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英国の原子力発電所から
放射能漏れ -
英国ガーディアン
セラフィールドの安全性問題は、アメリカ、ノルウェー、
アイルランドを含む国々との緊張につながった。

UK nuclear site ‘leaking’ – The Guardian
Safety issues at Sellafield have led to tensions with countries including the US, Norway and Ireland, a reportsays

RT  War in Ukraine #4461 5 December 2023


英語翻訳:池田こみち(環境総合研究所顧問)
E-wave Tokyo 2023年12月6日

セラフィールド核再処理施設の影で草を食む牛たち、2001年11月26日、イギリス、カンブリア州 © Getty Images / Graham Barclay/BWP Media/Getty Images

本文

 ヨーロッパで最も危険な原子力発電所とされるセラフィールドで、巨大な放射性廃棄物サイロからの漏出事故が発生し、施設の安全対策や一般市民や環境への潜在的な危険性への懸念が高まっていると、ガーディアン紙が報じた。

イ ングランド北西部のカンブリア州に位置する2平方マイル(6km四方)の工場は、核兵器計画や発電から出る核廃棄物の保管と廃炉を担当している。以前は1956年から2003年まで原子力発電に使用されていた。

 しかし、ヨーロッパ最大の核施設であるこの数十年前の施設には、アスベストや火災の危険性など、安全上の問題が山積していると同紙は伝えている。さらに懸念されるのは、貯蔵サイロのひび割れで、アメリカ、ノルウェー、アイルランドなど、影響を受ける国々との外交問題になっている。

 有毒な放射性廃棄物を保管するサイロのひとつが損傷し、「潜在的に重大な影響」をもたらす漏えいを引き起こしたと、『ガーディアン』紙は火曜日に同紙が見た公式文書を引用して報じた。 同紙によれば、この放射能漏れは2050年まで続く可能性があり、状況がさらに悪化すれば地下水を汚染する可能性があるという。

 科学者たちは、「現在進行中の放射線量評価」と統計モデルを使って、放射能漏れのリスクを完全に評価しようとしている、と同紙は付け加えた。6月、英国原子力規制庁(ORR)は報告書の中で、放射能漏れによってもたらされるリスクは「合理的に実行可能な限り低い」と述べた。しかし、原子力規制当局は、漏えいが地下水にどの程度の影響を及ぼすのか、また及ぼすとすればどの程度の割合なのか、依然として懸念している。

 セラフィールドや他の原子力発電所を監視する委員会のメンバーである専門家(匿名)は、ガーディアン紙にこう語った:「透明性が脇に置かれているため、『これがどれほど危険なのかは、間違いなく危険であるという以外はわからない。』、と言うよりほかこれ以上のことをわかる人はいいない。」と。

 2001年のEUの報告書は、セラフィールドの事故は、ヨーロッパで約500万人が被曝した1986年のチェルノブイリ事故よりも危険であると警告した。セラフィールドの放射性物質含有量は、当時のチェルノブイリの施設よりもかなり多い。

 本誌が閲覧した外交公電によれば、セラフィールドの崩壊した外観の報道は、同施設の安全基準に対するアメリカの懸念を呼び起こした。また、アイルランドとノルウェーの両政府からの苦情にもつながっている。オスロは、北海を渡る風によって放射性粒子が自国の領土に運ばれる可能性を懸念している。

 核放射線被曝がもたらす健康被害は、線量にもよるが、吐き気や嘔吐から心臓血管疾患やガンまで多岐にわたる。極めて高い被曝線量は、ほとんどの場合、致命的である。