禁煙で余命3.5年短縮 朝原真実(旧姓斉藤) 掲載日:2007年7月24日 |
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厚生労働省研究班が調査していた喫煙の寿命に対する影響について、24日までに研究班が推計をまとめた(記事は後掲)。 喫煙者の40歳時点の平均余命は非喫煙者よりも短く、男性では3.5年、女性では2.2年短縮されるとの調査結果となった。喫煙の害については周知の事実であるが、このように喫煙の悪影響を余命で示したのは国内初であるという。 喫煙が様々な病気の要因となり死亡率を引き上げていることからも、喫煙によって寿命が短縮されるということは妥当な結果である。ただ、この調査の被験者は約1万人と少ない。余命の調査であるため、追跡調査にもかなりの年月がかかるので母集団を増やすことは困難という面もあるが、今後調査が継続されるのであれば、より大規模な調査を期待する。 更に、調査対象を喫煙者だけでなく、受動喫煙者にまで広げることを期待する。 喫煙者よりも健康影響が懸念されるのが受動喫煙者である。同紙の別の記事において、作田学杏林大学客員教授(日本禁煙学会理事長)は受動喫煙は環境汚染であり、他の環境汚染に比べても死亡リスクは大きい」と発言している。 環境中たばこ煙(喫煙者が吐き出した煙とたばこの先から出る副流煙の総称)には4,000種類以上の物質が含まれており、そのうち約200種類は有害物質、約70種類は発がん物質だという。特に副流煙には有害な物質が多く含まれている。それらを至近距離で直に吸い込むわけであるから、なるほど他の環境汚染よりも死亡リスクが大きいことは頷ける。喫煙者と比べても、受動喫煙者の健康被害は大きい。 受動喫煙者としては、たとえば、喫煙者がいる家庭内の非喫煙者や、喫煙者の母親から産まれた者(非喫煙者)も対象となるであろう。 厚労省研究班は、このような観点から更なる有用な調査を期待する。また、調査には莫大な費用と時間と人的資源を費やしているのであるから、ただ単に調査の結果を発表して終わり、ということでなく、たばこの危険性に関するアピールや施策に最大限活用する姿勢が必要である。
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