HIV感染拡大『理容店が温床』 中国・深せん市
【上海=渡部圭】中国広東省の深せん市社会科学院は、今年の「深せん白書」の中で、理容店における風俗業務の研究報告を掲載した。女性店員の大半が性的業務を行い、エイズまん延の温床になっていると指摘している。
中国のエイズ拡大は非常に深刻で、政府系の研究機関がこれまで黙認されてきた“風俗店”を取り上げたのは、強い危機感の表れといえる。
広州市の地元紙「羊城晩報」によると、深せんには五千軒の小規模な理容店「髪廊」があり、「髪廊妹」と呼ばれる約四万人の女性が働いているという。同科学院が、五十三の店で三百八十二人の女性を対象に調査したところ、店の80%が奧の部屋などで何らかの性的サービスを行っていた。
女性の大半は貧しい農村出身者。66%が性病にかかったことがあり、うち半数以上は、病気が判明した後も仕事を続けていた。
特にHIV(エイズウイルス)感染の場合は、世間の偏見を恐れて隠しているケースがほとんどだった。白書は、女性らがエイズの被害者であると同時に、感染を拡大させていると指摘。早急な対策の必要性を強調している。
東京新聞 2004.5.17
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