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米国は他国の人権を言う前に
まず自国の問題を解決せよ
    -メキシコからの不法移民の子供たちの実情-


池田こみち Komichi Ikeda(環境総合研究所顧問)
 
独立系メディア E-wave Tokyo 2021年6月24日 公開
 

テントの中には何百人もの子供たちがいます。 Photo BBC

 欧米、特に米国、英国、カナダなど主要国はこぞって中国の新疆ウイグル自治区の人権問題を声高に指摘しているが、他国の内政に干渉する以前にまず足下の問題に目を向けて他国に誇れるような対策を講じてからにしてもらいたいものだ。

 2021年6月24日付け英国BBCが報じたところによると、バイデン政権になってからメキシコ国境を不法に越えてくるメキシコや南米からの人々が急増しており、中でも、自国に強制送還されない子供たちの数が4月には3400人にも達し、現在もまだ2000人余が収容されているというのだ。

 単独で国境を越えてきた子供たちは、米国側の収容施設に入れられ、米国内の家族が引き取りに来るのを待っているというのだが、家族との合流は簡単ではなく、待つ間の収容施設の環境は劣悪で、虐待に等しいという。BBCは次のように報じている。

 『中南米からメキシコ国境を越えて米国に入国した子どもたちが、テキサス州の砂漠地帯にある収容施設で劣悪な環境に置かれている状況が、BBCの取材で浮かび上がった。施設内では病気がはびこり、食べ物は安全ではなく、性虐待の報告も出ている。』

 特に保健衛生上の問題が大きく、Covid-19に感染した子供たちが何百人も専用テントに集められて適切な治療も受けていないという。そこでは、コロナ以外にもインフルエンザやその他の感染症も蔓延しているようだ。

 テントにはシラミがはびこって不衛生きわまりないという。そればかりか衣食住も不十分で、不衛生であったり調理が不適切で体を壊し、衣類がなくてシャワーも浴びることが出来ないと子供たちは訴えている。

 さらに酷いことには性的虐待も行われているという報告も有り、女子には妊娠検査キットを渡しているとも話しており、自傷行為や自殺未遂なども多発しているという。BBCの申し入れに対して、テキサス州の施設管理者は施設の公開はしない方針とのことで、次のように述べた;

 『収容施設の運営支援を民間企業に委託している米保健福祉省(HHS)は、透明性を重視していると話すが、BBCが施設を取材するのは認めなかった。

 BBCが取材でつかんだ劣悪な状態について質問すると、個別の回答は避けた。一方で、「清潔で快適な寝場所、食事、トイレ、選択、教育や遊び、医療へのアクセスなど、子どものケアに関して求められている基準は満たしている」とする声明を発表した。』

 先に独立系メディアでは、青山がグアンタナモ刑務所の問題を指摘したが、中南米移民に対する米国政府の対応は、似たようなものだ。

 米国は、自国のこうした恥部に目をつぶって、他国の人権問題をとやかく指摘する差し出がましさ、ダブルスタンダードを平気で主張する厚顔無恥さをまずは自覚して欲しいものだ。


BBCJ:米不法入国の子どもたち、劣悪な環境で生活 関係者らBBCに語るhttps://www.bbc.com/japanese/57577053


◆BBC:'Heartbreaking' conditions in US migrant child camp
 By Hilary Andersson
 BBC News, El Paso, Texas
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-57561760