長野県議会2月定例会 一般質問 島田基正 2007年2月22日 |
註)村井知事の答弁内容は後日加えます。 私にとりましては、野党としても村井知事に対しても初めての質問ですので、政治姿勢の基本について、お伺い致します。 前知事の不信任による選挙の時だったと思いますが、田中秀征氏が、ある雑誌に載せた評論で「県民は知事をマクロの視点で選び、県会議員はミクロの視点で選ぶ」といっております。 つまり、県民は、知事には広く県全体のことを考えてほしいと期待し、県会議員には地域のために働いてくれることを期待して票を投じるということです。 そのどちらが是で、どちらが非というのではなく、私がここで申し上げたいのは、県民の二つの選挙における物差しが異なっているということです。 同じように、自分達の住む市町村の長を選ぶ場合の視点は、更にミクロの方に片よるのであり、県知事を選ぶ視点とは全く異なるものであるはずです。 これは、住民が自分達の住む市町村の長に期待するものと、県の長である知事に期待するものとに大きな差があるということに他なりません。 住民は、市町村の住民であると共に、県民であります。そして、その一人一人は、それぞれの中で市町村民と県民とをしっかりと区別して認識しているのであります。私が長年県民と接触して得た感触と、田中秀征氏の論とは一致していると思います。 県民の考えを別の視点で選ばれた市町村長という配線を通してだけでキャッチすることは、県民感情と大きな齟齬を期たす危険があるといわざるを得ません。 その一方で、首長の選挙にあたって、例えば三人の候補が立ったとして、当選した候補の得票と、二位三位の得票の合計を比べた場合、後者の方が多いということは、珍しい事例ではありません。これは、事実上、過半数以上の住民の意思が無視されたということになります。 こうした間接民主主義の矛盾は、制度の宿命として仕方のないことでありますが、少なくとも別の選挙によって選ばれた首長・議員は、国政選挙なら国民に、県政にかかわる選挙なら県民に、市町村の選挙なら、市民・町民・村民に直結した姿勢をとるべき義務があると思われます。 戦前は、国を頂点に、隣組を底辺とするピラミッド型の体制がしっかりと組立てられ、やがてそれが下からの声を上へ伝える機能が麻痺し、上からの管理だけがきびしくなり、ついに戦争突入という悲劇的状況を招くことになりました。 知事の、住民の声は市町村長を通してといった風に理解できる姿勢は、この戦前のピラミッド型管理体制に一脈通じるものがあるように感じられるのですが、知事の、国、県、市町村、住民という関係の理想像は、どのへんにあるのか、まずおうかがいいたします。 たしかに知事は、前知事が県民の声を直に聞こうと始めた車座集会を継承されておりますが、あまりにも理路整然たる弁舌に、参加者は反論が見つからず、逆に直接民意を聞いているという形式に落ちていく危険性も感じられました。 そこで、各地で開かれた車座集会で出た意見、提案の中で、市町村長のものと異なるようなケースがあったかどうか、そういう場合、知事としてどういう形で県政に取り入れようとされたか、実例をあげてご答弁いただきたいと思います。1問目終わります。 【1問目】 村井知事答弁――――――― 再質問― 権力も肩書きもない普通の県民一人一人の声を正しく捉え、声なき声を聞き、見えざるものにも光が当たる県政を進めてください。 次に、今回の議会の焦点は「穴あきダム」にあると新聞等でも報じられておりますので、私も少し違った切り口から質問いたしたいと思います。 「穴あきダム」につきましては、かつて田中前知事も選択肢の一つとして提示したことがありましたが、その時は「脱ダムといっていたのに、結局ダムか」といった非難をあびることになりました。 しかし、前知事が「穴あきダム」を選択肢からけずったのは、外国の例から見て、大きな災害が起こった時、下の穴に岩や土砂がつまって、ダム自体の機能が大きく低下することを知ったからでした。 それはひとまず置いて、ここで私がおうかがいしたいのは、前知事の提案については非難した人の間から、今回は賛成の声が出ていることです。 「脱ダム宣言」は我々に何の話もなく提案されたからおもしろくない。それに関連した提案には反対する。今回は、その「脱ダム」から脱する、いわゆる「脱脱ダム」で、反対した立場の面子が立つから賛成する、といった自身のプライドから出発した意見と、自然を守るためには、コンクリートで固めた巨大な施設を山の中に造るべきではないという純粋な主張を一貫して唱えてきた人達の意見と、どちらが本当にこの県を愛し守ろうとしている人の口から出たものか、知事の評価をおうかがいいたします。2問目終わります。 【2問目】 村井知事答弁――――――― 再質問――信州長野県中の里山が、自然が、荒れ痛み、保水力・生命力が弱っています。 昨年の豪雨災害は、県内どこでも災害が起る危険を教えてくれました。 巨額なコンクリートダムによる応急手当より、防災知事が今こそ先頭に立って 身近な自然を助け再生させる県民運動を起こす方が先ではないかと、自然は警告しています。 次に、先般、宮崎県において東国原知事が誕生いたしました。以来、宮崎県は頻繁にマスコミで取り上げられるようになりました。 かつて宮崎県は新婚旅行のメッカとされ、観光王国といわれておりましたが、海外旅行の普及から下降線をたどることになりました。そうした状況の中で、宮崎県民が選んだのがタレントそのまんま東、東国原知事でした。おそらく、そのまんま東に一票を投じた人には、知名度の高さが宮崎県のPRに役立ってくれるといった期待が何パーセントかはあったはずです。 そして、その期待通り、宮崎県は、かつての長野県以上にマスコミに取りあげられ、PR効果はいずれ現れることと思われます。 観光宣伝の第一歩は、その土地の名を広く知ってもらうことから始まるといわれております。去年までは、他県へ行って「長野県」といいますと 「あのおもしろい知事のいる県か」 「あのおかしな知事のいる県か」 といわれたものでした。それをどう受けとめるかはともかく、県の知名度という面では大きなプラスであったことは事実であり、宣伝効果は三年後に現れるという観光面にも好影響を与え始めていたと思われます。 知事は目立ったパフォーマンスを極力避けておられるようであり、その映像が全国にテレビ放映されることはほとんどないようですが、これはある意味で本県の観光に将来マイナスの影響がでるのではないかと危惧されるものがあります。 観光は、本県の産業の中で、さほど重要なものではなく、ご自分のプライドを捨ててまでタレント的パフォーマンスをする必要はないとお考えなのか、知事の知名度に代るべき観光施策を用意しておられるのか、おうかがいいたします。 今年、NHKの大河ドラマは、この長野県も重要な舞台になる「風林火山」です。知事が記者会見される会場にも「風林火山」のステッカーが貼られております。 しかし、観光は、他県の人にアピールしなければ、その意味は半減します。年齢的なギャップはともかくとして、知事ご自身、山本勘助に扮して東京駅で観光宣伝をされるお覚悟がおありかどうか、おうかがいいたします。終わります。【3問目】 村井知事答弁――――――― 次に地域独自の施策と市町村の合併についておうかがいいたします。 昨年の合併で上田市になりましたが、旧真田町の小中学校で、給食をパンから米飯中心にし、しかも地域の無農薬、低農薬の米や野菜等の安全食品を使うことの食育によって、いわゆる「キレる」子が激減し、不登校児、非行生徒がゼロになり、生徒の成績が全体に向上したということをご存知でしょうか。今、マスコミや国会でも取り上げられ、全国から視察が殺到している状況ですが、既に視察されておられるようでしたら、まずそのご感想と、またこれら施策へのご所見をお伺い致します。 また、完全米飯給食は、当時荒れに荒れた状況にあった真田中学に赴任した一人の校長先生のまず子供の心を豊かにするには、自然のいのちにつながる心を育てる食が大切という「食育」の信念から始まり、数々のハードルを先生の熱意によって乗り越え、実現したのでした。 その後、校長先生は真田町の教育長に就任し、完全米飯給食は小学校にも広がり、大きな成果をあげることになりました。先生の食育の理念は非常に深いものがあります。これは先生から直にお聞きいただければと思います。先生は、現在上田市の教育委員長を務めておられますが、米飯給食はまだ上田市全体に広がってはおりません。 そこで思いますのは、もし米飯給食の提唱が上田市合併以後であったら、はたして実現できたかということです。米飯給食に匹敵するようなアイデアが、人口十数万の都市の中に埋没してしまっていないだろうかという危惧もあります。新潟県の米どころ高柳町の高柳小学校の自慢の米飯給食は、昨年5月柏崎市と合併してかそのよき給食も他と同じパン食にするように言われてると伺っております。 このように合併によって地域的なアイデアの実現がむずかしくなっているのが現実です。大規模自治体の行政の目は市井の隅々までは届かなくなり、その中で大きな社会問題になりつつある格差も、こうした光の当たらない底辺から恨みの声となって高まりつつあります。 中央官庁の、地方・地域の本当の実情を知らない官僚が机の上で書いた合併政策が、数々の弊害を生みつつあることは、知事という地域に直結できる地位につかれて半年、ある程度ご理解いただけたかと思いますが、それでもなお、中央主導の市町村合併策を推進するお考えかどうか、おうかがいいたします。 【4問目】終わります。 中央から配給されたのではない、地域固有の作った人の顔が見える暮らしは、地域の家庭・社会・雇用・経済・環境を守り人を豊かに育てます。 村井知事は議案説明の中で 「一分の隙間もなく立体の石を組み合わせて敷き詰めた平坦な八万キロの街道」を七百年にわたって維持管理したローマ帝国に感銘を受けたといわれましたが、私は平坦でもなく、石も敷かれていない、しかし、春になれば草が生え、路傍小川にはめだかが泳ぐ日本の田舎の小道にこそ、本当の人間が守るべき暮らしの原点があるように思っておりますが、これについても一言ふれていただければと思います。【5問目】 村井知事答弁――――――― 再発言 島国日本は、豊かな自然と調和してきた「和の国」であります。 世界の歴史上の権力者達が造った巨大な建造物より、人と身近な自然が助け合い生かし合い命を輝かせてきた豊かで美しいふるさとの自然、共生の文化や、その「和の心」を引き継いでいく事こそが大切なのではないでしょうか!! 武士道は身を犠牲にして廻りを助ける姿勢にあります。弱いものいじめをさせない、卑怯なことは許さない。県民を守る為、県政で山本勘助の姿を示してください。
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