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談合体質の改善は国民的課題    池田 こみち

掲載日:2004.4.13

 年金問題やイラク問題で紛糾する今国会だが、4月1日、公正取引委員会は「独禁法改正案」を提案している。しかし、この法案の成立はきわめて危うい状況となっているようだ。

 長年にわたり公共事業や公共調達にかかわる談合による税金の損失は数兆円にも達すると言われており、早急に実効性のある法律の改正と施行が消費者団体からも強く求められていたところである。また、必要悪として日本の慣習とまでなってしまった談合体質は、非関税障壁であるとも指摘され、公平な競争を可能とする基盤でもある独禁法の改善は諸外国からも強く求められていた問題でもある。

 今回、公正取引委員会が提案した法案のポイントは以下の4点である。

@課徴金制度の見直し 
  ・課徴金算定率の引き上げ
  ・適用対象範囲の拡大
  ・罰金相当額の1/2を課徴金から控除する調整措置の導入

A課徴金減免制度の導入
  ・違反の自己申告業者には課徴金を免除

B犯罪調査権限の導入
  ・刑事告発のための犯罪調査権限の導入
  ・刑事事件に係る東京高裁専属管轄制度の廃止
  ・法人重科の導入、調査妨害に対する罰則の引き上げ・両罰規定(法人に対
   する刑罰)

C審判手続き等の見直し
  ・意見申述等の事前手続をもうけた上で排除措置命令を行い、不服があれば
   審判を開始(勧告制度を廃止)
  ・審判中は課徴金を強制徴収しない
  ・審判官審判に関する規定の整備 等

 これを見る限り、実効性を担保する措置(罰則強化や範囲の拡大)などとともに、事業者に対する救済措置として、申告者への罰則免除や罰金と課徴金の調整、審判中の課徴金納付の優遇などが盛り込まれており、国民の側からすれば早急に実行に移してほしい内容ではないだろうか。

 にもかかわらず、今国会での通過に対して当の経団連が強く反対しているというのである。そんな折り、4月13日付け日経新聞の社説「経団連は責任を持てるのか」は非常に小気味よいものである。是非お読み頂きたい。

 −−−社説のしめくくり部分を抜粋−−

  談合やカルテルの横行を許していれば生産性の低い部門を温存させ、激しさを増すグローバル競争の中で、やがては日本経済の活力、企業 の競争力を損ねてしまう。それは経済界全体の深刻な問題である。  さらに、公共事業の談合は税金の無駄遣いだから、それを早く根絶 しないと消費税の増税に納税者の理解を得にくいだろう。経団連はそ れらを含めて責任をもてるのだろうか。
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 こともあろうか、奥田経団連会長は、公取委の動きが「性急である」として反対しているというのである。あきれてものが言えない。「拙速」であるとして、長野県議会が田中知事の提案した条例案を否決したことの問題が指摘されたばかりであるが、談合体質の改善に着手する法案の提案は決して「拙速や性急」ではないどころか、遅すぎたくらいである。

 自民党はこの法案の通過に関して、経済界との調整を条件としているようなので、この国の談合体質はまだ続きそうなのである。談合がなければ議員にまわす原資も減ると心配しているのだろうか。この国の未来は暗いものがある。