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中国電力は、山口県上関町での原子力発電所建設のために、自然豊かな長島の田浦海岸の埋立を強行しようとしています。 長島や祝島周辺の海域は、瀬戸内海原風景を残し、多くの野生生物が生息し、持続的な漁業が営まれている生物多様性のホットスポットです。 現在、名古屋で、第10回生物多様性条約締約国会議(CBD/COP10)が開催されているにもかかわらず、地域住民や環境団体の反対を押し切って埋立工事を強行しようとする中国電力の姿勢は、地球の生物多様性を守り持続的に利用しようという国際条約を踏みにじるものであり、反社会的な行為と言わざるを得ません。 中国電力が行った環境アセスメント(2001年〜)とその後の調査は、この豊かな海域への影響を十分な科学性を持って調査、予測、評価したものではありません。 これまで、日本生態学会、日本鳥学会、日本ベントス学会などから、アセスに関する強い批判を受けていることから、謙虚に見直し、科学的かつ適正な方法で、再度実施するべきです。 特に、スナメリ(準絶滅危惧種、日本哺乳類学会1997)にとっては、瀬戸内海に残された唯一の繁殖地である可能性が指摘されています。 また、カンムリウミスズメ(絶滅危惧U類、環境省2006)の繁殖可能性が高く、ハヤブサ(絶滅危惧U類、環境省2006)の繁殖が確認されるなど、多くの希少種が記録されています。 また、底生生物や陸産貝類の中には未知の種が数多く含まれているとみられます。このような生物多様性に富む地域、海域は、「絶滅のおそれのある野生動植物種の保存に関する法律」や「瀬戸内海環境保全特別措置法」の趣旨からしても十分に保全されるべきです。 瀬戸内海では、現在も埋立等による環境悪化が続いています。しかし、長島、祝島周辺の海域は、今なお、豊かな海域であり、持続可能な漁業が行われています。 まさに、生物多様性条約が目指す生物多様性の保全と持続可能な利用が、何世代にもわたって実践されてきた地域であり、原発建設のために破壊するべきではありません。 原発は、建設による海域や陸域の地形改変、運転時の有毒な温排水の拡散、放射性物質の蓄積、事故発生時の深刻な環境汚染など、生物多様性に与えるダメージが極めて大きいものです。 放射性廃棄物の処理には未解決な問題も多く、わずか数十年で老朽化し、私たちが目指す持続可能な社会とは相容れないものです。 私たちは、地域住民や環境団体の意見に耳を貸さず、かけがえのない自然と生物多様性、豊かな漁場を破壊する中国電力に対して強く抗議するとともに、埋立工事の中止と原子力発電所建設計画の中止を求めます。 以上 |