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<本件は投稿によるものです> トヨタテストコース建設の問題点列挙いたしました。お読みいただきこの凄まじい自然破壊の実態をご理解いただければ幸いです。 自然保護に興味のないかたは 無視してください。またクロスポストなどお許しください。天災に苦しむトヨタ自動車が里山を壊して作るテストコース計画の問題点 1. 極めて巨大な環境破壊 総面積は660ha(皇居の5.7倍、東京ディズニーランドの13倍、東京ドーム141個分)。9割が山林、1割が水田で、いわゆる里地里山の環境。森林のうち約半分が里山。そのうちの270ha(4割)もの山を削り、谷を埋め、造成する。トヨタ側は「開発するのは4割だけ!」というが、270haとは半端な面積ではない。更なる天災を引き起こしかねない。 2. 当然のごとく絶滅危惧種がたくさんいる 予定地には環境省と愛知県のレッドリストに記載されている多くの生き物が生息している。環境影響評価準備書(平成23年2月、愛知県発行)によると、動物では合計96種、植物では27種が環境省か愛知県の作ったレッドリストに記載されている。 特に絶滅危惧TB類で地球上に1000羽しかいないとされる鳥類のミゾゴイが、2009年の調査ではエリア内で2ペアー繁殖していたにもかかわらず、保護対策は何も考えられていない。 環境省 愛知県 哺乳類 6種 鳥類 6種 32種 爬虫類 1種 2種 両生類 2種 4種 魚類 4種 4種 昆虫類 9種 13種 クモ類 2種 10種 陸産貝類 8種 3種 淡水産貝類 4種 1種 シダ植物 2種 3種 種子植物 19種 15種 3. アクセス道による環境破壊も馬鹿に出来ない 完成すると研究者だけで3850人が働く計画です。 2011年10月1日現在の下山地区の人口が5180人なので昼間人口は倍ちかくになる。 インフラの整備、特にアクセス道による多大な環境破壊は数百haに及ぶと考えられる。特に今でも渋滞する豊田市からのアクセス道である国道301号線の拡幅やバイパス新設、岡崎市からのアクセス道である県道の拡幅などが必要になる。 対象地域の周辺にも極めて良好な自然環境が残されているので、これらの喪失についても問題だ。第2東名ができると、すぐ近くに建設予定の岡崎サービスエリア(仮称)からの新道建設も予定されている。 エリア外ではインフラの整備による更なる多大な環境破壊も引き起こす。エリア外の自然環境の破壊と荒廃により、結果的に当該エリアの環境も悪化し、特に移動能力の高くテリトリーの広いサシバやハチクマ等の鳥類には大きな影響の及ぶことが懸念される。 また、地元では過疎化に歯止めがかかると言われているが、アクセス道が整うと豊田や岡崎の市街地から通う人ばかりになるでしょう。 4. 本当にテストコースが必要なのか? 今回の開発は自動車開発用のテストコースと、それに伴う研究棟・実験棟や厚生施設などを建設する。テストコースは6`の周回路、4`の周回路、2`の直線路など11コースを予定。 日本国内にあるトヨタ自動車のテストコースは、東富士、本社(豊田市)、北海道の士別、九州工場、田原工場などにある。関連企業のテストコースとして、ダイハツテストコース、日野北海道芽室テストコース、日野茨城テストコース、ヤマハテストコースなどがある。子会社のテストコースとして、エフティーテクノ(アイシン系)藤岡テストコース、デンソー額田テストコースなどがある。 トヨタ自動車の海外のテストコースはアリゾナ、ベルギーにある。現在、中国にもテストコースを建設中。さらに、子会社のトヨタ紡織が岐阜県に、ジェイテクトが三重県にテストコースを作ることが2011年に発表された。 5. 愛知県企業庁が買収、造成を実施 愛知県の経済発展のためとはいえ、行政が一企業のために行って良いものか?かかった費用はその都度トヨタ自動車が払うことになっている。企業庁職員の給料までトヨタ自動車が負担するのだから、愛知県はトヨタ自動車の1つの部署のようなものになった。 実際に買収工作を行ったのは豊田市、岡崎市の職員だが、こちらの経費に関してトヨタは払わない。豊田市も岡崎市も自分の市の経済効果を期待しているので、無償で協力させられている。 6. どうしてもここに必要なのか? 回造成を実際に受け持つ愛知県企業庁は工業用地を作るのが仕事の部署。昔から毎年多くの工業用地を作り続けているが、造成したまま売れ残っている土地もたくさんある。テストコース計画発表当時、愛知県田原市には愛知県企業庁が40年ほど前に干潟を埋めて作っ埋立地が造成したまま売れ残っていた。 7. 雇用の場が生まれる? 地元の住民には雇用の場が生まれると説明している。予定地は過疎化する山村なので、地元は歓迎ムードに染まっている。研究者だけで3850人が働くということになっているが、地元からの雇用は食堂や清掃員などごくわずか。 また、準備書にも書かれているように農林業就業者の割合は全国的に減少している。本事業の完成により、わずかだが雇用の場がそれなりにできることになると、残念ながら、農業・林業就労者は更に減ることになり、下山の環境はさらに荒廃する。 8. ミチゲーション 今回の開発で回避は行われなかった。 最小化として土地の改変面積を410haから270haにしたり、修正・軽減としてトンネルや橋梁を設ける計画を示したが、270haもの改変を行うと考えるとまだまだ十分でない。代償措置として改変しない390haの部分の整備を行うことになっているが、これだけでは全く不十分。 準備書では里山を二次林として位置付け、「森林・谷津田(里山)の誘導目標」では、そのうちの本来の意味の里山は若齢二次林としている。若齢二次林とは20〜25年に一度小面積の皆伐をする森となっている。 準備書に書かれている「森林・谷津田(里山)の誘導目標の設定」は意味のあることだが、特に里山の場合、ただ単にコストをかけて木を切るだけでは持続不可能な管理方法と言わざるを得ない。切りだした材や里山から生まれる資源の利用方法を提案することまでが必要になる。 すなわち里山に経済的価値を作り出さないことには、持続的に里山を維持できることにはならない。このことで地元に雇用が生まれることに繋がり、山村が山村らしく継続でき、山村にあるべき雇用形態を蘇らせることができる。、 ミゾゴイやサシバ等の保全対策として、形式上の環境整備をしても対処療法にしかならない。このような貴重な生き物を守るために里山を整備するのではなく、「里山で人間が生計を立てる」ことができるようにすることが必要だ。 「里山に依存して生活できる人を存在させる。」「人が里山に依存して生活できるような体制を作る。」そのためには里山の材の消費を促し、経済的に循環するような仕組み作りが不可欠で、このようなシステムを構築することにより、里山は回復し、結果として自然にミゾゴイ、サシバなど里山に生きる貴重な生き物も維持されることになる。このようなシステムさえ作れば、エリア外においても里山の保全が可能となる。 何といっても「森林の誘導目標」の管理手法は、開発を行わなくても日本全国どの地域でも行われている、また、行わなくてはならない手法だ。今回開発を行うに当たり特別に行うものではない。代償として行うのであれば、全国どこでもやっていることではなく、更に一歩踏み込んだことが必要だ。 また、ボランティアを使って環境教育などを行うことになっているが、ボランティアではなく地元の雇用に繋がるような方法を取るべき。 9. 地元ではトヨタ関連の関係者ばかりで反対する人がいない 地元ではトヨタ自動車及び関連企業の人が多く、少なくとも反対はできないので、賛成派の声しか聞こえてこないのが現状。 10. 愛知万博の理念や、COP10で提唱する里山イニシアチブはどうなる? 環境万博と言われた愛知万博やCBD-COP10を誘致した愛知県がこの開発行為に加担すること自体問題がある。また、COP10で里山イニシアチブを提唱しているにもかかわらず、大量に里山を破壊することが同じ県内で行われることは大きな問題だ。 |