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平成一二年(ラ)第三三八号建築禁止仮処分申立却下決定に対する抗告事件(原審・東京地方裁判所八王子支部平成一二年(ヨ)第二八号、一〇七号) 決 定 当事者の表示 別紙当事者目録のとおり 主 文 一 本件各抗告をいずれも棄却する。 第− 抗告の趣旨(略記等は、原則として、原決定に従う。) 第二 事案の概要 一 本件は、東京都国立市所在の本件土地に隣接する土地を所有して学校を経営している抗告人桐朋学園、同校に通学する抗告人榎本吉兼ら七名(抗告人榎本ら)及び本件土地に隣接し又はその近隣に土地を所有して居住する抗告人山田悦夫ら六名(抗告人山田ら)が、相手方らに対し、日照阻害、通風妨害、教室や校庭からの眺望阻害、プライバシー侵害、近隣の景観阻害等を理由に本件土地上への本件マンションの建築禁止(主位的)又は建築中の本件マンションのうち、高さ二〇メートルを超える部分の撤去(予備的。原審においては、高さ二〇メートルを超える部分の建築禁止を申し立てていたが、当審において、右のとおり変更した。)を求めて申し立てた仮処分事件である。本件土地及び桐朋学園等の位置関係は、別紙図面のとおりである。 二 原審は、抗告人らの各申立てを却下した。 三 当裁判所も、主位的申立てについて原審の下した結論を維持し、当審における変更後の予備的申立てを却下すべきものと判断した。 その理由の概要は、本件マンションは、本件建築物制限条例の施行(本件土地を含む中層住宅地区に建築する建築物の高さを二〇メートルに制限する旨の改正条例の施行のことである。以下同じ。)の時点において、現に建築の工事中といえる段階に至っておらず、その高さは同条例に違反するものの、これにより抗告人らの受ける日照阻害は、未だ、受忍限度を超えておらず、抗告人らが主張するその余の被害も、法律上、建築差止仮処分の被保全権利の根拠となるものではないか、受忍限度を超えるものではないというものである。 四 当裁判所の認定した事実関係等は、原決定の理由の「第三 当裁判所の判断」 の一(原決定三頁九行目から六五頁六行目まで)と同じであるから、これを引用する(ただし、一の「2 日常被害の状況等」(同六頁四行目から三一頁二行目まで)のうち、原審の評価に係る部分を除外することとし、抗告人ら及び相手方らの指摘する誤りについては、結論に影響を与えるものではないので、本決定においては、個別に補正することはしない。また、原決定後、本件マンションのE棟において、高さ二〇メートルを超えて建築工事が行われていることは、当事者間に争いがない。)。 五 当審における争点は、左記のとおりである。 第三 当裁判所の判断 一 争点1(抗告人らの主張する披害が、被保全権利の根拠となるか)について 当裁判所は、日照阻害及びプライバシーの侵害については、これが受忍限度を超える場合には、建築差止めの仮処分を求める被保全権利の根拠となり得るけれども、当該地域の環境、景観の阻害等については、差止めの根拠とはなるものではないと判断する。その理由は、以下のとおりである。 1 環境、景観に関しては、いわゆる環境権を権利として認知すべき旨が提唱されて約三〇年になるが、爾来、それを私法上の権利として認知し、司法裁判所により保護されることを可能にする立法は、制定されていない。 2 抗告人らの所有(居住、通学する学校の所在を含む。)土地及び本件土地を含む当該地域は、原決定の認定するとおり、大正後期から昭和初期の建設当初から、教育施設を中心とした閑静な住宅地を目指して整備され、美観を損なうと考えられる建物の建築や、工場、風紀を乱す営業がされない状態が長年にわたって維持され、JR東日本線国立駅以南について、東京都文教地区条例に基づく文教地区の指定、国立市景観形成条例の施行、行政指導要綱による指導がされ、これらが右状態の維持に寄与してきた。 3 環境にしても、景観にしても、その中に居住して生活する住民の多数が長い間にわたって維持し、価値が高いものとして共通の認識の確立したものは、先に居住を開始した住民の単なる主観的な思い入れにとどまるものではなく、新たに住民となる者や関係地域において経済活動をする者においても十分に尊重すべきものである。しかして、これら環境や景観は、個々の住民の利益というよりは、時代及び世代を超える、地域社会全体の利益として、国や地方自治体において、その内容を明確にし、これを維持する根拠となる法令を定め、その行政を通じて維持されるべきものであつて、私人間に偶発的に発生する紛争の解決を通じては、有効かつ適切に維持されるとは解されない。 もとより、これを司法の過程を通じて維持することを可能にするかどうか及びその範囲を決定するのは立法政策の問題ではあるが、我が国においては、景観に関する利益、環境のいずれについても、裁判規範となる立法はされて いない(国立市景観形成条例も、右にいう意味での裁判規範とは解されない。)。このことは、我が国においては、これを司法裁判所によつて維持すべきものとする国民の需要が立法を促す程には強くないことを示すものである。 4 以上のとおり、当該地域の環境及び景観に対する住民の利益は、それのみでは、法律上、相手方らの本件マンションの建築を差し止める根拠(被保全権利の発生原因事実)とはなりえないと解すべきである。 5 また、右に主張したところにかんがみれば、眺望の阻害、圧迫感、天空狭窄等についても、環境及び景観の阻害に準ずるものとして、それ自体独立しては披保全権利の根拠となり得るものではないというべきである(もとより、 これらが、日照被害が受忍限度を超えるか否かの判断にあたつての考慮要素となり得ることは別論である。)。 二 争点2(本件建築物制限条例の効力)について 当裁判所は、左記のとおり、相手方らの主張する理由によつては、本件建築物制限条例は何ら効力を否定されるものではないと判断する。 1 本件建築物制限条例の制定及び相手方らが本件マンションの建築確認を取得するに至るまでの経緯については、原決定の認定するとおりである。すなわち、平成五年、元の所有者であつた東京海上は、本件土地上にあつた計算センターを移転した後、六階建ての事務所ビルを建築しようと試み、用途地域の見直しを求めたものの、国立市の容れるところとならず、これを断念し、平成一一年七月、相手方明和地所が本件土地を購入し、本件マンションの建築計画を実施に移し、東京都や国立市の条例に規定する手続を経て、平成一二年一月五日建築確認を得たのであり、その直後、国立市は、本件土地について、高さ二〇メートルを超える建物の建築を禁止する旨本件建築物制限条例を改正し、同年二月一日から施行した。 右のような事実の経緯にづいては、相手方明和地所においては、本件土地の取得後、当時の法令の許容する範囲内で本件マンションの建築を計画したものの、高層建物の建築について、これにより日照被害を受ける者を含め、長年にわたつて維持されてきた当該地域の景観の破壊を危惧した住民から強く抵抗を受け、国立市においても、建物の高さについて制限する旨条例を改正するに至つたのであり、相手方ら及び住民においては自らの利益を確保する行動をし、国立市においては、住民と当該地域のあるべき姿を維持するための行動として条例を改正したとみることができる。 2 相手方らは、国立市が相手方明和地所の本件マンションの建築計画を知った上で、これを阻止するために、いわば狙い撃ち的に本件建築物制限条例を制定したことを理由に、また、制定の手続等の故に、同条例が無効であると主張する。しかしながら、国立市議会における条例の制定手続の当否は、優れて政治的な問題として、裁判所が判断を控えるべき性質の事柄であり、制定手続の故に条例が無効とされることはない。また、右条例は、相手方明和地所の本件マンション建築計画に対して狙い撃ち的に制定されたとしても、その故に無効となることはない。国の法律、地方自治体の条例いずれであれ、生じ得る事態を想定して制定されるものではあるが、経済活動や犯罪が従前予想しなかつた態様により行われるとともに、これらを規制するための立法が後追い的にされることは、常にあることで、異とすべきことではない。もとより、犯罪については、事後法により処罰されることはなく、民事立法については、既得権等従前の法体系を基礎にして開始された経済活動等をどの範囲で新法令の規制等の対象とするかが、当該法令において、あるいは裁判所の判断を通じて、調整されることはあり得る。民主主義国家における国及び地方自治体の法令制定権とはそのようなものであり、制定された法令は、その内容が、法律であれば憲法に、条例であれば憲法又は法律に、各違反するものでない限り、具体的な経済活動の規制の目的で制定され、又はその制定により従来可能であつた経済活動が規制されることを理由に無効となることはない。 3 以上のとおり、本件建築物制限条例が無効であるとする相手方らの主張は、他に同条例の無効事由の主張もない以上、採用することができない。 三 争点3(本件建築物制限条例施行日である平成一二年二月一日当時、本件土地上に、「既に建築の工事中の建築物」が存在したか)について 当裁判所は、左記のとおり、本件建築物制限条例が施行された標記の日時当時、本件土地上には、「現に建築の工事中の建築物」(建築基準法三条二項参照)が存在していたと解することができず、したがつて、本件マンションは、本件建築物制限条例に適合しない範囲すなわち高さ二〇メートルを超える範囲において、建築基準法に適合しない建物に当たると判断する。 1 相手方らは、平成一二年一月五日の建築確認取得後、同日から土を掘る根切り工事を開始し、同月二六日からは右工事によつて掘削された部分の崩れを防止する山留め工事を並行して行っており(原決定)、その他の疎明資料によつても、同年二月一日においても同様の工事をし、これらの工事のための機械等は本件土地に搬入されて稼働していたと認められるものの、工程表上も、基礎、地下躯体工事は同月中旬に着工する予定であり、本件マンションを建築するための基礎杭を設置するための機械が搬入されていることを認めるに足りる疎明はなく、本件土地以外の場所において、建築資材の加工等が開始されたり、これに費用を費やしたりしたことを窺わせるに足りる事情の主張及びこれを裏付ける疎明はない。また、相手方らにおいても、標記日 時当時、複数の建物からなる本件マンションの工事が基礎杭を設置することを予定しない部分(相手方らは、基礎杭の設置を要しない部分と主張するが、結論を左右しない。)の土の掘削工事を実施していたことは認めている。 2 建集基準法三条二項は、「条例の施行の際現に建築の工事中の建築物がこれらの規定に適合せず、又はこれらの規定に適合しない部分を有する場合においては、当該逮築物又は建築物の部分に対しては、当該規定は、適用しない。」と規定する。同条項の趣旨は、建築確認を受けて建築した建物であつても、後に法令の改正等により同法七条三項の検査済証の交付が受けられない事態がありうることを当然の前提としながら、建物の建築が一般に高額の費用と相応の準備及び期間を要して完成に至るものであることにかんがみ、三条二項に該当する場合には、結果的に同法の規制に適合しないこととなつても、建築を許容することとするにあると解せられる。これにより、新たな規制によつて法が実現しようとした目的は一部達成されないこととなるが、一方、建築主にとつては、法に適合するとの判断を受けて建築工事を開始したにもかかわらず、完成時には法に適合しないとされることによる予期しない損失を避けることができる。このような建築主の既得権の保護と新たな規制の目的の達成との調整を図る同条項の趣旨及び文言にかんがみると、「既に建築の工事中」であるといい得るためには、建築請負契約の締結や建築の材料、機械の敷地への搬入をし、敷地の掘削等敷地に改変を加えるだけでは足りず、建築物の躯体中の基礎を除いた部分の工事に至っていることまでは要しないものの、敷地において、地中であれ、地上であれ、計画された建築物の基礎又はこれを支える杭等の人工の構造物を設置する工事が開始され、外部から認識できる程度に維続して実施されていることを要すると解するのが相当である。 3 本件においては、前記のとおり、標記の日時当時、杭打ち、基礎又は地下躯体工事に着手しておらず、建築物の基礎又は地下室部分を築造するために、地盤面以下の土を掘削して所要の空間を設ける根切り工事が実施されていたのである。同工事は、整地工事とは異なり、建築物の建築を前提とすることは明らかであるが、その施工対象は地盤の土壌であり、この段階では、地盤上又は地下において、右人工の構造物を設置する工事に着手していたと認めることはできない。 、 4 右によれば、相手方らの実施していた前記認定の作業の段階は、建築基準法三条二項にいう「現に建築の工事中」であつたと認めることはできず、本件マンションは、その高さの点において本件建築制限条例に違反しており、建築基準法に適合しない建物に当たる。 四 争点4(本件マンションによる日照被害等が、抗告人らの受忍限度を超えるか)について 当裁判所は、本件マンションが高さ二〇メートルを超える範囲で違法建築物に当たり、また、後記のように、相手方ら側の不利益も必ずしも明確でない等の事情があるものの、抗告人らの被保全権利の存否については、本件マンションによる日照被害等が、抗告入らの受忍限度を超える程度に至っているとの疎明はなく、抗告入らによる仮処分命令の申立ては却下すべきものと判断する。 1 本件マンションによる日照阻害 当裁判所は、抗告人らの標記被害については、左記(一)及び(二)のとおり変更するほかは、原決定の判示するとおりであると認定、判断する。 (一) 抗告人山田の日照被害 抗告人山田についての日照被害は、抗告人山田宅の南側に存する山田ミヨ宅によつても生じていることは原決定の認定するとおりであるが、抗告人山田宅が山田ミヨ宅の取壊しを予定して建築確認を得た建物であることは、抗告人山田宅における日照阻害による被害の程度を判断する上において、大きな影響を及ぼすものではない。もっとも、一般に、建築基準法違反の状態で土地を利用することによる利益が、相応に低く評価されることは避けられず、建築基準法違反の事実は、利益考量要素の一つとなると解すべきである。 (二) 抗告人桐朋学園及び同榎本らの日照被害 原決定の認定する抗告人桐朋学園の敷地の利用状態を前提として、冬至の時点の校庭(西から、野球場、サッカーグラウンド、小学校校庭の三つに区分されている。)における日照被害の状態を見るに、午前八時には、野球場の北東側二分の一以上、サッカーグラウンドの南西側の大半、小学校校庭の南西側の一部に日影が生じ、午前九時には、野球場は日影となる部分はなく、サッカーグラウンドの南道路側及び小学校校庭の各五分の一程度に日影を生じ、午前一〇時から午後三時までは、サッカーグラウンドと小学校校庭の南道路に近いごくわずかの部分に日影を生じ、午後四時には、小学校校庭の南東側部分約三分の一に日影を生じる(乙五七)。 2 抗告人ら側の事情 (一) 既述のとおり、抗告人らの日照被害は、本件マンションの建築差止めの被保全権利の根拠となり得る。また、発育期にある児童生徒にとつて、校庭が教室同様に大きな役割を果たしていることは、抗告人ら代理人の主張するとおりである。しかし、その披害の内容及び軽度は、先に引用した原決定認定のとおり(前記1による修正を含む。)であり、総じていえば、日影時間も比較的少ない(抗告人桐朋学園については、午前九時には日影部分がかなり減少し、午前一〇時以降にはほとんどなくなる。生徒による早朝の部活動や、冬期の早朝の霜を考慮しても、右の軽度の日影が、生徒の発育や、教育効果に悪影響を及ぼすとはいい難い。)など、主張の被害の程度は、大きなものとはいえない。 (二) 本件マンション(最大高さ四三メートル)は、二〇メートルを超える部分は建築基準法に適合しないものであるが、それ以下の高さの建物による日照阻害を明確にする資料はないものの、大略半分の高さと想定して生じる日影を検討すると、日影に顕著な差を生じるのは、抗告人桐朋学園の三グラウンドで、本件マンションの高さが二〇メートル以下であれば、同抗告人のグラウンドには、終日殆ど日影を生じなくなるものと疎明される。 3 相手方ら側の事情 (一) 相手方明和地所は、平成一 一年七月、本件土地を東京海上から購入して本件マンションの建築を計画し、所要の条例上の手続を経てきたもので、右計画の具体化とともに、国立市において本件建築物制限条例を改正する動きを生じ、最終的には改正に至り、本件マンションの高さ二〇メートルを超える部分は鐘築基準法に適合しないこととなつたものの、それ以下の部分を建築するについては、同法上の違法はない。 (二) 相手方明和地所は、本件土地を購入するに当たり、当鋲地域が景観上も評価の高い地域であり、同所に高層マンションを建築するとすれば、住民の強い抵抗を受けることは十分知っていたか、又はこれを予想しながら、敢えてこれを取得し、本件マンションの建築を進めた。同相手方は、本件土地を取得して初めて、当該地域の景観の特色を知ったかのように主張するが、当該地域が景観において優れたとされる地域であること、及び、方法や行動自体に異論があり得るとしても、当該地域においては、これまで、 景観等の地域の住環境の保全のために住民が熱意をもって活動してきた実績があることは公知の事実に属し、東京海上が本件土地の再利用を断念した経緯があることも同相手方は知っていたと推認される。 (三) 相手方明和地所は、右経緯の下で本件土地を取得し、本件の申立てがされた以上、原審における審理の当初から、本件土地の取得価格、差止めを認容されることにより起る恐れのある損害等について事実を把握し、保全処分が認容される場合の危険について検討していた筈であり、それにもかかわらず、原審においては、具体的な主張及び疎明をせず、抗告審の審問を終える間際になり、仮処分申立てが認容された場合の不利益について明らかにした。前記のとおり、当該地域と本件の経緯にかんがみ、抗告人らの仮処分申立ては容易に予想された事態であるにもかかわらず、既にした出費等の事実を明らかにしない応訴態度は、誠実なものとはいえない(土地取得等に高額の費用を要したことは容易に想像し得るにしても、判断の前提となる事実については、申立てを認容された場合の被害についての具体的な主張及び疎明を要するのであつて、それなくしては、比較考量すべき相手方らの損害の疎明がないことに帰し、本件申立てを却下する資料に欠けるという外ない。)。もっとも、本件においては、前記のとおり、本件マンションは、高さの点において、建築基準法に適合しないと判断される以上、二〇メートルを超える部分の住戸が販売できないことに伴う売上げの減少は本件申立てが認容されることに伴う不利益に当たらず、右の点についての具体的な数額を論ずる必要はなくなつた。 4 判断 以上のとおり、相手方らの建築を予定する本件マンションのうち高さ二〇メートル以下の建築を禁止することを正当ならしめるだけの被害は認めることができず、一方、本件マンションは、高さ二〇メートルを超える部分について建築基準法に適合しないが、抗告人桐朋学園及びこれに通学する抗告人榎本らは、前記認定の内容、程度の校庭における日照阻害の被害を受けるにとどまり、抗告人山田らの日照被害も前記のとおりであつて、本件マンションのうち高さ二〇メートルを超える部分が違法建築であることを考慮しても、なお、抗告人らについて、私法上の権利として、本件マンションの高さ二〇メートルを超える部分の建築差止めを求め得るだけの、受忍限度を超える日照被害があると認めることはできない。 抗告人らは、本件マンションから抗告人桐朋学園のとりわけ小学校の教室の内部が真正面から見えることが、生徒である抗告人榎本らのプライバシーを侵害すると主張する。そして、建築物によるプライバシーの侵害が受忍限度を超える場合、当該建築物の差止めを求める根拠となり得ることは、前記判示のとおりである。 したがつて、いずれにせよ、本件マンションが、桐朋学園の生徒たる抗告人榎本らのプライバシーを、受忍限度を超えて侵害するということはできない。 五 結論 以上のとおり、主位的申立てに関する原審の判断については、理由において異なるものの、抗告人らの申立てを却下すべきものとした結論は是認すべきである。また、当審における予備的申立てについても、却下すべきである。よつて、主文のとおり決定する。 平成一二年一二月二二日 東京高等裁判所第一民事部 裁判長裁判官 江 見 弘 武 |
2003年1月27日 もんじゅ名古屋高等裁判所判決骨子 | |
名古屋高等裁判所金沢支部第1部 平成12年(行コ)第12号原子炉設置許可処分無効確認等判決骨子 |
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第1 判決主文の骨子 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人が動力炉・核燃料開発事業団に対して昭和58年5月27日付けでした、高速増殖炉「もんじゅ」に係る原子炉設置許可処分は、無効であることを確認する。 第2 本件の主要な争点 1 本件許可処分の無効要件 2 本件許可処分の無効事由(以下の事項についての安全審査の瑕疵) (1)本件申請者の技術的能力 (2)立地条件及び耐震設計 (3)2次冷却材漏えい事故 (4)蒸気発生器電熱管破損事故 (5)炉心崩壊事故 第3 判決理由の骨子 1 本件許可処分の無効要件 原子炉設置許可処分が違法と評価されるのは、現在の科学技術水準に照らし、<1>原子力安全委員会若しくは原子炉安全専門審査会の調査審議で用いられた具体的審査基準に不合理な点がある場合、あるいは、<2>当該原子炉施設が具体的審査基準に適合するとした原子力安全委員会若しくは原子炉安全専門審査会の審査審議及び判断の過程に看過し難い過誤、欠落がある場合である。 ところで、原子炉設置許可処分については、原子炉の潜在的危険性の重大さの故に特段の事情があるものとして、その無効要件は、違法(瑕疵)の重大性をもって足り、明白性の要件は不要と解すべきである。 そして、原子炉格納容器内に閉じ込められている放射性物質が周辺の環境に放出されるような事態の発生の防止、抑制、安全保護対策に関する時効の安全審査(安全確認)に瑕疵(不備、誤認)があり、その結果として、放射性物質の環境への放散の事態発生の具体的危険性が否定できないときは、安全審査の根幹を揺るがすものとして、原子炉設置許可処分を無効ならしめる重大な違法(瑕疵)があるというべきである。 2 本件申請者の技術的能力(主要な争点2の(1)) 本件申請者の技術能力(規制法24条1項3号の技術的能力に係る基準)に関する本件安全審査が不合理であるとは認められず、起訴人らの主張は理由がない。 3 立地条件及び耐震設計(主要な争点2の(2)) 立地条件及び耐震設計に係る安全審査基準は不合理であるとは認められず、また、本件原子炉施設の地震に係る安全性についての本件安全審査の調査審議及び判断の過程に、看過しがたい過誤、欠落があるとは認められない。 4 2次冷却材漏えい事故(主要な争点2の(3)) 本件原子炉施設で発生したナトリウム漏えい事故及びその後の燃焼実験の結果などによれば、本件許可申請書において選定された「2次冷却材漏えい事故」に関する本件安全審査には、床ライナの健全性(腐食の可能性)と床ライナの温度上昇(熱的影響)に関する安全評価に、看過しがたい過誤、欠落がある。 本件原子炉施設の現状設備では、床ライナの腐食や温度上昇に対する対策を欠いているため、漏えいナトリウムとコンクリートの直接接触が確実に防止できる保障はない。その結果、本件原子炉の2次主冷却系のすべての冷却能力が喪失する可能性を否定できない。 そうすると、「2次冷却材漏えい事故」の評価に関する本件安全審査(安全確認)に瑕疵があることにより、本件原子炉施設においては、原子炉格納容器内の放射性物質の外部環境への放出の具体的危険性を否定することができず、本件許可処分は無効というべきである。 5 蒸気発生器電熱管破損事故(主要な争点2の(4)) 本件許可申請書で選定された「蒸気発生器電熱管破損事故」の解析においては、電熱管破損伝播の形態は、ウェステージ型破損が想定され、高温ラプチャ型破損は考慮の対象とされていない。本件安全審査においても、高温ラプチャによる破損伝播の可能性は審査されていない。しかし、本件原子炉施設の蒸気発生器では、高温ラプチャ発生の可能性を排除できない。 そして、蒸気発生器電熱管破損事故における破損伝播による2次漏えいを考える場合、その結果の重大性は、高温ラプチャ型破損の方がウェステージ型破損よりも遥かに深刻である。そうすると、「蒸気発生器電熱管破損事故」についての原子力安全委員会の本件安全審査の調査審議及び判断の過程には、看過し難い過誤、欠落があったというべきである。 蒸気発生器電熱管破損事故が発生し破損伝播が拡大すれば、ナトリウム−水反応による圧力上昇によって、水素ガス(気体)の混入した2次冷却系ナトリウムが中間熱交換器の電熱管壁を破って1次主冷却系に流入して炉心に至る可能性があり、そうなれば、本件原子炉(高速増殖炉)の炉心中心領域ではナトリウムボイド反応度が正であるから、出力の異常な上昇と制御不能を招き、炉心崩壊を起こす恐れがある。 以上のことからすると、本件安全審査(安全確認)の瑕疵によって、本件原子炉施設においては、原子炉格納容器内の放射性物質の外部環境への放出の具体的危険性を否定することができないというべきである。そうすると、本件許可処分は、この点からも無効である。 6 炉心崩壊事故(主要な争点2の(5)) 原子力安全委員会は、本件安全審査において、「1次冷却材流量減少時反応度抑制機能喪失事象」における炉心損傷度の最大有効仕事量(機械的エネルギーの上限値)を約380MJとした本件申請者の解析を妥当と診断した。しかし、こ判断は、同事象における起因過程での炉心損傷後の機械的エネルギーの上限値に関するもので、遷移過程における再臨界発生の機械的エネルギーの評価をも合わせて行なった結果に基づくものではない。要するに、遷移過程における再臨界の際の機械的エネルギーの評価はされていないのであり、この点において、本件安全審査の評価には欠落のあることが認められる。そして、この評価の欠落は、炉心崩壊事故という重大事故の評価に直接かかわるものであるから、看過し難いものというべきである。 また、起因過程における即発臨界の際の機械的エネルギーを約380MJとする解析評価についての本件安全審査の判断も、本件申請者がした解析結果の中には380MJを超えるケースがあることを知らずになされたものである。そして、記録から認められる本件安全審査の在り方に対する疑念、すなわち、<1> 本件申請者がした各種解析につき、審査機関がその妥当性を十分に検証、検討したと認めるには疑問があること、<2> 本件許可申請書には、蒸気発生器伝熱管破損事故時における中間熱交換器などの機器の健全性が損なわれない根拠、並びに設計基準事象の解析における単一故障の仮定の有無などについて看過し難い不備があるにもかかわらず、審査機関がその補正を求めた形跡は全く認められず、むしろ、本件許可申請書の記述を無批判に受け入れた疑いを払拭することができないことに照らせば、原子力安全委員会の380MJを妥当した上記判断は、規制法が期待するような科学的、専門技術的見地からの慎重な調査審議を尽くしたものと認めるには、あまりにも大きな疑問がある。したがって、380MJを妥当とした原子力安全委員会の判断は、これを尊重するに足りる適正な判断と認めることはできない。 この反応度抑制機能喪失事象は、炉心崩壊事故に直接かかわる事象であり、即発臨界に達した際に発生する機械的エネルギーの評価を誤れば、即発臨界によって原子炉容器及び原子炉格納容器が破損または破壊され、原子炉容器内の放射性物質が外部環境に放散される具体的危険性を否定できないことは明らかである。したがって、炉心損傷後の最大有効仕事量(機械的エネルギーの上限値)に対する本件安全審査の瑕疵は、本件許可処分を無効無効ならしめるものである。 7.結論 よって、本件許可処分は無効である。本件申請者がした原子炉設置変更許可申請も、本件の結論を左右するものではない。 |
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2002年11月7日 参議院環境委員会質疑(詳報) | |
福山哲郎議員 民主党 小川委員に引き続き、質問を。 大臣、副大臣、政務官、大変厳しい状況の中で環境行政に携わるということでご健闘とさらなるご努力を心より激励させていただきます。どうかよろしくお願いします。 小川委員が大変大所高所から立たれた質問をされました。私は少し各論でお話を伺いたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 まさに10月の29日、東京大気汚染訴訟の判決が出されました。大変厳しい、国にとっての判決だったと思いますが、実は大臣がこの時海外にご出張でいらっしゃいませんでした。普通ですと大臣のコメントか談話が出るはずですかこの日は環境局長の談話ということでした。私は海外出張中ですからそのことについてとやかく言うつもりはございません。但し国会で始めて訴訟後ですのであの当時は内容詳しくないこともありますし、あまり環境省から具体的なコメント出ていないんですが、ぜひ訴訟後始めての国会の場で環境大臣に判決についてのコメントを頂きたいと思います。 鈴木大臣 判決につきましては、これを重く受け止めておるところでございます。29日の判決、主に道路設置の瑕疵があるということで7名方々に損害賠償を求めると言う内容。判決という法的手続きですからこれからそれなりに対応していかなければならないわけでありますが、現在この判決に対する国としてどうするのか、今関係省庁と協議を進めているところでございます。いずれにしましても、環境省としては、この都市部におきます大気環境汚染これの対策というものを、今までも取り得る限りの努力はしてきたつもりでございますが、今後一層努力を推進していきたいと思っております。 福山議員 あまり局長コメントから前には出ていないんですが、検討中ということでぜひ早急に結論を出していただきたいんですが、今日は国交省の方も呼ばしていただいています。国交省からも判決に対するコメントをいただければと思います。 岩城国土交通政務官 私どもも今回の判決大変重く受け止めております。今回の判決では、道路交通環境対策において、道路管理者が健康被害を常に予見して、あらゆる対策を講じることを求めております。このことは今後の道路整備に重大な影響を及ぼすことから、厳しい内容と受け止めております。国土交通省としましては、道路交通環境の改善、このことは喫緊の課題だと認識しておりまして、その改善に向けまして、今後とも関係省庁と連携して取り組んで参りたいと考えております。 第一に発生源である自動車単体の対策、これは低公害車の開発普及等が例に挙げられると思っております。2番目に環境負荷の小さい交通体系の構築であります。例えば、パークアンドライド方式を利用してバスとかそれからモノレール、それから新しいタイプの路面電車、こう言った交通機関をより利用促進していく、さらには、健康によいとされています自転車、これの活用を図っていくための自転車道の整備を図る。また海運や鉄道等の活用が挙げられます。第3は、環状道路、あるいはバイパスなどの道路ネットワークの整備、そして交差点立体化などのボトルネック解消などのなどの交通流対策、こういったものなどを総合的に実施する必要があると認識しております。 引き続き本件訴訟などの背景となっております大気環境の現状を踏まえまして道路交通の環境対策について一層の推進を図ってまいりたいとこのように考えております。 福山議員 大分具体的にお答え、ありがとうございます。そしてこの判決が出ましたその日、やはり被告であります東京都、石原都知事が会見をされています。国の対応を見ていると原告の怒りはもっとも、国がほったらかして済むことじゃない、と。解決の手っ取り早い手立ては国が排ガス規制を強化し、被害者救済を考えることと。事の重大さが分かっていないのは政府の役人だけ、と。大変言葉きつくですね、政府の対応を批判した後に、控訴をしないということをいち早く明らかにされました。さらに国による被害者救済制度の創設や、3環状道路等を早急に整備すること、不正軽油撲滅脱税摘発、低硫黄軽油の供給拡大、さらには、NOx・PM法の規制開始時期を当初実施予定の通りにする等ということについて、今後国に対して求めていく旨の発言があってさらには会見資料としても配られております。このことに対して環境省ならびに、国交省としてはどのように受け止められているのか、お答えいただけますか。 鈴木大臣 さきほど申しましたとおり法的な手続きがなされているわけでありまして今国としてはどのように対応するのか、判決内容を充分に検討しながら関係機関とも協議をし、対応を決定していくことといたしております。東京都の対応に対する私の考えということですが、これは東京都としての一つの判断をされたということでありまして、コメント差し控えさせていただきたい。ただ先ほど申しましたとおり、環境省としてはこれからも大気汚染防止対策をしていくわけでございますので、その中で東京都の提案と申しますか述べられたことに対して適切に行動して参りたいと思います。 岩城政務官 国土交通省としましては、東京都知事が判決後の記者会見の中で控訴しない旨の判断、これはあくまで都知事としての判断されたことと受け止めております。 その中で、例えば国への要求事項等いくつかございましたが、その中で例えば3環状道路整備等要求されているわけでございます。東京23区内の平均走行速度、これ現在約時速18キロなんですね。これを例えば、仮に10キロ向上させることになりますと排出される窒素酸化物を約2割減少させることになります。このように渋滞を緩和させることにより走行速度を向上させることになり大気汚染の解消に大きく資するものとなるとこのように考えております。 例えば東京23区内の交通、あるいは内外交通と他の地域との交通、あるいは23区内をただ通過するだけの交通3つに分けてみますと、難しい詳しい数字については触れませんが、内々交通は49%、内外交通が37%、そして通過交通が14%とこういう数字がございます。 従いまして都心部の通過交通の14%これが走行速度の低下につながっておりまた渋滞の原因になっているとこのように考えておりますことから、3環状道路等の道路ネットワークの整備がもっとも基本的かつ根幹的な施策であるとこのように考えておりまして、今後こういった道路の整備につきまして道路交通環境対策の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。 福山議員 大変申し訳ありませんが、丁寧にご答弁いただいたことは感謝いたしますが、そうやって国交省の利益にかなったところだけピックアップして議論をされると非常に議論としては拙いと思います。要は、今回大気汚染の公害訴訟においては、今回僕はこれ質問する気はなかったんですが、被告の道路は国道や首都高速道路や、72路線、これが網の目のように合わさって、そこから被害が増え続けているわけです。国交省がずっと言ってきた、渋滞解消のために道路を整備する、ということをしてきた結果が逆に交通量を増やし、そして国としては結果として裁判で5連敗している状況なわけです。ところが、今私聞いたことに答えて、3環状道路だけを取り上げて、渋滞緩和のために早々に必要だという議論を組みたてること自体、判決をどのように重く受け止めているんですか。 政務官お答え下さい。 岩城政務官 国への要求事項のうち、いくつかのお答えがございまして、それであの、私どもの考えをということでございましたので、3環状道路についてお答えさせていただいたということですのでご理解を。 福山議員 レクで政府委員の方がこられたときに、正式な申し入れがないということを言われたわけです。で、正式な申し入れがなくて答えられないのであればそのように正直に申し上げてください、と私言いました。 ところが、政務官が今、正直にお答えいただいたことに対いては私は、真摯に受け止めているけれども、それだったら、残りの4つの項目についてお答え下さい。例えば被害者救済制度、規制開始時期の当初予定通りの実施、不正軽油撲滅脱税摘発、低硫黄軽油の供給拡大、こういったことに対しても真摯にお答え下さい。一つだけとらえて答えるとは僕はけしからんと思うなあ。 岩城政務官 そこまで打ち合わせしていなかったものですから。例えば国による被害者救済制度につきましては、これはあくまで被害者に治療費等を補償する制度として公害健康被害、この法律については環境省の所管ですので、国交省としてはお答えする立場にはないとこのように考えております。 福山議員 つまりですね、こういった議論が積み重なってきたから、実はNOxについても、SPMについても減らなくて、患者の被害が減っていないんじゃないですか。NOx法の改正の時も議論がありました。当時の建設省と環境省の間で覚書が交わされて、道路行政については環境省は文句を言わないという覚書が事前にあって、それは破棄をされました。 今だに今の国交省の話と環境省の話はずれているわけです。で国交省はあいも変らず渋滞が解消されるために道路整備をしますといっているわけです。 その結果がこれだけ東京のように網の目のように道路が、まあ言ってもしょうがないですが、でもそこのところはスタンスを変えてもらわないと、いつまで経っても患者は減りませんよ。これ大臣どう思われます。今の国交省の議論を聞いて。 鈴木大臣 国交省政務官から、3環状道路等の早期整備というところに特に力を入れて、というとへんですがご発言があったわけですが、環境省としては、いずれ環境アセスメント等をしっかり行って、そういった面での得失をまずは考えなければいかんと。始めに、道路建設整備ありきではなしに環境アセスメントをしっかりすることが大事であると思っております。 福山議員 大臣、大変勇気のある答弁をありがとうございました。ちょっと根本的なことをお伺いします。すみません、国交省があんなお答えだったので、予期しない発言をしました。 東京大気汚染訴訟その判決が出されましたけれども、この東京大気汚染訴訟というのはそもそも、公害ですか。 西尾環境管理局長 東京におきます大気汚染の状況でございますが、人の健康を保護する上で望ましい基準であります環境基準の達成率というのもを見ましても、大変低い状況にあります、そういう意味では、一般的には公害に関わる事象であると思っておりますが、公害ですかということで、厳密に環境基本法の公害に相当するかということでございますと、環境基本法では大気汚染等によって人の健康に関わる被害が生じること、という定義になっておりますので、被害が生じる、というところまで確認する知見は現在まだないと思っております。いずれにしても、手をこまねいているところではない、公害の防止を行うべき対象であると思っております。 福山議員 環境基本法の2条3項にあるんですが、まさに局長おっしゃった「」という状況にあるんですが、これ判決で7人の方が損害賠償請求を認められているということは、これは被害が生じているということにはならないんですか局長。今、被害が生じているという知見がないと仰いましたがそこはいかが。 西尾局長 判決におきましては、いくつかの知見の中から、裁判においていずれかに判断する、ということで7名の方に賠償認められたということで、判決の考えとしては被害が生じているということであると思っておりますが。この点につきましては、私ども政府のいままでの主張してきた点と異なっております、したがってこの点も私ども(控訴の対象と)検討すべき点と考えております。 福山議員 よくわかりませんが、ほんとつまんない話で恐縮です、単に言葉尻を捕まえているだけなんですが答弁を聞いたんで。 環境省が出している談話の発表のところには、ちゃんと「東京大気汚染公害訴訟判決に対する環境省の談話」と書いているということは、この公害と、今言われた環境基本法に書いてある公害ということばとは別の言葉ということですか。これはほんとにすいません、あの、こんな言葉尻捕まえるようなこと言いたくなかったんですが、これ環境省が出している文章です、談話には公害という言葉が入っている、今、局長は判決では被害が出ているという話とおっしゃいましたが、今言われた環境基本法に書いてある公害という言葉とは違うとおっしゃいました。 この公害訴訟というのは環境省が談話で出している、この文言とは公害の概念が違うんでしょうか。 西尾局長 談話におきましてその裁判の通称を用いましたのでそのようなことになりました。ただ、ここで争われたことにつきましては、例えば環境省がその責任があるのではないか、公害防止ということでも争われている裁判でございますので、この訴訟につきまして、通称を公害訴訟ということについては問題ないものと考えております。 福山議員 よくわかったようなわからないような話、その次、基本的には、公健法における被害者認定を88年に止められましたが、止められた理由はなんですか。 南川環境保健部長 昭和30年代から40年代にかけまして工場を中心に激甚な健康被害が起きました。それに対応するために公健法を制定まして、著しい大気汚染によるぜんそくが多発しているところを第一種地域として指定しまして、そこに一定期間、居住あるいは通勤している、そしてぜんそくなどの症状をお持ちの方に対して因果関係を割りきった上で、汚染原因者であります工場などの負担の上に補償を行っておりました。しかしながら、ぜんそくというのは、大気汚染のみならず、ハウスダスト、ダニ、花粉、タバコなどさまざまな要因がございます。その後の大気汚染の改善の状況の下、大気汚染が喘息の主たる要因とはいえない、とこれまでの制度的割切りを続けることの合理性が失われるということで、中環審答申を踏まえまして、法律を改正し、地域指定を解除したわけです。 福山議員 その時に想定されていた当該原因物質はなんですか。 南川 主に硫黄酸化物、窒素酸化物などです。 福山議員 88年のその公健法改定で認定をしなくなったときの議事録がありまして、当時の堀内環境庁長官がやはりこのようなことを言っております。「硫黄酸化物による大気汚染という問題はほとんど解決されてきたわけでございます。ご指摘のように硫黄酸化物というのはほとんど統計を見ても横ばいでございます。むしろ硫黄酸化物の汚染は7,8年前にほとんどなくなってきている状態でありましたから」ということが書かれています。これは今の南川さんの言われたことと合致します。合致しますが、しかし、その後ですね、「中央公害対策審議会でも、現在の対策というのはむしろ補償制度というよりも積極的に環境を良くする方法あるいは病気になられる方々を予防する方向を目指すべきではないかというご意見が多数を占め」その後です。「そして一番元になる、」こんど新しい物質がでてきます。「窒素酸化物の環境基準を下げるよう我々は全力を上げていきたいと考えています。」とつまり硫黄酸化物は減ったと、これが原因の大気汚染は今後横ばいですが、今後大気汚染の原因となる窒素酸化物については全力をあげて取り組んでいきたいと言われているわけです。その窒素酸化物が実は今回争点となったわけです。 この窒素酸化物とSPMについてはご案内のようにNOx法の中で、全く2000年まで環境基準を達成できないで、今回つい1年か2年前改正の議論があったわけですね。つまり公健法の本もとの打ち切りの原因物質であった硫黄酸化物は減っているけれども、新たなぜんそくの元になる、窒素酸化物やSPMについては全力をあげて減らしていくから、補償をなくします、認定をなくしますという組みたてが88年にあったわけです。ところが現実は88年から2000年まで全くNOxについてもSPMについても減らないで、被害者は出つづけたわけです。こうした状況の中でさきほども申し上げたように国は5回連続で負け続けている。国の責任を問われている。そうなったら、やはりこの公健法の見なおしなり被害者認定制度の見直しなりに踏みこんでいかないとですね、これはやっぱり不作為だと言われてもしかたないんですが、大臣いかがでしょうか。 鈴木大臣 いまの経緯のお話ございましたが、やはり基本的なことを申し上げますけれども、大変このぜんそくで苦しんでいる方がいらっしゃられます。大変私もそういう方に対してはお気の毒であるという風に思うんでありますが、お気の毒であるからまあお金を差し上げる、という具合にはなかなか国の制度としてはならない、そこにやはり因果関係、科学的な因果関係が明確になされなければならないと思っております。いろいろ私も専門的な話は充分理解し得ない部分もございますが、専門家の話を聞いてみますと今まで調査はしておりますけれども、今まで得られた知見の中ではそうした物質の今の濃度の状況と、それからぜんそく疾病の因果関係が科学的にむすびつくことがないという状況ということですので、私としましてはまずはそうした調査をですね、今後さらに急いで進めることが重要と思っております。 福山議員 東京都は国の公健法以外に条例を作っています。18歳未満で、これはもう有名な数字なので何回も取り上げられているのでいいませんが、1988年18822人、2000年度は51122人、東京都の条例では実は3万人も新たな患者が増えている。それと今、大臣は基本的には知見がないから調査をしたいと言いました。しかし今回の判決で重要な点が一点ございます。それはご案内のように、この判決では未認定者に国の損害賠償が認められました。つまり国は大気汚染の因果関係が認められませんから、88年以降ずっと認定してこなかった、認定してこなかった間に東京都の条例では3万人実は認定者が増えている。さらに言えば今回、たった一人と言いながら、未認定者に損害賠償が認められたということは、この12年間の間に大気汚染がずっと継続してあった、ということの私は、証左ではないかというふうに思っているわけです。未認定ということは国の理論で言えば大気汚染はないんだ、というのが国の理論です。大気汚染と被害者の間の因果関係はまだ明らかではないというのが国の議論ですがその前提を覆す未認定の人が国に対して責任を求めることが認められたわけですから、これはこの14年間ですか、88年以降も大気汚染があってそこに被害者が出ているというそこは証拠ではないかと思うんですが大臣いかがでしょうか。 南川部長 ぜんそくなどの呼吸器系の疾患につきましては、医学的に原因が特定できない、という非特異的な疾患でございます。今回判決が認められた患者につきましては、ぜんそく患者であって、交通量がお昼の12時間で4万台以上、大型車の混入率が高い沿道の両側50メートル以内に居住または通勤していることという外形的な判断基準を示しましてこれに該当する原告について大気汚染を原因とする健康の被害と見なして認めております。 しかしながら法的な救済制度につきましては、どの汚染物質にどんなレベルでどれだけの時間暴露すればどういう疾病が発症するか、他の要因を考慮しないまでの強い因果関係があるかどうか、また原因者をどう特定するかなど、充分な根拠が必要で戸ざいます。もちろん私どもも、今回の判決で示された50メートルなどの考え方につきましては充分参考にした上で調査もしていきたいと考えております。 福山議員 南川さんずいぶんご丁寧にお答えいただいたんですが、私の聞いたこととはちょっと違っていて認定終了後も結局大気汚染は継続していたということの証左にはならないのですか、とお尋ねしたわけです。未認定患者が今回損害賠償を認められたということはそういうことにはならないのですかとお伺いしているわけです。 南川部長 大気汚染があるかないかといわれると難しいんですが、少なくとも1キロメッシュで大気汚染、NO2なりSPMの汚染状況を取りましてそれと喘息あるいは喘鳴の因果関係を調べておりますけれども、そこからは特段の相関関係が出てこないということでございまして、現状では明確な大気汚染による被害というものが把握できないということでございます。 福山議員 さきほどからこんな話ばかりしてやなんですが、大臣、調査しなければならない、知見が不充分とお答えいただいた。それは誠意を頂いているんだと思いますが、先ほど私が88年の議事録をご紹介いたしました。その中に、窒素酸化物を下げていきたいと考えていると。この88年の公健法改正の時の実は附帯決議の中にこういう附帯決議があります。 「主要幹線道路等の局地的汚染については、その健康影響に関する科学的知識の知見が充分でない現状に鑑み、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて必要に応じ被害救済の方途を検討すること。」 今ですね、南川さんと大臣が仰ったことと同じことが実は88年の附帯決議にこれ書かれているわけです。 さらには「複合大気汚染による健康への影響に関して環境保健サーベイランスシステムを早急に構築し、地域住民の健康を観察して必要に応じ措置を講じること」ということも書いてあります。 これは88年公健法を改正して認定を止めた時点で、要は、窒素酸化物の問題については現存するから、早々に調査をして、知見を溜めて、なおかつ窒素酸化物の低減に努めるから、だから認定は止めましょう、と元々の認定の原因であった硫黄酸化物については軽減してきたからそこは理解してください、但しSPMについては窒素酸化物については調査をして知見を貯めて、減らすようにしますから認定止めましょう、と言われているわけです。これ附帯決議もあるわけです。 ところが今、これだけ判決で負けて、14年経って、そして未認定者にまで損害賠償請求を求められた上で、今大臣のご答弁は知見が足りないから調査する、南川さんの話も、実はまだ充分ではないので被害救済については検討します、同じことを言っているじゃないですか14年経って。大臣。その間に患者の方が、さっき言ったように18歳未満だけで3万人も増えているんですよ、今回の訴訟だけでも何人の原告団がいらっしゃるか、もう大臣はご案内でしょうけれども一次から四次訴訟までいれると原告の数は505人、未認定者は184人も居るんです。みんな途中で生活ができなくなったり、急に夜中に入院したり、私も患者の方にお会いしました。いつ発作が起こるかわからないからいつも吸引器を横においている、で発作が起これば救急車で運ばれる。 勤めていても途中で退職をせざるをえなくなる。結婚もできない、生活もできない、そういう状況になる人がこの14年間増えているという状況で、今環境省の答弁は14年前に想定していたことと全く、まあしてないとは言いませんが同じ答弁をされている、大臣ここは、ちょっと考えていただけませんか。 鈴木大臣 まあ1988年から14年経っているわけでありまして、私もこの話を聞いたときにまあH17年から新たなこの調査をまたやるということでどうしてこんなに時間が掛かっているのかと、私自身も不思議に思いました。私も科学専門的なことは分かりませんが、お話によりますと、対象として悪玉と思っていたものがその後こう変ってきた。そういう事もありますしそれから調査をするといってもこれはもう世界のどこの国でもまだ始めていない調査でありますから、まず調査方法をどういうような調査をしたらいいのか、その評価方法を一体どう評価したらいいのか、それからいろいろやるための、例えばこの胸のあたりにバッチのようなものをつけたり肩からいろいろそういえ影響を把握する機械をつけたりして調査するんだそうですが、そういうものを開発しなきゃならなかった、そういういろいろな技術的な問題があったということを聞いております。しかし一方において、患者の皆様方からみれば14年間なかなか、そうした知見というものが出ないということについての思いというものは大変これは大きなものがあろうかと思います。 私といたしましてもこの調査が早く進むように努力をさせたいと思っております。 福山議員 政治家としてのご答弁ですから私は重く受け止めたいと思います。 弘友副大臣、私ずっと環境委員会にいて、公明党の副大臣がずっと続いています。で公明党の副大臣の皆さんは、逆にいうとこれまでもずっとこういう訴訟には参加されてこられました。でなおかつ、いつもこういう場では副大臣にもご答弁頂きたいと思っています。これだけ患者が増えて苦しんでいます、今回7人の方に損害賠償が認められましたが、認められない方の方が圧倒的に多いんです。その人たちは、自分達が認められなかった時点で人生先も真っ暗闇、そんな状況でまたこれから始めて調査しますというようなことが、環境省からも国交省からも、ましてや国交省はまだ道路作るとか言っているわけです。 これ、副大臣、いま鈴木大臣が非常に前向きなご答弁を頂きました。ぜひ副大臣としてのコメントをいただきたいと思います。 弘友副大臣 いま大臣ご答弁の通り、本当に、症状を発症された皆様方に対して、大変苦しみといいますか、胸の痛む思いがあるわけであるですけれども、ただ、国としてそういう補償制度にしても、そういう制度を設けるということは、非常にですね、なんらかの科学的知見がないと、一番あれなのは、例えば東京都で、そういう症状がありますよと、それで手を上げられた方は全員認めますよ、とそういうことでよければ科学的知見もないんでしょうけれども。 やはり国がやるからには科学的なそういう知見がなければ、判断するものがなければやはりなんでもというわけにはいきませんので、やはり大臣のご答弁のように、そこを進めて、調査研究をぜひ進めて、1日も早くそういうことができるようにと私自身も考えています。 福山議員 しつこいようですがもう一度言います。 14年前に、「科学的知識の知見が充分でない現状に鑑み、調査研究を積極的に推進するとともに、その結果に基づいて必要に応じ被害救済の方途を検討すること。」ということがあったということが事実なわけですから。 今、当たり前のように、被害者がいらっしゃるから、調査をこれから早急に進めたいと仰っても、実は14年前にもおなじことを言っていたということだけはご認識を頂きたいと思います。 で、その後、原告団が、各自動車メーカーや、首都高速道路公団等のところなど確認書を頂きにあがって、私のところにもその確認書の現物があります。 ここには各メーカー、トヨタさんですとか、三菱自動車さん、日野自動車さんだとか、さらにはこれびっくりしたんですが首都高速道路公団が確認書を出されてまして、これハンコを押されています。その中には、「当社は行政が新たな被害者救済制度を制定する場合には、社会的要請も踏まえて総合的に判断して対応する」と。首都高公団に到っては「公団は関係機関と被害救済制度の可能性について真摯に協議をする」というようなことを確認書として出されました。 これは環境大臣ならびに国交省はご覧を頂いていますか。 大臣 コピーを拝見しました。 岩城政務官 拝見しております。 福山議員 どのようにお考えでいらっしゃるでしょうか。 鈴木大臣 原告弁護団と自動車メーカーのしかるべき担当者の話し合いの中で結ばれたということはそれは理解、承知をしているわけでありますが、まあどういう趣旨、どういう経緯で結ばれたか、当事者間ではございませんのでその内容について直接申し上げるのは適当でないと思います。 福山議員 国交省はいかがでしょうか。 岩城政務官 国土交通省といたしまして、自動車メーカーの確認書については、自動車メーカーとして今後の取組みの方針等について原告の方々にお示ししたものと伺っています。それから首都高速道路公団のにつきましては、原告団との話し合いの中でそのやりとりの一部を原告代理人が整理したものに対し、公団出席者の一部が署名したものであるとこのように聞いております。 福山議員 「公団出席者の一部が」というのはどういう意味なんでしょうか。 岩城政務官 公団出席者の中の方が、ということです。 福山議員 首都高速道路公団、いちおう国交省管轄ですよね、そこについてはどのように認識していますか。 岩城政務官 認識といいますとどういうことでしょうか。 福山議員 (逆質問していいのかな、まあいいや) 首都高速道路公団総務部調査役、企画調整室調査役等の方がサインをされているわけですが、真摯に協議をするということは、それはもう国交省としてもそれは一部の人がやったけれどもそこは真摯に協議するんだなという認識でいいわけですね。 岩城政務官 その間のやりとりでは先日国土交通委員会でのやり取りがいろいろあったわけですが、私その件につきましては承知しておりませんので、今はお答えしかねます。 福山議員 昨日私事前通告しましたけど。 佐藤道路局長 首都高速道路公団の理事長からは内容について首都高公団としてはできるだけ誠実に努力はしたいというふうにお返事をさせていただいたところではあります。 公式な文章かメモかというこういう議論もありましたが、そういう意味では公式な文章ではないけれども、内容についてはそういう努力をしたい、とこういうふうなご回答があったということでございます。 福山議員 公式の文章かどうかはまあ議論の余地があると思いますが、こういう状況の中でメーカーも真摯に対応するという状況の中で、今までの議論も全部ひっくるめて、先ほど私は、公健法の改正について見直す気はないですかという風に鈴木大臣に聞いたかな?もう一度ききます、すみませんが公健法の被害者認定の見直しをするということについて大臣、見なおされるようなおつもりはありませんか、調査をするというのはよく分かったんです。 鈴木大臣 繰り返しのご答弁で恐縮ですが、そうした因果関係についての当否というものが明らかになった段階で判断すべきかと。 福山議員 そうすると、今議論が出ている被害者救済制度ということ自身は必要であるか必要でないかについて大臣、それから国土交通省よろしくお願いいたします。 鈴木大臣 今とにかくその調査をして早く因果関係についてその結果を考えるという段階ですので申し訳ないんですが、ここで今その当否を明らかにする段階と申しますか、私自身まだその確定的にはしておりません。 岩城政務官 先ほども私どもからお答え申しましたが、この問題は国土交通省としてお答えするものではないと思っております。 福山議員 いや、都知事の話についてではないです。被害者救済制度というものについてどうお考えになられますかということです。 岩城政務官 では繰り返しお答えいたします。被害者に治療等をするものとして公害健康被害の補償等に関する法律、これがあるわけでございますが、環境省の所管でありますので、この新たな制度の創設につきまして、国土交通省としてお答えする立場にないということを申し上げたわけです。 福山議員 おなじことの繰り返しに申し訳ないが、大臣すみませんお答え下さい。因果関係知見が足らないから調査をする、そこで判断するんだ、と仰います、そこはよくわかりました、ただそこで現実に作る上ではどんなことが障害になるんですかね。それはもう知見が足らないというのは障害としては一番大きい話でしょうが、これだけ現実には被害者がいらっしゃって、調査をしている間もずっと実は苦しまれている方が居る状況の中で、どういったことが被害者救済制度を作る上で障害となっているのか、もし言っていただける余地があるならば、ご答弁頂きたい。 大臣 いろいろあるとは思うんです、ただ具体的にまだそういった制度を創設するのかしないのか、するとすればどういう規模になるのかどういう範囲にするのか、これがまだ全く具体的な検討をされていない段階でございますので、何が障害になるかということもしたがって申し上げられないわけであります。今の時点では、やはり制度を創設するかどうかということは、そうした喘息の疾病と、こうした環境汚染の関係が科学的に知見が得られるかどうかということに一に掛かっていると思います。 福山議員 少し視点を変えます。東京23区の年平均のNO2濃度というのはどの程度でしょうか。 局長 平成13年度におきます東京23区内の測定局におきますニ酸化窒素の年平均濃度の平均値です。一般環境大気測定局は27局ございますが、それらの平均は0.031ppmです。それから自動車排気ガス測定局27局で平均しますとこれは0.042ppmです。 福山議員 これももうなんていうかさっきからの議論の続きですが、平成13年度、大臣お伺いしていただきたいんですが、0.031ppmと0.042ppmという平均が東京全体で出ています。 東京全体ということは、汚染の薄いところもあり、もちろん濃いところもあるんですが、その平均が0.042、これはいわゆる沿道地域です。で環境省はですね、平成9年に、このNO2の平均濃度が実は0.030ppmを超える地域の喘息の有症率、有症率というのは喘息にかかる率です、有症率がそれ以下の地域の有症率よりも高い傾向が認められるということは実は環境庁自身が報告しているんです、0.03で。 いまいわれた沿道地域、一番まあ道路に近い地域ではもうすでに0.042あるんです。 環境庁は平成9年に、じつは0.03だと喘息の有症率はだいぶ上がるんですよ、ということを実は認めていましてですね、これを報告をしています。つまり先ほど言われている話とつながるんですが、平成13年平均で0.042ですから、濃度の高いところはもっと高いわけです、環境省実は喘息の有症率はあがるんだよ、ということが報告されているんですね、さっき知見が足らない、調査しなければ、ということを仰っていましたが、環境庁自身がこういう報告があるんです。で23区域で喘息の方が年々増加しているという実態もあるんです。国は訴訟の被告側ですから、判決等があって立場があるのは僕も理解しないわけではないんですが、さきほどから同じ議論を繰り返しています。さらには、環境庁が平成9年に出した、0.03以上だと喘息は増えるんですよという報告に優にそれより上の数値が出ている、さらに2000年までにNOxの環境基準も達成できていないという実態を考えて、ぜひこの問題については大臣のリーダーシップで早急に作業を進めていただきたいとほんまに思うわけです。患者の前にいるともう居たたまれないわけですので、いつまで経ってもものが前に進まないのはちょっとあまりにもうお気の毒だというふうに思いますし、もう一言だけ頂いて、ちょっと他の質問もあったんですが、そう他へ行くとまた長くなりますので、大臣のご決意を頂いて質問を終わりにしたいと思います。 鈴木大臣 いずれにいたしましても、東京都23区内を含む都市部の大気汚染の状況というものはいまだに改善が見られない、これについて裁判という形での法的な手続きが取られております。これについてはこれとして対応しないといけませんが、今日委員会でご指摘のさまざまなことも含めて、こうした大気汚染のためにさらに努力をしてまいりたいと思っております。 |
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2002年11月7日 参議院環境委員会質疑(詳報) | |
山下英利議員 自民党(滋賀県選出) 臨時国会のトップバッターとして大変光栄、おおきな話題から、段々絞ってと言う形で。まずもって鈴木大臣、副大臣、政務官ごくろうさまです、とらえどころない中でリーダーシップを発揮していただいて、かくあるべきというものに。まず質問ですが、一昨日ご挨拶を大臣からいただきました。その中身について再度私の方からお聞かせ頂きたい。環境問題に対する基本的考え方。ご挨拶の中に、循環型、かつ持続可能な社会作り全体的な視点にたった幅広い、というお話ありました。もうちょっと具体的に。分かりやすく。 鈴木大臣 幅広い対応必要と。いろいろ問題対処療法的に対応するのでなしに、根本に根ざしているものがなにかということを考えながら、を対応。とりまく環境、大気、土、水生態系、こういうものが相互に関連しあっている、その一部に影響を与えると別のところに出てくるそういう微妙なバランスで成り立っているという認識。汚染物質の問題もただ除去すればいい対症療法的に対処すればいいということではなしに、なぜそういうものが出てきたのか、その社会経済の仕組みのなかでそういうものがどう生産されて出てきたのかも踏みこんで考える必要があるのではないか。目の前の事象だけにとらわれることなしに、その裏にあります、発生原因とか社会の仕組み、その根本問題にも目を向けて取り組んでまいりたいと思っているところであります。 山下議員 その基本的考えに基づいて、直面する大きな話題として京都議定書の問題がございます。日本の温室効果ガスの排出はすでに8%増加してしまっている。京都議定書の6%削減の約束を、これは環境を引っ張っていくリードしていく日本としてもなんとしても達成しなけいとけないと大変重い責任あると感じて。削減の約束達成に向けて大臣のご決意を。日本の発射台はすでに高い状況の中でこの6%削減しないといけない大変厳しい環境にあるということで。軸足をおいて、ご決意とこれからの方向性をお答えいただきたい。 鈴木大臣 京都議定書、はCOP3で日本が議長国となってこれを出発点で深く関わったし、その後も日本がイニシアティブをとって深く関わった一つの重要な枠組み。人類の生存基盤そのものに関わることですから、日本もぜひ約束したことをきちんと守っていかなければならない強い決意を。 現在、90年よりもうすでに8%も増加しているということでありまして、6%削減を実現するためには併せて14%の削減をしなければならない。決して容易なことではないわけですが、ぜひこれは国民の皆様方のご協力を得ながら実現しなければならない。こういう取組みは対応が遅れれば遅れるほど後々の対応が厳しくなる。今からできる取組みをしっかりとりくんでいく。 国内対策については、大綱というもの本年3月に策定をしている。その中で、国民挙げて取り組むべき課題いろいろ細かい対応を100種類超える具体的なパッケージを作っている。大綱に盛られていることを一つ一つ確実に実行していくことを極めて大事と。大綱の実行を進めながら、確かに生易しいことではないですが、6%削減という約束を達していきたい。 山下議員 ほんとに達成生易しいことではないと思います。しかも最終的にこの数字が達成できなかったときのことを考えますと、国際間でもなんでもなにがなんでもやるんだという決意の元に、国内だけでなく海外においても引っ張っていって欲しと熱望するわけです。その際に大分大きな荒療治というも出てくるかと思いますが、我々一章懸命大臣支えて盛りたてていきたい。そこで温暖化防止についての取組みということで質問させていただきたい。 先般ニューデリーでCOP8ごくろうさまでした。るる報道がなされているわけでありますけれども、世界的取組みという中で米国は未締結という状態もありますし、それから今後排出が激増することが予想されている途上国も排出削減義務はないわけでございまして、未締結国や途上国に対してこれからどのように削減義務を働きかけていくのか、いうところが大変大事な展開ではなかろうかと思っている訳です。 それからニューデリーの議論をうかがって、先進国と途上国の間に問題意識のずれ、と申しますか、まあ温暖化ガスについてはこれは先進国の責任である、との発言もあっやに聞こえてきております。特に中国やインドといった、途上国と言ってもまあ非常にめざましい経済成長を遂げている国がですねまあ今後の世界的な環境面で大変な脅威であると思うわけであります。 先進国で起こった問題である環境問題を途上国でおこさせないことを充分に考えて、行動していかなければならないとそう思うわけであります。まずこれからの議定書発効にむけての状況、それから今後途上国に対しても日本がするべきことについて大臣のお考えをお聞かせ下さい。 鈴木大臣 COP8に参加をさせていただきまして改めて先進国と途上国の間の問題意識のずれだとか、その前提になっているといっていいのか、信頼感の欠如だとかそいうものを強く感じてきたところであります。しかし考えてみますと、温暖化防止の問題は、地模で取り組まなければならな、先進国だけが取り組めば良い、あるいは途上国だけが取り組めば良いという問題ではないわけでありまして従いまして世界的規模での参加というものが重要であると思っております。私もこの旨を初日の閣僚円卓会議で強発言させていただいてデリー宣言の中に盛りこむよう要望したところであります。 デリー宣言結果として京都議定書未締結国に対する締結に向けた働きかけですか、途上国も含めた地球規模での温室効果ガスの削減の必要性と、この点についての前向きなメッセージも盛りこまれたとこだとそういうような評をしております。 一方先進国の方を見ましても、オーストラリア、アメリカ、こういう国々は参加をしないとこういうことを表明しているわけです。しかしアメリカなどは全体の24%近くの排出量があるわけでして、やはりアメリカにもちゃんとしていただくということが重要であるとそういう風に認識しております。 COP8の場におきましてもアメリカとオーストラリアとの間で2国間会談を行い、私も、先進国の首脳として、アメリカとオーストラリアにもいろいろ経緯はあるけれども是非京都議定書に参加をしてもらいたいということを強く申し入れたわけでして、今後いろいろなチャンネルを通じてそうした働きかけをして参りたいと思っております。 途上国との間の問題でありますが、やはりこれから信頼感というものをこれから作っていかなければならない、そのためにはやはり日本として約束したこを着実に履行していくということがそういった信頼感の醸成、不信感の払拭につながるものと思っております。 日本としてはこれから、積極的に技術移ですとか、またODAを通じたいろいな金協力をしていきたいと思っております、環境省として技術移転や途上国における人員育成のセミナーも実施しているわけですが継続して参りたい。 山下議 ありがうございました。 途上国に対してそのように環境面の技術移転、教育というものに前向きに取り組んでいただきたい。加えて言いますと、例えば日本とか欧米の先進国の企業が、企業の責任として途上国の環境を脅かすような活動にたいしてどのような対応をするか、ということも一つあると思います。これは質問ではないんですが、日本でも空洞化が進んでいますが、日本での環境基準を満たさないような形での途上国における生産というものは、やはり日本としてはどのように考えていくのかと、そのへんのところが大きな問題でと思っております。特に貿易面で考えますと同じものができたと、同じものができたけれども非常に価格は日本で作るより大分安いと、いうようなが、発展途上国から輸入をされます。という状況の中で、作っているものが途上国の環境に対して、将来の不安をもたらすような環境で作っいるいうことに対して、我々は、責任を持たないといけないんじゃないか、なとまあこれは企業の倫理の側面になりますが海外支援ということにおきましもさらに広げて、そう言ったところに途上国の環境に配慮をするというところが必要だと思いますので、ぜひそういったところについて、前向きに取り組んでいただきたいとそのように思うわけであります。 そして次の質問なんですが、日本での生産の空洞化の側面が一定、デフレ経済の中で一つの大きな要因になっていると言わざるをえないと思います。このデフレ経済の中で環境が経済を引っ張っていく体制というようなものが一つは望まれるんだとそういう風に思います。 環境問題、非常に長期的視点に立った視野いわれるんですが例えば日本が、デフレ経済の中で、短期的にも効果が上がってくるものがあれば、経済関係としてプラスであるという理解をしています。 例えば昨今言われるナノテクという新技術の開拓も中長期的視野に基づいてという部分と、新開発を環境に即した開発していくことによって、産業の発展に増やしていくという点でも、時間的に短期的になんとかならないかという思いもあるわけです。そして更に国土の開発と廃棄物の問題、深刻ですが、規制を進める中で国民の消費雇用を同時に促進もさせていくという考え方、二兎を得るものはなんなんだということもあろうかということがありますが、ご所見をお聞かせ下さい。 鈴木大臣 今日の厳しい経済状況下にあるわけでありますけれども、環境問題、それに境を守るためにいろいろな制約、そういうものを経済活動に対する制約と見るのではなしに、むしろそれを一つの新しい成長要因として前向きに捉えるべきだと、前向きに捉えるべきだと、私も山下先生のご意見の通り思うわです。 例えば、日本は、現実の話として、世界でもっとも厳しい自動車の排出ガス規制と言うのがございました。これは産業界大変だということでありましたれども、結果としてそこに技術革新が生まれ、新たなマーケット、新たな雇用というのが生まれてきたわけであります。また太陽光発電などについても同様のことが言える。 いずれも日本の技術と言うのこれまで世界でも一ニを争うという、そういう環境の制約の中で逆に技術革新と新たな産業の発展が生まれたというそういう実例もあるわけでありまして、そういう面を育てていく努力というのが必要であると思います。山下先生から特にナノテクノロジーなどの話がございましたが、始めとする技術革新というものを今後とも環境省としても努力して、これは環境省だけでき得ないものもありますので、関係省庁とも連携しつつ、環境省がリー ダーシップを持つ努力をしながら、進めてまいりたいと思います。 山下議員 ありがとうございました。大臣のご説明でいろいろ質疑という形のプロセスもやらせていただけるのかな。一昨日のご説明の中で経済の制約要因ではなく新たな成長要因として、私はここのところに非常に重点を置いた施策というのが望まれるんではないかと、そしてまた環境に配慮するということにインセンティブが働く経済社会と、いうことはですね、やはり環境が一つの経済の大きな構成要素になると、いう風な確立を目指さなければならないと私はそのように思っておる次第であります。そしてデフレ圧力にならない、環境対策というのもありますけれども、デフレを阻止する環境対策、これを、今デフレ対策というのにあの中にも踏みこんでいただきたいなと思うわけであります。 次の質問なんですけれども、私実は琵琶湖のある滋賀県の選出であります。最近県条例として琵琶湖の水質保全のために一つ条例を制定いたしました。内容大まかに言いますと、水質汚染を止めるためのいわゆるレジャーボートのを決めると、排出ガスの規制をするために、2サイクルエンジンを4サイクルエンジンにしなさいと、もうひとつは元々琵琶湖にいたモロコとかフと言った在来種が減ってきている。その大きな要因といわれているのがブラックバそからブルーギルと言った外来魚に駆逐されてしまうとされている。こういうことから条例を制定。滋賀県琵琶湖というのは大き財産であり、かつ近畿圏の水がめという責任もありますけれども、一方では、やはりレジャーという一つの観光産業こう言った側面からも人にきて欲しいと、そう言った中でブラックバスというのは釣りという側面からすると大変他県から来ていただく方が多いと、そういうことで条例を決める中でも環境対策と、経済的側面と両方考えながら進めていかなければならないということをやはり現場で感じていたというところが県の状況でし、私もその話を聞いて、環境と経済を両立させていくことのむずかしさと言いますか、困難に立ち向かっていかなければいけないんだなと、痛感いしました。 実はこ言た環境の問題対策を進めていく上では、大臣仰ったように、他省庁との連係が大変大事になってくる、連係を取って河川、それから土地、それから いったところへ総合的な対策を講じていくという中にありまして、先ほ環境のリーダーシップというお話もございましたけれども。具体的に環境省がこれから行っていく役割をお示しいただけますでしょか。 鈴木大臣 環境行政を進める上で、各関係省庁との関わりのある分野沢山ございます。そういうところに対して、環境省としてやはり言うべきことをしっかり言っていくという姿勢が常に必要と思っております。 先般、沖縄の泡瀬干潟の工事についてこれは内閣府が行うものでありますけれども海上工事が始まったという一つの節目をとらまえましてこれは、異例だという評価もあるわけでございますけれども、環境省として内閣府に対しまして環境アセスメントで守るべき措置ということが示されているんで、これをきちっと守るように、例えば守るためには、具体的な計画をきちっと示して欲しいとかそういうことを言わせてもらったことがございます。そういうような他省庁に対して、他省庁の事業でも環境省としては言うべきことは言っていくということでこれからも努力してまいりたいと思います。 山下議員 どうもありがとうございました。 今回の環境委において、一つでも前に進める施策を実現させて頂くようにお願いしまして、私の質問を終わりにしたいと思います。 段本幸男議員 自民党 各論に入る前に大臣の環境に取り組む姿勢について、一つ質問。大臣は、先ほども発言でも仰っていますように、大きい視点から環境を捉えていかなければならない、したがって一つ一つの環境を大事にすることによって大きくつながっていくだと仰いました。私も全く同感でございます。大変大切なことを仰って、その事を仰った大臣の姿勢に大変敬意を表したいと言う風に思っております。ただ、状況はですね、山下議員も仰っていましたが、大変大変不況下、いろんな事があって環境政策いろんな意味で推進しにくい状況にあるんではないか、言う風に思っております。 が、しかし、あえてこんなときにこそ、今、小泉構造改革が進められていますけれども、まさに21世紀の社会にあった社会システム作り、こういうことが必要と、なっていてそのためにはまた痛みあっても改革をすすめなきゃならない、このいうことが言われていますけれども、先ほど山下議員の質問にも大臣お答えになっていましたけれども、足腰の強い科学立国日本、産業というのを作るんではないかと思うんですね。 その例はクルマが排ガス規制に対応するのに一生懸命やって力強いクルマ製造社会を作ったことに見られるんじゃないか、そこで、あえて一歩突っ込んでさらにこの際、鈴木大臣が環境行政を更にレベルアップするためには、環境税とか、産廃税とか、環境を更にもうひとつ上げるために、これはもう産業界にとっては非常にバッシングなブーイングが起こるかもしれませんが、あえてそういうことを憎まれ役としておやりになることが必要ではないかと思うんですが、その点についてのご意見をお聞かせいただきたい。 鈴木大臣 21世紀の日本の産業のあり方ということを考えますと、やはりこれからは環境というものを無視して、環境に大きく負荷を与えるような産業構造ということは考えられない時代になっていると思います。そういうことを繰り返せば、まさに人類の存立基盤を失うことになるわけでして、そういう発展の仕方はもうあり得ないということになると思います。やはり経済と環境保全ということを両立をしてより環境負荷の少ない産業構造に転換していくというのは段本先生のご指摘のとおりと思います。その中で、環境税、それから産廃税についてのお話がございました。そのうち環境税につきましては、環境省としても、地球温暖化防止のための、これは大変大きな効果のある一つのツールであるとまあそういう風に考えているわけでありまして、先ほど申し上げました、地球温暖化対策推進大綱の中でもこれは、触れているところであります。ご承知のように大綱はそれぞれ年限を切って、ステップ毎に進めるとまあこういうことになっている訳でありますけれども、第一ステップが終了する2004年まででありますけれども、その時に充分その時のガスの排出状況なども勘案してですね、第2ステップの早い段階にいてはこの環境税を導入するという方針を持っているわけでありまして今そのために環境税の勉強会なども進めさせていただいているということであります。 またいくつかの県において導入が進んでいます産廃税でありますけれども、これは廃棄物の発生抑制ですとか減量化につながる効果があると思います。しかしまた一方において、いくつかの県でこうやっておりますのでその県だけに廃棄物が入って来るのをこう排除するというような、そういった一方の働きというのもこれはまた留意すべき点として考えなければならないと、まあそういう風に思っております。いずれにしましても、この産廃税につきましては、全国的な視点に立って、産業廃棄物行政を担当する立場から検討してまいりたいと思っております。 段本議員 いろいろ難しい問題あろうかと思いますが、おそらくこの環境委員会の皆さんはおそらく、そういうことについて皆さん応援団だろうと思います。そういう中に、早めに情報を出して頂いて、我々にも応援団、いろいろ議論をさせていただく機会を与えていただく、こんなふうなことをお願いしておきたいと思います 続いて、地球温暖化防止、特に森林整備の部分についてお伺いたいと思います。温暖化防止の柱として森林整備が3.9%というふうな数字も上げて、柱として挙げられています。しかし単に森林整備がすればいい、予算をこれだけ確保すればいい、こんなことではなくて、せっかく整備を進めても、切った木をその辺で朽ちさせて炭酸ガスを発生させたら何にもならないんでですね、あくまで切った木もきちっと木のストックとして、日本のこの木の文化の中で活かしていくそういったものがあって始めてきちんとした効果ある実効性のある温暖化防止につながっていくんじゃないかと思うんですが、特に木のストックについては林野庁というところがおやりなんだろうと思いますが、ただ単にそれは林野庁のことだから、と各省に預けてしまうんではなしに、やはり地球温暖化については環境省がやるんだという視点を持つならば、あえて自から踏みこんでいってどんどん言うというようなことがないと、先ほど山下議員が仰ったようにこの温暖化防止非常に難しいと思いますね、でいやがられる役を誰かが先導してやっていかないとこのように思うんです。ぜひそういう面の取組みをしっかりやるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。 岡沢地球環境局長 地球温暖化防止のための吸収源対策として、森林整備と併せまして伐採した木材を住宅や公共施設として積極的に利用すること、あるいはまあストックではございませんけれども伐採後に放置された木材をバイオマスエネルギーとして利用するというようなことが大変重要だということは先生ご指の通りと思います。 また今年3月に策定されました地球温暖化対策推進大綱におきましても、こうした施策を推するというふうに述べているところでございます。 環境省としてどうしているかということでございますが、こうした木材利用の推進を図るために、環境省の所管事業であります自然公園等における施設整備におきまして木材利用を積極的に進めると言うことがございます。またこれは政府全体の重点的に調達すべき品目を定めるグリーン調達という枠組みがございますけれども、そのグリーン購入法の中でも、間伐材でできた製品というものを重点的に調達すべき製品と位置付けておりまして、こうした間伐材の利用を促進するための施策を進めているところでございます。 いずれにしても今後とも林野庁等々と、あるいは学校建築などは文部科学省などもございますし、公共事業の場合は国土交通省もございます。そうした関係省庁と連係を強めまして木材製品の利用活用を拡充してまいりたいと考えております。 段本議員 さきごろも千葉で間伐材を利用してそういう視点で頑張っている人と会いました。ぜひ環境省もそういう人をしっかりサポートしていってあげて欲しいと思います。次に、先ごろ環境省と林野庁の方から、「地球環境保全と森林に関する懇談会」報告なるものが出れましたが、これについてお伺いしたいと思いますが、この中に、森林保全についてはNPOとかボランティア、そういう民間の力を大いに借りてやることがいいんじゃないかという風に記述されておりました。私も全く賛成で、できるだけ民の力を活用しながら、環境を進めていくということが大事と思うんですが、しかしこれまでの政府の対応を見ていると、ややもすると自分達が、都合が悪いところへ行くとNPOだ、民間の力だ、こういう風な面が非常に強いようなそんな感じもするんです。これから大事なことは、ただ文字面でNPOと書くんじゃなくて、本当にNPOの人たちが入りやすいような支援、また必要に応じて、ただ単にもう出来あがった計画の実行部隊として手先で使うんでなくて、計画の段階からそういう人の知恵を入れていくことが大事だと思うんですが、そういうことに関する環境省の取組みをお願いします。 住谷総合環境政策局長 ただいま先生ご指摘のように、環境問題に取り組む場合には、住民の方々、NPOの方沢山の方々のご協力の下に進めなければならない、それらの連携を深めて行ければならないとも考えております。中でも、NPOにつきましては柔軟多様な活動ができる、地域密着型な中の実施ができるじゃないかということで期待をしているわけでございます。例えば、里地里山の保全を行っている民間団体、これはすでに1000を超えておりま。またNPO法人を取得している団体で環境保全を目的のひとつにしている団は今年の6月現在で、2054という多くに上っているわけでございます。 のために環境省では今年の4月から、環境保全活動の活性化方策について中央環境審議会に諮問をし、支援の視点づくりや人材作りなどNPO等の活動を支援していくための方策について検討をいただいていた。また各地でNPOの方々のご意見を伺うために、説明会などを開催しております。年内にもこの中間答申を取りまとめいただく予定にしております。いずれにいたしましてもこの答申におきましてはあくまでNPOの自発性、また政策、また計画段階からいろんなNPOの方々がいろんな意見に参画していただくというようなことを基本にいたしまして、このような方策がまとまるんじゃないかとこのように考えております。 段本議員 昨日も自民党の方では、都市と農村の交流の関係でNPOの人たちの意見を聞かせていただく機会がありました。その時に都市側のNPOとそれから農村側迎える側といった例えば森林整備というような迎える側のNPOというようなその、コーディネーター役がないといろんな意味でミスマッチが多いというようなが非常に多いと言っておりました、そういうところも含めて是非今のような姿勢で環境省も応援していただければありがたいと思っております。 次に、産業廃棄物の処理の取組みについて質問をしたいと思います。私は先日9月に、住んでいる千葉県の四街道というところで、産廃の不法投棄の現場を市会議員の皆さんとか地元の人たちと一緒になってですね、見てきました。見たところは、すべて自社処分地でございました。最近特に千葉県では、それまでの産廃処理の大所であった、市原市であるとか、旭市であるとか、そういったところが特に規制が厳しくなってきた、それがお陰で、どうも近場で、四街道市というのは千葉市のすぐ隣なんですけれども、近場で、ちょろちょろっと自社処分地で済ます、こんな風なケースが非常に多くなってきた、こんな風なことを地元の方々は言っておられました。 千葉県では、こういう小口化、悪質化したそういうものに対応するために、あらたに10月から自社処分についても規制すべきということで条例を定められたと聞いております。残念ながら、環境省の幹部の方は、これは法律の罰則を超えるようなことをやって問題じゃないか、とコメントがあったとか伺っていますけれども、私はむしろ、そんなことよりもむしろ法律が遅れている、法律がきちんと自社処分に対して、千葉県においつくようなことをやっていかなければいかんのではないかそういう意識を持つ必要があると思うんですが、そのへんの認識をお聞かせ願いたい。 飯島廃棄物リサイクル対策部長 委員ご指摘のように、千葉県におきまして自社処分と称して廃棄物を放置している事例が多発していることは承知しております。千葉県などの実態によりすと、自社処分と称して不法投棄される産業廃棄物の多くは、建設解体工事に伴う廃棄物でございます。 廃棄物処理法では、自社処分であても、当然適正処理が義務付けられますしまた自社処分と称して他人の産業廃棄物を処理すれば、これは禁止罰則が掛かります。また、建設解体廃棄物については、これまで不法投棄対策を徹底る上で、解体工事に伴う現場とか、それから解体工事の業者の把握が出来なといったそういった問題がございましたけれども、今年の5月30日に施行されました建設リサイクル法によりまして解体工事業者の登録制度、あるいは解体工事の届け出こういったことが行われることになりましたので、解体工事に伴い発生する建設廃棄物については、対策が一層取りやすくなっております。 この新しい建リサイクル法の制度および廃棄物処理法によりまして、解体工事事業者あるいは元請業者の処理責任、これを徹底させることによりまして今後不適正処理が減少していくものと期待しております。また、現在中環審でご審議頂いておりますが、廃棄物リサイクル制度の基本問の中におきまして、今問題であります、自社処分と称する不適正処理行為に対します取り締まり強化の方策を検討頂いているところでございます。いれにいたしましても、国、地方公共団体が一体となりましてこの不適正処理の温床となっている自社処分行為につきまして、不法投棄撲滅に向けて団結して取り組んで参りたいと思っております。 段本議員 法律上はおっしゃったようなことではないかと思うんですが、現地へ行くと実態はなかなか、そう適用しようと思ってもできない部分もある。まあこういう難しいところもあるということを、ぜひ環境省もご承知置きを頂いてですね、今検討されているという中にですね、頭において頂ければありがいと思います。 次に、そういう不法投棄がされたものの原状回復について、私が見て回ったとこでももうみんな頭を悩ましておりました。原状回復、法律上は原因者に負担をさせることになっていますから、当然皆さんも一生懸命原因者を探しながらやらなきゃならないと思うんですが、えてしてそういう業者は、行為が終わったらすぐ会社を倒産していなくなってしまうとかですね、いろんな意味で中々原状回復ができない、そうこうしているうちに、例えば四街道の場なんかは、水道水の半分くらいを地下水に頼っているらしいんですけれも、地下水汚染が進んでいる、こういうふうなことになっていくんじゃないと。 やはり、この原状回復については、いろんな環境を考えると速かに対応すことが非常に大事なんじゃないかと思うんですが、そういう意味からすれ、行政、環境省も含めてあらゆる行政がこれは汚れの部分として長いちょっと横においてできるだけ見ぬ振りをしてやってきた、そういう面も、あるんだから、むしろこれはもう行政の責任でですね、すぐ回復する、こういうな姿勢が必要なんではないか、またそういう放置しておけば行政に帰ってくるという痛みを行政が自ら知ることによってですね、見つけたらすぐこれを防止するような即対応できるような行政の機運、そういうものを醸成するためにもやはりこの際、問題あることは自分らが痛みを感じながらやるべきとと思いますが、大臣このへんぜひご意見を。 鈴木大臣 不法投棄された産業廃棄物でありますけれども段本先生ご承知の通り、今は原因者、行為者でありますとか排出事業者、あるいは関係者がですねその責任を負うということでございます。これを行政が原状回復したらいいんではないかという話でございますが、これを安易に行政に任せますと、なにか、そうした方々の捨て得につながるのではないかとそういうような懸念を持つわけであります。 しかしあの、現実としてそのような状況が目の前に出来しているわけでありますから、どうしてそういうようなことが事態が起こったのかという、充分なる検証はこれは大前提として各都道府県にもして頂かなければならないと、そういうふうに思っているところであります。 現状はご指摘の通り、そうは言っても例えば処理業者というのが倒産をしてしまったり、いなくなってしまっているということがこれ多いわけでありまして、そういう弁済能力がないということで結果として、今でも地域の環境を守るという、そういう責任を有する都道府県が行政代執行を行っているというのが現実の姿であろうかと思いますし、ういう代執行を行うということは、いろいろ今の行政ニーズを犠牲にしてそこにお金や人を回すわでございますので、先生の言われる痛みというのもですねこれは感じていないわけではなくて、やはり今でも痛みというのを充分感じていると思います。 段本議員 大臣おっしゃるように大変難しいところがあるかと思いますが、環境の問題、風ふいたらもうその辺散らばって困っているのもまた事実だろうと思いますので、できるだけ早い対応、どうすればいいかというのをご検討願えればと思います。ただそういう中でですね、平成12年に、廃棄物処理法改正されて、やはりそういうことを防止するために、排出事業者まで責任を問うということをして非常に効果があがったというふうに伺っていますが、その辺の効果の状況と、なお今、それでもこういった問題があるという課題があればその点についてもお教え願いたいと思います。 飯島部長 排出事業者にとりましては廃棄物は不用なものということでございますので、適正な処理費用を負担しようという動機付けがこれまで働いておりません。安価不適正な処理が行われがちで、まあ正直申し上げてこれまでの産業廃棄理の世界というのは、悪貨が良貨を駆逐するという構造にあったと認識しております。こうした状況を打開するために、H12年の廃掃法改正にきまして、自らの排出した産業廃棄物について最終処分がなされるまで確認がなされなければならない、とこういった義務を新たに追加いたしまして、排事業者責任について徹底強化を図っているところでございます。併せまして、これまでの廃棄物行政というのは、言わば指導中心の行だったけですが、法律に基づいて厳正かつ迅速な行政処分を実施する行政への転換ろうということで、法律違反行為に対します行政処分につきまして地方自治法に基づく事務処理基準を環境省から地方自治体に対しまして、昨年の5月に輩出したところでございます。 こうした取組みによりまして、H11年時点で可取り消しなどの行政処分が約70件ございましたが、H12年度にはそれが100件強、さらにH13年度には180件を超えるに到っておりまして、ある意味でこの産業廃棄物の世界の構造改革が実に進行し始めているという認識をしております。環境省としましては、都道府県、警察等の関係各機関と連携しながら、排出事業者責任の一層の徹底図り、さきほど申しました構造改革を進めていきたいと思っておりますし、確実で適正な処理を実施できる優良業者がこの市場の中で優位立てるようにしていくことが大事であろうと思っておりまして、産廃処理に対する国民の信頼を回復できるようにして参りたいと思っております。段本議員ぜひしっかりやっていただきたいと思います。この産廃処理についていままでややもすると日本産業のれの部分として、行政もして企業も、あるいは国民すらもですね目をそらしてきたこんな面がけしてなかったんではないかと思います。現に私が四街道の現場にいたきも、現場のもなかなか少数では手ごわいだろうなという方もおられましたし、またついてきてくれた市会議員の人に言うとですね、真夜中にいやがらせのが一杯入ってくる、死ね、というようなことまで入ってくる、という風に言ってりした。なんで私がその四街道の産廃回るところに呼ばれたんだ、と聞いたらですね、いや、あんたも居てくれた方が、国会議員が居た方が安だ、とこな風なことも言ったり、大変な中でみんな頑張っているということを痛切に感じました。 やはりそういうものに対応していくためには、みんなが力を合わせて総面から監視していく、これが抑止力につながるんではないかとこんな風に思っております。ぜひそういう総合監視体制というものを、すでに取り組んでいると思われますが、本当に実効あるものにするためには、ただ警察に任せるというんじゃなくてそういう支援策を大いにやっていくべきと思いますが、現在、環境省の取っておられる支援策についてお伺いします。 飯島部長 産業廃棄物の不法投棄をなくすため、不法投棄を早期に発見して、規模が小さなうちに迅速な対応を図ることが大変重要だと思います。都道府県におきまして、員ご指摘のような監視体制の充実が図られてきていますが、その増強に限界がございますので、住民と一体となった総合的な監視が有効であると承知ております。 環境省では都道府県に対しまして、費用の援助を行っておりまして、ボランティアによる監視、あるいは夜間の警備会社による監視に対して、財政支援を行っているところでございます。また国におきましても、近年技術開発のしいITを活用して、不法投棄の位置情か、画像情報を迅速に伝達する監視システムの開発を終えたところでして、方の環境対策調査官事務所などに配備して活用して、都道府県にも普及に努めいこうと思いますが都道府県行政、住民そして国が一体となった総合的な体制の整備に努めていきたいと思います。 段議員 ぜひ実効性の上がる、ただお金をつければ終わるというのではなく、実効性の上がる対策を講じてほしい。もうひとつ、産廃処理に関しては、大事なことは、その情報がきちんと住民に伝ってですね、やはり住民が意識をもちまた監視者の一人になる、こういうこと大事なんではないかと思います。すでに、これらの情報公開については環境さんの方もいろんな形で指導されているんでしょうが、また、これからはしろそれを強めるためには環境省が毅然たる態度でやっぱり対処してくんだ、というリードしていく姿勢が非常に大事と思うが今後の姿勢について。 飯島部長 廃の不法投棄をなくすためにはは、従わない違法行為者に対して速やかに行政処分を行うということ、それから措置命令の対象者につきましては、不法投を実行したものだけじゃなく排出事業者などの氏名も積極的に公表することがだと考えております。それから違法な処理業者や違法な排出事業者の氏をしますと、排出事業者が良い業者に委託するというインセンティブが働ます。優良でない処理業者に委託すると排出事業者の責任が追及れといこになりますので、優良な処理業者に委託するというインセンティブが働ことになると思います。 違行為者に関する情報公開が役立つことが不法投棄の防止に役立つことが期待るため、都道府県に関しても、迅速な情報公開を促していきたいと思っておますし、環境省におきましても現在産業廃棄物処理業者の情報をイタネトで国民が見られるようにしておりますが、これを充実させていきたいと思っております。 段本議員 ぜひ、産廃問題が少しでも良くなるように、前向きの姿勢でやっていただきたいと思います。 次に、先ごろ判の出ました東京大気汚染公害訴訟についてお伺いさせていただきたいと思います。公害訴訟の判決出まし、大臣の発言の中にもこのことが書いてありました。ただ、これは単にですね、主として自動車の排ガス規制強化とか、そんなふうなことが書いてありましたが私の感覚では、そういう技術的な一問題に矮小化するんでなしに、むしろ国民生活の中でどういうふうにやっていってそういう問題が起こらないようにするのか、尼崎訴訟でもですね、たしか公害等調整委員会にあっせん申請がなされているようですが、やはりこれからみんなで安易にクルを使わないとか、通勤システムについてもっと公共交通システムを作ろうとか、むしろソフトの対策をきちんとやって、かつハードの対策と一体的になることによってそういうものの再発が防止される。 しかし、ややもするとそれぞれが縦割りといいますか、もらろん連携してはいるんだと思うんですが、そういうですね上手く言っていないから、尼崎でも再びあっせん申請がなされた。こういうことではないかと思います。 あえて、この際環境省が国土交通省だとかに、もう憎まれ役と言わるようにるかもしれないけれどもですね、そういう形のものを発揮していかないとですね、どうも前向きにこの大気汚染訴訟については進まないのではないかと思うんでが、環境省の取り組もうとしておられる姿勢について大臣にお伺いします。 鈴木大臣 道路交通環境対策でありますけれども、これはもう排出ガス規制だけに頼ることなく、総合的な観点からすすめなければならないと思っております。しかし一方において、排出ガス規制というのも一つの大きな柱でございまして、この間の発言の中でも、その事についてふれさせていただいたわけであります。 排出ガス規制は、述べましたけれども、自動車の単体規制の強化であるとか、NOxPM法の円滑な実施、低公害車の普及を進めてまいりますが、ご指摘のように、これだけに矮小化させるのではなしに、やはり総合的な対応というものが必要であろうと思っております。 環境省といたしましても、従来より関係省庁の連絡調整の場としまして、道路交通環境対策関係省庁連絡会議というのを設けておりまして、全国あるいは国道43号線沿線や名古屋南部地区における具体的な政策を取りまとめてきたところでございます。そして先般、東京大気汚染公害訴訟が、東京地裁の判決が出たところでございますが、それを受けまして局長会議を開きまして、東京都における大気汚染軽減のための具体的な方策についても着手をしたところであります。 その中で、今ご指摘がございましたような、交通需要の調整軽減、あるいは公共交通機関の整備、需要促進、交通流の分散円滑化等、国民生活様式にも深く関わる各の方策についても検討を進めてまいりたいと思っております。 段本議員 ぜひぜんそくで本当に困っておられる人がおられるそういう人たちをどうしていかなければいけないのか、そういう視点でですね、実効性のある対策をお願いたいと思います。その他いろいろ、クリーンエネルギー等もお尋ねしたかたんですが、時間の関係でまた次回にさせていただきたいと思いますが。 最後に、環境の問題は、人間は一度便利さを味わうとなかなか後戻りできない、こんなふうな面があるんじゃないか、それが非常に環境対策をやっていく上で難しさをもっているんじゃないかと言う風に感じているんですが、ただ、今年の夏もですね、異常な熱さなんかを見ているとですね、地球温暖化がもはやゆるがせにできない、自分達が動かなきゃいけない、こんなことも一方ではすごく国民は意識しはじめたんではないか、私はそんなふうに思っております。 その中で大臣は、今こそ社会のあり方を持続可能なものに変革していかなけゃいけない、と発言の中でも述べておられます。全くそういうふうに思います。そういうときこそ冒頭でも申し上げました、小泉総理は構造改革をもう是が非でも今やっていかなければならないと進めておられます、ぜひ、いままでのようにですね、景気対策企業の論理でということではなく、国民の視点に立って国民が何を感じて何を議論しようとしているのか、こんなことをあえて求め、場合によっては、総理おっしゃるように国民にも痛みを伴っても、これはやってもらわないいかん、強い姿勢で望む必要があるんではないか、そう思っています。是非、そういう点を留意しながら、大変難しい時ですけれども、これからの21世紀社会作っていく上で環境省リードしようという姿勢が重要と思います、そのことを申し上げて私の質問を終わらせていただきます。 |
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2002年11月8日 国が控訴 東京大気汚染訴訟 | |
10月29日、東京地裁で判決があった東京大気汚染公害第1次訴訟で、自動車排ガスによる健康被害の責任があるとして損害賠償の支払いを命じられた国と首都高公団は11月8日、地裁判決を不服として東京高裁に控訴した。原告側も控訴する見込み。 一方、東京都の石原都知事は「訴訟の対応に労力を割くのではなく、自動車排ガス規制の強化と、被害者救済が、いま本当に必要な行政の使命だ」と述べ、控訴しない方針を出している。 |