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ここ数ヶ月の
”東京都政”騒動の本質は!?

〜もっと踏ん張れ 浜渦東京都副知事!〜

田中康夫


初出:奇っ怪ニッポン
2005年6月1日 掲載
掲載日:2005.6.5


「議会制民主主義」とは果たして、我々の社会を成熟させていく機能を内包する装置なのでしょうか?
それは、3年近く前に不信任決議を突き付けた長野県議会に対し、多くの長野県民が抱いた感懐でもありましょう。

 7割を超える投票率の出直し知事選で、僕は7割近い得票率で再選します。而して、その半年後の県議選は史上2番目に低い投票率に留まり、「是々非々」とは名ばかりな「非々非々」集団の構成は殆ど変わらぬ儘、今日に至るのです。

 痴痔と嫌疑、じゃなかった知事と県議は県政なる“車の両輪”、と事ある毎に唱和する面々は、早い話が、県議車輪の方向性こそ正しく、知事車輪は黙って従うべき、と時代遅れな“天動説”を信じて疑わないのです。政権与党の自民、公明は当然、労組立脚の民主も社民も、更には共産も“反田中”を旗幟鮮明とする長野県事情です。

 翻って東京都では、300万票を超える得票数で再選された石原慎太郎氏の車輪に、石原与党が大半を占める都議会の車輪が常に寄り添う構図が続いてきました。

増収どころか逆に巨額の支払いが生じた「銀行税」の結末を始めとして、それこそは「チェック機能」を果たすべき場面に於いても議会側は然したる批判も行わぬ儘、今日に至っていたのです。

然りとて、こうした彼等にも思春期や反抗期は存在したのです。改選を7月に控えた彼等は、単なるイエスマンじゃないボクちゃん、を演出すべく、副知事の浜渦武生氏を引き摺り降ろす作戦に出たのです。更には、そこに守旧派の都庁官僚と、意気地無しな記者連中が加わりました。

そもそもの発端は、外部監査人の包括外部監査で「東京都社会福祉総合学校」への補助金は正当な支出に非ず、と報告された事実からです。にも拘らず「百条委員会」なる議会の機関は早々と、「不正受給に非ず」と決め付けています。理由は簡単。複数の議員と“密接な関係”の学園だったから、です。

不可思議な話です。その起用を都議会が承認した外部監査人の報告を否定するなら、件の外部監査人をこそ百条委員会に召喚すべきではないでしょうか(笑)。或いは又、調査報道こそは真のジャーナリズムであるなら、都庁クラブの記者諸氏は「不正受給」の有無をこそ、徹底取材すべきではないでしょうか。

が、そうした動きは皆無です(苦笑)。流石は知事会見の際、質問に答えた石原氏に対して、「有り難う御座いました」と返礼を忘れない、長幼の序を重んじる都庁記者クラブの面々です。

「しかし、今回の事態で石原知事が週二、三回しか登庁せず、浜渦氏の専横を招いた面に多くの都民が気付いてしまった」と、したり顔で記す記者諸氏は、その事実を疾うの昔から知っていたにも拘らず、後出しジャンケンをしているのです。

 謦咳に接した浜渦氏とは実は、僕が副知事に起用したいくらいに優秀で魅力的な人物です。而して僕と国家観の違いはあるにせよ、浜渦氏とコンビを組む石原氏でなくては、ドラスティックな変化をTOKYOには望めないのも現時点では厳然たる事実です。

今回の浜渦氏の退任で最も北叟笑んでいるのは、面従腹背の都庁官僚と利権志向の都議会議員であります。踏ん張れ浜渦武生!と僕はエールを送りたい衝動に駆られます。