JBICも最後っぺを嗅がせようとしているようだ。
ベトナムのクアンナム省で建設中のアボン水力発電ダムはJBICが融資の依頼を受け、審査中だ。カテゴリーAの案件になる。JBICも環境社会配慮ガイドラインを制定し(不肖、私もかかわった)、現地の環境や社会にはしっかり配慮することが義務づけられ、ガイドラインの基準に達しなければ融資はできない。
が、このアボンダムは環境アセスメントのプロセスが完了する前に着工しているというベトナムの法律に明確に違反している案件である。もちろんJBICはそのことを承知しているだろう。
この地域にはカトゥという少数民族が住み、強制移転の対象になるが、現在の移転先候補は傾斜地で農地に適した土地ではなく、生計の基である家畜の飼育もできない。現在の計画では明らかにJBICの環境社会配慮ガイドラインを遵守することはできないので融資はできないのだ。が、ベトナム筋からはJBICは融資に前向きだという話が聞こえてくる。
どうもJBICの統合に絡んで財務省あたりが、おかしなことをたくらんでいるのでなければよいが。
ちなみにこのアボンダムは発電のための導水によって13kmも川が断水し、サオラーなどという希少種の生息にも影響が出ると報告書には記載されているが対策はない。
JBICの国際金融部門が政府系金融機関に統合されることになるが、新組織がきちんとJBICの環境社会配慮ガイドラインを受け継ぐことを監視していかなければならない。
これは山本一太外交部会長にも目を光らせてもらおう。
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