2005年4月19日、北区(東京都)は保育園の表土から環境基準の約2.2倍のダイオキシンが土壌から検出されたと発表した。近くの公園からは環境基準の1.3倍の濃度が検出されている。区によると近くの小学校跡地で環境基準の最大14倍のダイオキシンを検出したため、周辺の区の施設を調査した結果ということである。
報道:
http://mytown.asahi.com/tokyo/news01.asp?kiji=3808
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/tokyo/news/20050420ddlk13040117000c.html
http://www.chunichi.co.jp/00/tko/20050420/lcl_____tko_____002.shtml
この一帯は70年ごろまで化学工場が存在していた地域であり、今回の結果は「想定された」ものとして受け止められたという。汚染が分かったことよりも「何故このような場所に保育園を造ったのか」、「何故いままで調査が行われなかったのか」が問われている。
何故調査が行われなかったか。「土壌汚染対策法」(平成15年2月施行)の不備にも大きな責任がある。
以前に「土壌汚染対策法の正体」で指摘したとおり、この法律には4つの重大な問題点がある。
http://eritokyo.jp/independent/nagano-pref/aoyama-col38.html
(1)調査対象が限定され、汚染調査さえ行われない
(2)汚染が見逃される調査方法
(3)評価基準値が極めて甘い
(4)対策によって汚染は取り除かれるのか
今回のケースは(1)と(2)に当てはまる。
(1)土壌汚染対策法では、”工場が廃止された時にその跡地が工場以外の目的に使われる時”に「のみ」、調査の実施が義務づけられている。他は自治体が定点観測的に行っている調査があるだけだ。
また(2)今回のケースで非常に高濃度に検出されたダイオキシン等が対象となっていない。
北区のケースは汚染のレベルが非常に高かったので調査さえ行われれば、これが見逃されることはなかった。
今回の保育園とその周辺は、以前から工場跡地として汚染が疑われていた地域なのであるが、工場の廃止が以前であったため調査が行われることがなかった、というのが「いままで調査が行われなかった」理由なのである。
北区の地域に限らず、全国には土壌汚染が疑われる、もしくは不法投棄、灰の野積み(違法、適法に限らず)がそのままになっている地域がたくさんある。
それが分かっていながら、最初から土壌汚染対策法の調査の対象には既存の土壌汚染(が疑われる)地域を含めなかったのである。
国(環境省)は北区の問題を他人事として見過ごしてはならない。早急に土壌汚染対策法の見直しを行い、不備を改めるべきである。
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