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環境総合研究所(東京都目黒区)プレスリリース

川内原発事故時 詳細シミュレーション

中学校等で毎時200〜300μSv

の超高濃度予測

〜地元地権者依頼受け実施〜

掲載月日:2014年4月19日
独立系メディア E−wave Tokyo
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 鹿児島県の川内原発再稼働に関連し、薩摩川内市のPAZ近くに山林などの土地を所有している地元地権者からの依頼により、従来、研究所がシステムを提供してきた地形を考慮した事故時シミュレーションより数10倍も詳細なシミュレーションを業務で行ってきました。

 本日、地形を考慮した詳細な3次元放射生物質の移流、拡散シミュレーションができあがり、薩摩川内市内の各種公共施設位置図とのオーバーレイ(重ね合わせ)分析を行ったところ福島第一原発事故並の原発事故が起きた場合、最も原発に近い中学校では毎時当たり202μSv/hの空間放射線量率が予測されました。風速は2m/s、風向はWSW(西南西)の場合です。

 現在、全国135近くの自治体で策定された原子力防災計画における住民への公的避難の行政介入レベル(OIL2)が20μSv/hであることを考えても、事故直後に中学校で
202μSv/hという値はきわめて重大です。

注)OIL2とは、(運用上の介入レベル(OIL:OperationalIntervention Level))
  において 1週間以内に一時移転すべきレベル

 さらに、原発から約7kmの歯科診療所において294μSv/hが予測されました。この値は、原発施設直近におけるOIL1=500μSv/hに相当するものです。しかも、このような値が住民が日常的に利用する施設で予測されたのは、研究所が行ってきたシミュレーションの中ではじめてのことです。

注)OIL1とは、(運用上の介入レベル(OIL:Operational Intervention Level))
  において 数時間以内に避難すべきレベル

 福島第一原発事故直後、浪江町、飯舘村などで測定された値は50から60μSv/hなので、上記の予測値はきわめて高い値となります。


OIL1,OIL2について
出典)ニセコ町 原子力防災計画 避難・退避編の全体構成(素案)の場合

 下の衛星写真は、川内原発と10万人超の人口を持つ薩摩川内市の市街地の位置関係を示しています。写真では左端に川内原発があり、右側に市街地があります。西風系の場合、薩摩川内市街地がもろに拡散するプリュームを受けることになります。


左端に川内原発があり、右側に市街地が広がる
出典:グーグル・アース


出典:環境総合研究所(東京都目黒区)
   ↑
 川内原発事故時詳細シミュレーションでは、福島第一原発並の事故を想定し16方位のすべてについてさまざまな風速階級で、行っています。
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出典:環境総合研究所(東京都目黒区)


出典:グーグルマップ


出典:グーグルマップ


出典:グーグルマップ


出典:グーグルマップ


出典:グーグルマップ

 なお、下記の外部被曝については1ヶ月間(30日間)中学校及歯科医院ににとどまった場合の積算線量です。実際には避難するのでもっと小さくなると思いますが、今回は詳細なシミュレーションを行っていることから、任意の場所、地点で当初から1ヶ月後、半年後、1年後などの積算線量も推計が可能です。

薩摩川内市立T中学校
●外部被曝(事故直後の線量率) 202 μSv/h
●外部被曝(事故直後30日分の積算) 実効線量 77 mSv
●I-131吸入による内部被曝(1歳・甲状腺) 等価線量 2588 mSv
実効線量 104 mSv(2588×0.04)
●上記の合計 実効線量 181 mSv

■薩摩川内市内M歯科診療所
●外部被曝(事故直後の線量率) 294 μSv/h
●外部被曝(事故直後30日分の積算) 実効線量 111 mSv
●I-131吸入による内部被曝(1歳・甲状腺) 等価線量 3763 mSv
実効線量 151 mSv(3763×0.04)
●上記の合計 実効線量 262 mSv


 このように、川内原発は10万人超の基礎自治体薩摩川内市の西外れに立地しており、薩摩川内市のほぼ全体がPAZ〜UPZに含まれるなど、他の原発立地域にない危険な状況となります。

 本調査は、上述のように地元に土地を所有する地権者からの業務依頼により研究所が業務として実施したものですが、地権者は公開を前提として依頼しているので、従来通り原則、新聞社、テレビ局からのインタビューに対応する所存です。

連絡先:office@eritokyo.jp