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ブッシュ陣営「華氏911」大反撃開始か?
 
青山 貞一

掲載日:2004.6.27

 ブッシュ大統領を一貫して批判、弾劾している映画監督のマイケル・ムーア氏だが、ここにきてブッシュ大統領陣営がフランスのカンヌ映画祭の最高賞をとった「華氏911」とムーア氏を標的として反撃を開始している。

 具体的には、"Michael Moore is a Big Fat Stupid White Man"、直訳すれば、「マイケル・ムーアはデブで間抜けな白人の大男」と題する本のなかで、マイケル・ムーア監督をこき下ろしている。著者は、Meet David T. Hardy と Jason Clarkeの二人である。


「マイケル・ムーアはデブで間抜けな白人の大男」と題する本の表紙

 本だけでなく、今後はムーア批判の映画まで出るという。以下の東京新聞記事にもあるように、これは米国で封切られた「華氏911」が6月25日から全米で一斉公開され、どこも満員の盛況であることに象徴されるように、ブッシュ再選を目指す陣営がムーア監督の映画をもはや放置できないことのあらわれでもあると思える。

 再選をめざすブッシュ大統領にとっては、民主党の統一大統領候補のジョン・ケリー氏より、デブで間抜けな大男、マイケル・ムーア監督の方が遙かに脅威となっているようだ。

 「華氏911」の日本での公開が待たれる!


ケリー氏より強敵!?『華氏911』
ブッシュ派反撃へ一丸

出典:東京新聞 2004.6.26朝刊

 【ニューヨーク=寺本政司】ブッシュ政権を痛烈に批判し、今年の仏カンヌ映画祭の最高賞を受賞したマイケル・ムーア監督の「華氏911」が二十五日、全米で一斉公開された。

 一方、ブッシュ再選を目指す保守勢力が応援に乗り出し、ムーア監督を批判する本や映画が近く発表されることになった。映画文化を巻き込んだ保革対立は接戦が予想される秋の米大統領選の“前哨戦”になりそうな情勢だ。

 批判本は週明けに発売される。ムーア監督がこれまでに制作したドキュメンタリー作品の間違いをあげつらった内容で、表紙には米議会にかみつく監督の合成写真をあしらった。共同執筆者の元米政府高官は「彼はうそつき魔だ」と非難する。

 一方「華氏911」の反論として、早ければ今夏の上映を予定する映画は「マイケル・ムーアは米国を憎んでいる」。マイケル・ウィルソン監督の作品で、ドキュメンタリー風になるという。いずれも政治的には中立を主張しているが、ブッシュ再選を目指す保守系団体のホームページには支持する内容が書き込まれている。

 米国内の「華氏911」上映館数は八百余りに達し、ドキュメンタリー作品としては過去最大規模になる見込み。

 民主党寄りとされるムーア監督は「この映画で目を覚まし、再び歌い始めるなら、私は十分役割を果たした」との表現で、イラク戦争に反対する無党派層の掘り起こしや、反ブッシュ層の結束が狙いであることを事実上認める。

 宣伝スタッフの中には二〇〇〇年にブッシュ氏と大統領の座を争ったゴア前副大統領の報道官らも。リベラル派の市民団体は「友達や近所の人を連れて見に行ってほしい」などと動員を呼びかける。

 大統領選の接戦が予想される中、「華氏911」は「選挙動向に影響を与える」(前共和党議員)との見方がある一方で、ニューヨークで映画を見たビィート・ザリーロさん(33)は「ブッシュ嫌いの人には痛快だが、ブッシュ支持者は初めから見ないだろう。興行的には成功するが、大統領選への影響は少ないのでは」と話している。