問題とする以前の話と言えるのではないか。到底、公共放送にあるまじきものである。 一方、自民党の安倍晋三、中川昭一両衆議院議員への取材内容と公表した記事をめぐる騒動で、NHKを提訴すると、こぶしを振り上げた朝日新聞は、いまだに提訴もせず、黙りを決め込んでいるようだ。朝日新聞社はこれでどうにかなると思っているのであろうか? NHKは3月17日の国会審議に橋本新会長が出、それを中継はしたものの、肝心な朝日新聞による一連の報道については、会長自らが「事実と異なる」(=実質誤報)と改めて批判した。 もし、朝日新聞側に確たる証拠があり、著しく名誉を毀損されたのであるのなら、自ら提起した「法廷」の場で決着をつけるべきではなかろうか。NHK幹部に言いたい放題を言わせておいてよいのか? 何度にも及ぶNHK幹部の朝日新聞「誤報」の言及を朝日新聞は看過すべきでない。当然のこととして朝日新聞は当初提起したように、NHKを断固、民事提訴すべきである。今のままでは、すべてがウヤムヤとなるだけでなく、結局、朝日新聞は自己管理能力がないNHKの軍門に下ることになる。 いやしくも日本の新聞ジャーナリズムの一つの雄を自他共に認める朝日新聞である。その朝日新聞のこの間の対応、態度は、まったく納得が行かない。金を払っている読者を愚弄するものではなかろうか。 もし、朝日新聞が訴訟を提起していれば、すなわち裁判となれば、NHKは当然のこととして民訴法にいう文書提出命令を裁判所経由で朝日新聞にかける。確たる証拠を出せと。となれば、朝日新聞社は仮に「取材相手への録音の事前承諾」という取材規定、内規があっても、録音テープなり録音ファイルを裁判所に提出せざるを得ない。いや堂々と提出することができるはずだ。 .......... 翻って、朝日新聞とNHKは、事件となった自民党幹部への現場取材、電話取材、その裏とり、もちかえったメモやテープ、ファイルからの一次トランススクリプト、テープ起こし内容から記事化する上での編集など、取材、編集、報道の全過程を徹底した証拠調べをもとに実証しなければならない。 なぜなら、NHKvs朝日新聞の事件は、まさしくジャーナリスト、ジャーナリズムの最も基本、原点の現場において起きたからだ。 .......... 自分たちが取材、編集する。そして報道する現場で起きた事件に、NHK、朝日新聞ともに、それぞれに自分たちに都合が悪く、不利益なことがあるからと言って、これ以上ウヤムヤにすることは断じてあってはならない。 先に述べたように、NHKの橋本新会長は、2005年3月17日の国会審議で改めて朝日新聞の報道を事実誤認と批判した。朝日新聞はNHKを提訴もせず、ただNHKの言いたい放題を看過していてよいのか。このまま朝日新聞が放置し、かつ読者にもまっとうな説明をしないとすれば、それはジャーナリズムとしての自殺行為に他ならない。 私は第三者として、NHKはもとより朝日新聞のこのような態度を許容することはできない。 朝日新聞社(箱島信一社長)は時間の経過でことをウヤムヤとすることなく、NHKを断固提訴し、公衆の面前で日本新聞協会が示す「新聞倫理」を自ら実践して欲しい! ↑ここまで 8月1日、さっそくまちで月刊現代を購入し、読んでみた。特集の副題、すなわち、中川昭一、安倍晋三、松尾武元放送総局長はこれでもシラを切るのか、にあるように、スクープ内容が書かれている通りなら、まさに自民党の政治家やNHK幹部の過去の言動とそれをまことしやかに報じた巨大メディアは、歴史的な過ちをしでかしたことになる。 敢えて、スクープの内容が書かれている通りならと言ったのは、100%顕示された事実が真実、すなわち録音テープなどの確たる証拠をもとに書かれたかどうかが分からないからである。 だが、共同通信を経てフリーのジャーナリストとなっている著者の魚住彰氏が、入手経路と方法は別とし、堂々と月刊雑誌に投稿した22頁に及ぶスクープ内容が虚偽あるいは捏造であるする根拠がない以上、月刊現代9月号に書かれている朝日新聞記者と松尾、中川、安倍との逐次のやりとりは、事実であるだけでなく取材内容を忠実に再現したものであると考えるべきであろう。 安倍晋三議員は、この間、ことあるたびに朝日新聞を辛らつに非難、罵倒してきたが、その根拠が朝日新聞の取材内容、取材方法についてのものであった以上、魚住昭氏が暴露したやりとりについて、どう弁明するのか見ものである。これは言い分が二転、三転した中川議員や松尾下総局長に関しても同様だ。 自由民主党は、「(月刊誌記事によれば朝日)記者は被取材者をだまし、隠れて無断(録音)で記録し続けている」可能性があり、自民党議員が「万が一にも不当、卑劣な方法による取材で被害に遭うことがないよう相当の措置を講じざるを得なくなった」として、朝日新聞の取材を拒否する旨の通知書を朝日新聞に出した(以下の記事参照)。 ※ 自民、朝日新聞の取材を拒否 月刊誌に資料掲載で(サンケイ新聞) 確かに、今回の月刊現代9月号の記事は、朝日新聞社が直前に公表した検証記事(以下の東京新聞記事参照)の直後に発刊されている点ひとつを見ても、朝日新聞社の取材検証記事内容を月刊現代9月号が裏付けると言う連携が見て取れる。
しかし、この問題、事件は事が事だけに、自民党が言うような朝日記者の取材姿勢、取材方法、取材手続き等の是非を論ずるだけでどうにかなる問題ではないと思う。 これだけ国中を騒がせた重大事である。元来、国民がもっとも知りたいこと、明らかにしてもらいたいことは、事実であり、真実であるはずだ。 具体的に言えば、国を代表する大物政治家によるNHKの放映内容への「政治介入」の有無である。 私は「今日のコラム」で当初から朝日新聞は証拠を早く顕示すべきであること、朝日新聞は自ら手を振り上げたようにNHKを提訴すべきであり、そのなかで録音テープなどの証拠を裁判所に提出すべきであると言いつづけてきた。その私にとってみれば、やっと、間接的にであれやっと「証拠」が不規則な形ではあれでてきたことになる。 その意味で、自民党の今回の取材拒否等の言い分は、極めて不可思議である。自民党が問題にすべきは、月刊現代9月号が顕示した内容が、従来からずっと主張してきた虚偽あるいは捏造であることを自ら立証すべきであり、情報漏洩の流出経路などではないはずだ。 すなわち、国民にとってもっとも重要なことは、繰り返すが事実、真実である。 手続き論を振りかざし、取材拒否とメディアに恫喝を加えることにより、結果的に国民にとって最も重要な政治家によるメディアへの介入と言う問題を隠蔽することが万が一にもあってはならないのである。 それだけ本件が国民にとって、政治家にとって、またメディアにとって決定的に重要な問題であることを私たちは認識すべきである。 同時に、月刊現代9月号に書かれた一問一答の記事内容が事実であり真実である場合、 「『朝日は絶滅する運命』などとコキ下ろしていた安倍晋三幹事長代理らはどうするのか。」(日刊ゲンダイ記事) また、事の発端となったNHK幹部の従来の言い分についても同様だ。 先の東京新聞記事で、NHK幹部は「『政治家の圧力による番組改変という構図がより明確になった』」との主張は、まったく事実の裏付けのないもので、到底理解できない。真相に迫ることができなかったとしながら『現時点では記事を訂正する必要はない』」としているのも理解できない。」と論評している。スクープ記事を前に、同じことが言えるのか、大いに注目したい! まさに政治家生命、そしてNHKの存亡に係わる重大事であるはずだ。 参考 放送法第三条 放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。 |