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プリオン専門家が集団退陣
 
〜私がBSE調査会に
辞表を叩きつけた理由〜


日刊ゲンダイ

2006年4月6日

 
■ 金子清俊・東京医大教授に緊急インタビュー。 プリオン専門家が集団退陣 私がBSE調査会に辞表を叩きつけた理由

 米国産牛肉の安全性などについて審議してきた内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会で、メンバー12人のうち6人が一斉に辞任するという異例の“集団退陣劇”が起きた。

 元委員らは「政府の都合のいいように結論を決めようとしている」と専門調査会を批判しているが、一体何があったのか。座長代理だった金子清俊氏(東京医科大教授)に聞いてみた。

「厚労省と農水省にはガマンならなかった」 ▼

 私が調査会を辞めたのは、皆さまに申し訳がないという自省の念にかられたからです。国産牛肉については調査会として納得のいく安全基準ができたと思っていますが、米国産牛肉の輸入再開については大いに疑問がある。

 十分な議論も検証もされないまま、「米国で特定危険部位の除去などが適正に行われる」という前提付きで議論が進められ、輸入再開に向けてコトが運んでしまった。本来なら、この前提に対しても科学的に検証しなければならないのに、です。
 
 しかも私が輸入再開を逡巡していると、厚生労働省や農水省の担当者が「政府が責任を持ちますから」と説得しにきた。最初から結論が決まっていたとしか思えません。だったら、議論も科学的な検証も必要ないはずで、結局は輸入再開に専門家の”お墨付き”を与えるだけの調査会になりかねない、という危惧を抱かざるを得ませんでした。
 
 そもそも議論の前提が怪しいのに、科学的に正しい評価が出来るわけがない。聞かれ方によって答えが変わるように、議論の過程で科学的スタンスを変えざるを得ないところもあった。やりきれないと言ったらよいのか、本当に我慢がならなかったのです。

 今回6人がやめた変わりに、後任の6人の専門家が調査会にはいりました。人選には問題ないと思いますが、調査会と関係者が話し合って決めてしまう委員の選定方法にどうかと思います。国会議員の選挙ではないが、広く意見を聞いて、公正中立な形で選んだ方がいいのではないか。

 調査会はどこからも介入を受けない、完全に独立した組織でなければならないと思います。 (了)