国、都道府県、基礎自治体などは、大気汚染防止法に基づき、大気汚染を常時、自動的に測定・記録する「常時監視測定局」を設置している。全国に設置されている「常時監視測定局」は1900局近くにのぼる。
これらの測定局で二酸化窒素、浮遊粒子状物質、光化学オキシダント、一酸化炭素、風向、風速などが1時間毎に測定され、1年間では24時間×365日=8760時間、うるう年では8784時間のデータが記録されている。
これらの測定に使われる測定機器を製造、販売する能力を有するメーカーは、日本以外にもあるはずだが、なぜか国内では日本の少数のメーカーに限定されている。同じように廃棄物の焼却炉の分野でも諸外国では国際競争入札が行われているにも関わらず、なぜか日本のメーカーだけで独占されている。近年、これら焼却炉メーカーは談合が摘発され、裁判でも敗訴を重ねている。
昨日(2008年11月12日)、大気汚染機器でも同じように談合が摘発され、公正取引委員会が、独占禁止法違反で排除措置命令と、計約1億3千万円の課徴金納付命令を出した、と以下のように報道された。
大気汚染(二酸化窒素・窒素酸化物)測定機器の例
環境総合研究所撮影
いずれも環境省が管轄する業界での出来事であり、以前より閉鎖的な発注の実態、談合等の可能性が疑われても仕方がない実態にあったが、これがいよいよあきらかになってきたということであろうか。
全国の膨大な機器が定期的に更新されるのだから、少数のメーカーにとってはいい商売である。長年、談合をつづけてきたとすれば、膨大が額の税金が無駄に支出されてきた、ということになる。メーカーだけでなく、発注者側の責任も重大である。
朝日新聞
http://www.asahi.com/national/update/1113/
TKY200811120411.html?ref=rss
大気汚染機器で談合、3社に課徴金1億3千万円 公取委2008年11月13日1時25分
市街地の大気汚染濃度を測定するため、環境省や都道府県などが発注した測定機器の入札をめぐり、談合を繰り返していたとして、公正取引委員会は12日、機器メーカー3社に対し、独占禁止法違反(不当な取引制限)で排除措置命令と、計約1億3千万円の課徴金納付命令を出した。
命令が出たのは、東亜ディーケーケー(東京)、紀本電子工業(大阪)、堀場製作所(京都)の3社。島津製作所(同)も加わっていたが、課徴金減免制度(リーニエンシー)を申請し、免除された。
調べでは、遅くとも04年6月以降、環境省や都道府県などの地方公共団体などが発注する機器について、最大手の東亜ディーケーケーの元部長が各社に受注配分し、881件の発注のうち7割にあたる615件を事前の打ち合わせ通りに受注していた。
大気汚染測定機器は、大気汚染防止法に基づき設置が義務づけられており、全国に約2千台あるという。
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