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先のコラムでは7月21日の東京二十三区清掃一部事務組合(以下「清掃一組」と表記)の報道発表、7月22日の新聞・テレビ報道に関連して紹介したが、コラムを読んだ方からお知らせいただいた7月20日の都政新報の記事にはさらに詳しく書かれている。 なお、都政新報の記事は20日、先に紹介した清掃一組の報道発表は21日であるが、必ずしも順番が逆転しているということではない。最初の焼却炉停止は6月11日に足立工場(6月25日発表)、7月1日に板橋工場(7月8日発表)、7月8日に光が丘工場(7月9日発表)、7月18日に千歳工場(7月20日発表)で発生しており、都政新報の記事の段階では千歳工場を除く3工場で焼却炉停止が発生しているからだ。 都政新報の記事の概要は以下のとおりである。
まずは前回のコラムでも指摘したように、平成20年度より廃プラを「もやすごみ」として焼却はじめ、それ以来、焼却不適物の混入割合が約2倍に増えているということへの言及が全くないことが問題である。 前回のコラムを読まれた方の一部に「プラ全面焼却を犯人扱いしている見解」との誤解があったようであるが、よく読んでいただければ分かるが筆者は廃プラ全面焼却が「犯人」であると断定しているわけではない。廃プラ焼却開始以来、焼却不適物の混入が増えている、というまさに今回の水銀問題に直接関連のある事実が清掃一組自身のデータで明らかであるにもかかわらず、全くそれへの言及がないことを問題にしているのである。 一方、清掃一組は、医療機関等の「事業者」を「犯人扱い」しているかのうような発表をしており、報道の内容はそれを反映したものとなっている。 「焼却炉停止の公表に踏み切ったのは、水銀などの危険物を可燃ごみに捨てないよう排出者に警告するためだ」(都政新報の記事)とあるように、排出者への警告の必要がなければ、焼却炉停止を公表するつもりがなかったかのような説明も問題であろう。区民の税金で区民のごみを処理しているのだから、異常事態があれば、すぐに公表してしかるべきである。 筆者は、環境面、財政面等の理由により廃プラ焼却には反対だが、そうでない人も金属類等を含む「焼却不適物」の焼却に賛成する人はいないだろう。したがって廃プラ焼却に賛成・反対に関わらず、廃プラ焼却を開始して以来、不適物の混入が増えていること、今回の水銀問題は「不適物の混入」によって起こっていることを合わせて、しっかりと説明することこそ、「排出者への警告」なのではないだろうか。 また、記事には「昨年も水銀の規制値超過はあった」とあるが、これが大きく報道されることはなかった。今回のような問題に至るのを避けるためにも、この時点で区民や事業系一般廃棄物の排出者に注意を促してしかるべきだった。 実際には「清掃一組は、収集車が搬入したごみの一部をチェックする取り組み」(都政新報の記事)を開始した。つまり区民のごみに混入する「焼却不適物」の増加の問題を認識している。いつからそうなったかも含めて、その事実をしっかりと区民に伝えてこそ、その目的が達せられる。記事にあるように「ホームページ上で呼びかけ」ても、どれだけの区民がそれを目にするというのだろうか。焼却不適物をもえるごみに出すような区民がホームページの呼びかけを目にすることが期待できると考えているのだろうか。 もちろん、プラスチック廃棄物の問題は、燃やさないでリサイクルすればいい、というほど単純なものではない。杉並の廃棄物圧縮施設、寝屋川のリサイクル施設の周辺で起きている健康被害の訴えは深刻である。そもそも製品に使われているプラスチックの問題にまで遡って拡大生産者責任(生産者が本来負うべき外部不経済の問題)に取り組まねばならない。そのためにこそ「出口」である、焼却炉や廃棄物の圧縮施設、リサイクル施設で起きている問題に目を向けなければならないのである。 |