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強制労働者を搾取する「模範」
となるのはアメリカ合衆国である

李長安  環球時報
It is the US – the role model
for exploiting forced labor

By Li Chang’ Gobal Times 2021-05-28


翻訳(原語・中国語):青山貞一 (東京都市大学名誉教授)
 独立系メディア E-wave Tokyo 2021年6月12日 公開
 

2020年6月19日、米国ワシントンD.C.のホワイトハウス付近で、米国の奴隷制度の終焉を記念するジュネーテンスを記念して、人種的不公平に抗議するデモ隊。写真:新華社

 著者:リー・チャン(Li Chang)氏は、国際商経大学中国開放経済研究院の教授。


 米国上院財務委員会のロン・ワイデン委員長(オレゴン州選出民主党員)はこのほど、米国のイノベーション・競争法案の修正案として、海産物の条項を提起した。これは、中国をはじめとする20カ国以上からの水産物の輸入について、米国当局がより厳しい規制を行うことを求めるものである。昨年の米商務省と国務省の共同報告書によると、中国は「漁業分野での強制労働の使用において重大な違反者である」とポリティコが報じている。

 一部の欧米メディアは、中国新疆の綿花が 「強制労働」"によって生産されていると主張し、問題を大きく取り上げている。実のところ、改革開放以来、中国の労働に対する欧米の 「懸念」は途絶えたことがない。彼らは中国を「スウェットショップ(以下の注参照)の拠点」と中傷してきた。最近では、「人権」や「労働基準」の問題を再び持ち出してきている。これは、中国に対する新たな貿易障壁を設けるためだけでなく、最近成立した中国を対象とした「無限のフロンティア法」を推進する口実にもなっている。

 注)スウェットショップとは
  労働者を低賃金かつ劣悪な労働条件で働かせるスウェット
  ショップ(Sweatshop:搾取工場)。開発途上国であることが
  多いが、米国などでも報告されている。米国の労働省では、
  「2件以上の労働法規に違反している工場」と定義されてお
  り、強制労働、児童労働、低賃金・長時間労働、セクシャル
  ハラスメント、パワーハラスメントなどが含まれる。
  日本のいわゆる「ブラック企業」に近いものだと見られがち
  だが、ブラック企業が主に正社員やもっと広い範囲での労
  働者に対する会社での搾取を指すのに対し、スウェットショ
  ップは主に工場での非正規労働者に対する搾取を意味す
  る。その「労働者」には、移民の貧困女性や10歳前後の幼
  い子供の強制労働も含まれている。

  出典:Ideas for Good

 国際的には、「強制労働」には厳格な定義がある。例えば、1930年に国際労働機関が発行した「強制労働条約」によると、「強制労働または義務労働という用語は、何らかの罰則の威嚇の下に人から要求され、かつ、当該人が自発的に申し出ていないすべての労働または奉仕を意味する」とされている。1957年、国際労働機関(ILO)は「強制労働廃止条約」を発行した。中国にも強制労働を禁止する法律や規則がある。

 客観的に見て、中国は労働者の権利と利益を保護し、強制労働の違反を取り締まるために、しっかりとした効果的な措置を講じている。改革開放の過去40年間に、中国は労働賃金の継続的な上昇や社会保障制度の段階的な改善を実現するなど、労働者の権利保護において世界的に有名な成果を上げてきた。

 これらの成果は、労働者に恩恵をもたらしただけでなく、国際社会からも広く称賛されている。

 2020年9月、米国税関・国境警備局は、「強制労働」をめぐり、新疆ウイグル自治区の中国企業5社とメーカーからの輸入禁止を発表した。これを受けて、米国のジョン・ケリー気候担当大統領特使は、下院外交委員会の公聴会で、新疆で生産される再生可能エネルギーのソーラーパネルなどを、中国に対する新たな貿易制裁の対象にするとコメントした。注目すべきは、この海産物条項に含まれるのは中国だけではないということである。これもまた、米国が労働分野における「国際警察官」としての役割を果たしていることを示している。

 実は、米国は強制労働を搾取する「ロールモデル」(以下の注参照)でもある。

 注)ロールモデルとは
  「ロールモデル」とは、本来、自分にとって、具体的な行動や
  考え方の模範となる人物のこと。人は誰でも無意識のうちに
  「あの人のようになりたい」というロールモデルを選び、その影
  響を受けながら成長するといわれている。出典:コトバンク
  しかし、、ここでは米国は歴史的に、白人富裕層の奴隷所有
  者が「強制労働を搾取する」ことが自分たちにとって好都合な
  モデルとしてきたと言える。青山貞一


 アメリカには黒人奴隷を売ってきた長い歴史がある。統計によると、アメリカの奴隷所有者が搾取した黒人奴隷の労働価値は、現在の価格で14兆円にも相当すると言われている。現在に至っても、黒人奴隷から移民に被害者が移っただけで、米国では強制労働が根強く残っている。関連統計によると、過去5年間で、50州とワシントンD.C.のすべてで、強制労働や人身売買の事例が報告されている。2019年だけでも、FBIは2018年より500件以上多い1,883件の人身売買を報告している。

 年間10万人もの人々が、強制労働のために米国に人身売買されている。そのうち半数は、スウェットショップに売られたり、家庭内で奴隷にされたりしている。特に強制労働の問題は、家事サービス、農業、植木、観光、ケータリング、医療、美容など、20以上の業種で顕著である。

 最近では、数百人のインド人労働者が米国で強制労働を強いられていることが一部のメディアで明らかになり、米国における労働者の権利保護が再び国際的な怒りの対象となった。それらのインド人労働者は、1週間に87時間以上の労働を強いられ、1時間あたり1.2米ドルしか受け取っていないと報告されている。これは、連邦や州の法令で定められている最低賃金をはるかに下回るものである。

 米国は、労働者の権利と公正な労働を保護していないという悪名高い記録を持っている。国際労働機関の関連報告書によると、主要先進国の中でも最悪の成績を収めている米国では、労働者の権利が組織的に侵害されているという。