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 連載1
道徳破綻の怪物、
エプスタインとマックスウェルによる
欧米エリート・エスタブを巻き込んだ
巨大「性犯罪」
 

青山貞一・池田こみち 共編著訳

 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年7月28日
 

写真:ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マックスウェル ©afp /johannes eisele

 
本件は米国で公判中の事件であり、主犯格が拘留中に亡くなったあと、主犯格をほう助してきたと想定される女性が性犯罪目的の未成年者誘拐・斡旋共謀などの容疑で米国で逮捕され、今年11月に公判が予定されている。その意味で、今後の捜査、公判の進展次第で新たな事実、真相が判明する可能性がある。

はじめに


 2021年6月29日明け方、たまたま読んだ英文雑誌の記事は、欧米エリート、エスタブリッシュは、巨額の金を持つとこんなことまでするのかと、驚き呆れる内容だった。それはまさにグローバルな金融資本主義の末路を見る思いであった。

 ただし、これは決して物語ではなく、実際におきたことである。しかし、まだその全容は必ずしも明らかになっていない。おそらく、その理由は、米国の元大統領、英国の王室が関連した事件であることから、司法当局が手を出しにくいという側面があるからだと推察できる。

 この巨大性犯罪の主人公は、ジェフリー・エプスタイン
Jeffrey Edward Epstein)である。彼は米国の投資家だ。しかし、エプスタインは2019年8月10日に罪状「性犯罪」の有罪判決を受けたあと収監中のニューヨーク市マンハッタンのメトロポリタン矯正センターの独房で遺体で発見された。

 エプスタインが有罪判決を受けた「性犯罪」は未成年女性に対する「性的人身売買の罪」、敢て分かり易く言えば、未成年の少女を欧米の富豪なエリート、エスタブリッシュに高額で性的に人身売買させる罪である。

 さらに分かり易く言えば、エプスタインの相棒の女性ギレーヌ・マクスウェル(Ghislaine Maxwell)が欧米の少女を巧みに誘い出し、エプスタイン所有のプライベートジェット機で豪華な自宅や別荘に連れ出し、あらかじめ連絡し待ち受ける富豪なエリート、エスタブリッシュに高額で少女を性交させた罪と言えよう。

ジェ
フリー・エプスタインとは


2019年7月8日のジェフリー・エプスタインの写真

  ジェフリー・エプスタイン(Jeffrey Edward Epstein)は1953年1月20日、ニューヨーク市ブルックリン区で生まれた。死亡は2019年8月10日(66歳没)である。

 エプスタインは有罪判決を受けた後、ニューヨーク、メトロポリタン矯正センターで首を吊って自殺したとされている。これには数々の異論が出されている。

 エプスタインの住居は米国のニューヨーク市だが、フロリダ州パームビーチ、ニューメキシコ州スタンリー、米国領ヴァージン諸島などに別荘があり、パリにも別宅がある。

 エプスタインの国籍は米国である。エプスタインはクーパー・ユニオン、ニューヨーク大学を卒業後、いわゆる投資家として巨万の富得て、ジェフリー・エプスタイン財団のオーナーとなっている。

 エプスタインの罪名は性犯罪、未成年の少女の性的人身売買であり、告発され、公判をまつ間、2019年8月10日、収監されたニューヨーク市マンハッタンのメトロポリタン矯正センターの独房で遺体で発見された。公判では刑罰禁固13か月だったが、ニューヨーク市検視当局は死因を首吊りによる自殺と断定した。

 しかし、エプスタインの弁護士はこれに異議を唱え独自の調査を行う意向を表明し、FBIと米国法省はその死について捜査を行っている。理由は、①自殺警戒監視リストから削除されていたこと、②基本的な刑務所の手続きに違反があったこと、③エプスタインが多くの著名人(その中には大統領経験者2名を含むエリートやエスタブリッシュが含まれる)の醜聞(スキャンダル)を知っていた可能性があったことがある。


ジェフリー・エプスタインの行状の概要

 ジェフリー・エプスタインは生前、米国の投資家で大富豪、ボーイング727のプライベートジェット機(PJ)をもち、大西洋をまたにかけ、成人前の少女を「性的人身売買」し、ニューヨークの豪邸やマイアミの豪華別荘さらにカリブの離島の別荘に呼んで、あるいはPJで少女を連れて行き大富豪やエスタブリッシュ、エリートらとのパーティや乱交パーティに参加させた。またエプスタイン自身が連れてこられた未成年少女相手に性行為におよんでいた。

 そのジェフリー・エプスタインが、富豪と呼ばれるようになったのは、彼がいわゆるヘッジファンドの経営を通じて財を成してのことだ。エプスタインの誕生日には、フランスから3人の12歳の少女がエプスタインの下に連れ込まれ、猥褻な行為をされた後、ヨーロッパにPJで帰国させている。アメリカ領ヴァージン諸島の検察によって提起された訴訟の訴状によると、エプスタインは11歳の少女を人身売買していた。

出典:Sarnoff, Conchita (2019年8月19日). “Jeffrey Epstein, Billionaire Pedophile, Goes Free”. The Daily Beast. 2019年11月24日。
出典:Mindock, Clark (2020年1月15日). “Jeffrey Epstein abused girls as young as 11 on secluded private island, lawsuit says”. インデペンデント. 2020年2月15日。

 ジェフリー・エプスタインの交友関係にはイギリス王室のアンドルー王子や米国大統領経験者ら著名人が多数存在している。エプスタイン逮捕後には、それらエリートやエスタブにも疑念の目が向けられている。

 たとえばビル・クリントンやドナルド・トランプとも親交を持っていた。クリントンは自家用機で若い女性とともに何度もエプスタインの別荘に出入りしているなど。

注)“英王子から米大統領まで、少女性的搾取疑惑のエプスタイン被告に連なる紳士録”. フランス通信社 (2019年8月14日). 2019年8月15日。
注)“英アンドルー王子に少女買春疑惑、英王室は否定”. AFP (2015年1月3日). 2019年7月13日。


 かくして欧米のエリート、エスタブは、いつ自分の名前があがるかに戦々恐々としているわけだが、中心人物のエプスタインは上述のように「獄中自殺」しており、その際、彼の事務所、自宅などが捜索され、鍵の掛かった金庫もあけられている。

 当然、捜索で得られたものの中には、「エプスタイン」の常連や呼ばれてきた人々の名前が入ったリストもあり、その数は1000名規模に及んでいると言う。

 ちなみに、エプスタインはビル・クリントン、ジョージ・ステファノプロス、ドナルド・トランプ、ケイティ・クーリック、ウディ・アレン、ハーヴェイ・ワインスタインなどの著名人とパーティーで同席した。

 さらにエプスタインが交流関係を持つ者にはルパート・マードック、マイケル・ブルームバーグ、リチャード・ブランソン、マイケル・ジャクソン、アレック・ボールドウィン、ケネディ家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家、イスラエル首相エフード・バラック、イギリス首相トニー・ブレア、サウジアラビアの王太子ムハンマド・ビン・サルマーンなどが含まれていた。

 リチャード・ブランソンは最近試験宇宙飛行を成功させた英国のヴァージンアトランティックの富豪である。
 英ブランソン氏による試験宇宙旅行

出典: Jaeger, Max (2019年9月8日). “Jeffrey Epstein, Harvey Weinstein attended party for Prince Andrew's daughter”. New York Post. 2019年11月20日。
出典: Fisher, Marc (2019年7月9日). “Jeffrey Epstein, accused of sexually abusing teenage girls, surrounded himself with influential network of defenders”. The Washington Post
出典: Farrell, Greg (2019年7月9日). “If You Flew Epstein's 'Lolita Express' Private Jet—the Feds Want to Talk to You”. 2019年11月20日。
出典: Sommer, Allison Kaplan (2019年7月7日). “Netanyahu Trades Barbs With Barak Over Epstein Sex Trafficking Scandal”. Haaretz 2019年11月20日。
出典:Stewart, James B. (2019年8月12日). “The Day Jeffrey Epstein Told Me He Had Dirt on Powerful People”. The New York Times. ISSN 0362-4331 2019年11月20日。

 
そのエプスタインは「ロリータ・エクスプレス」とも呼ばれる上述のプライベートジェット機のボーイング727を所有しており、来客と共に年間600時間飛行していたとされている。


ギレーヌ・マクスウェルとは

 本件は当然欧米を巻き込む一大スキャンダルになっている。

 エプスタインには少女を「性的人身売買」した一口で言えば手先、刑法的に言えば「ほう助した」したと疑われている「ギレーヌ・マクスウェル」と言う女性がいる。ギレーヌ・マクスウェルはすでに未成年者誘拐・斡旋共謀の容疑で逮捕されており、この2021年11月から本格的な裁判が始まる。


2007年撮影 Source: Ghislaine Maxwell - I. Maxwell, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=94071617による

 ギレーヌ・マクスウェルの略歴としては、1961年12月25日に生まれており現在59歳である。生まれはフランス、メゾン=ラフィットであり、住居はイギリスのロンドン市、市民権はイギリス、フランス、米国の3つをもっている。学歴はイギリスのオックスフォード大学を卒業し、職業はソーシャライト、実業家である。

 ギレーヌ・マクスウェルは現在ニューヨークに収監されており2021年11月に開かれる公判をまっている。もし、彼女が法廷で次々と事実を述べれば、欧米の多くのエリートやエスタブリッシュメントの名が出てくる可能性もある。このギレーヌ・マクスウェルについては、池田こみちが別途、彼女に関連する論考を訳したので、そちらも読んで欲しい。

 ギレーヌ・マクスウェルの正式名はギレーヌ・ノエル・マリオン・マクスウェル(Ghislaine Noelle Marion Maxwellであり、1961年12月生まれで、英国のソーシャライト
(注参照)で、ロバート・マクスウェルの末子である。1991年父親が死去した後、米国に移り、ジェフリー・エプスタインと懇意になっている 。

 
注)ソーシャライトないしソーシャライツ(Socialite)
  社交界の名士の意。主にアメリカで用いられる用語。


 ギレーヌ・マクスウェルは、2019年にエプスタインが勾留中に自殺した後、行方不明となっていたが、2020年7月2日、性犯罪目的の未成年者誘拐・斡旋共謀などの容疑で逃走先で米国ニューハンプシャー州の連邦捜査局に逮捕された。

 ギレーヌは父ロバート・マクスウェルが最も目を掛けていた子供であったと見なされており、「異常に親密な父娘関係」であったとされる。そのことから、父親の死後、「エプスタイン」に惹かれたのは「エプスタイン」に父親の面影を見たからではないかと思われている。
 

その2へつづく