自民党独禁法調査会は5月14日、独禁法改正案の今国会提出見送りを決めた。
公取委の提案に反対を表明していた経団連奥田会長は、経団連としての代替案を提示する方針を表明しているという。
そもそも独禁法の改正案を2004年度中に国会に提出することは自民党のマニフェストでもあり、既に半年が過ぎていることを考えると残された時間はわずかである。
経済界と公取委との調整は難航することが予想され、果たしてマニフェストが実行されるかどうか先行きの見通しは暗い。委員会では、「入札制度の改善を優先すべきで、事後チェックともいえる独禁法の改正は凍結するべきだ」など強硬意見も出たという。
そもそも自民党の独禁法調査会は今回の改正について、一年以上も前に説明を受け、内容について検討を行ってきたはずである。にもかかわらず、経済界との十分な意見交換もできておらず、調査会としての代替案も示していないと言うのは怠慢といわれても仕方がないのではないか。
一方、経済界は、「むしろ経済憲法として、市場経済の健全な発展を阻害しかねない現行独禁法の措置体系の抜本見直しを求めているのであって、改正そのものは否定していない」などと一見もっともらしい主張をしながら、こちらも今に至るまでなんら改正のための建設的な提案もしていない。
独禁法が制定されてから30年以上が経過し、課題は明らかになっているはずである。与党自民党と経済界の「調整」の名の下にずるずると改正が送れることは日本の経済にとって大きなマイナスとなることだけは間違いない。
議員からは、「現在のデフレ状況下で独禁法の現行の仕組みが適当なのかどうか。とくに不当廉売への対処の仕方など現状を踏まえて、全般的に見直すことが必要だ」との意見が出されたというが、入札制度そのものの見直しについても平行して本格的な制度改革の検討が求められている。国の法律を待っていても埒があかないのは他の分野をみても明らかなこと。官製談合や不当廉売への対処も地方からより有効な制度が生まれ成果を上げつつある。各自治体の首長がしっかりと取り組んで欲しいものである。
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自民党独禁法調査会の決定内容
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◆独禁法改正案(公取案)の今国会提出の見送り
◆空きの臨時国会への提出を目指す。
◆政府には公取案や同調査会の議論を踏まえ、経済界などの意見を聞いた上で、
調整を進めるよう要請する。
◆独禁法改正と平行して検討する課題として;
・公共入札制度改革と運用の適正化
・官製談合防止法の強化
・工事の手抜きにつながるダンピング(不当廉売)受注の防止
・大手企業による優越的地域の乱用、不当廉売などに対処する措置。
・公取委の体制強化
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独禁法改正を巡る今後の日程
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5月14日 自民党独禁法調査会、改正案の今国会提出見送り決定
5月〜6月 公取委、経済界などと再協議
7月11日 参議院選挙
7月〜8月 公取委、内閣法制局と法案修正を協議
秋頃 ・臨時国会開催
・自民党毒気本法調査会が再開
・独禁法改正案を提出?
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出典:日本経済新聞2004年5月15日 朝刊 |