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月山登山

阿部 賢一

2006年10月25日


 東北の秋も急速に深まってきました。

 10月22日日曜日、酒田の登山仲間7人に加わって月山に登山しました。出羽三山神社の大鳥居を通って月山ビジターセンターの手前で、左に登れば出羽三山神社ですが、右へ曲がって月山自動車道路を登り、午前9時前に月山八合目の駐車場(標高約1400m)に到着。

 雲ひとつない快晴、眼下に藤沢修平の世界、「海坂藩」の庄内平野が拡がっています。その向こうは日本海です。

 月山山麓をたどると羽黒山(標高414m)が見えます。昔はこの長い山麓を山伏修行や講で登ってきたのです。

 現在も旧登山道という標識が立っており数ヶ所でじぐざくと登ってくる自動車道路を横切っています。

 八合目小屋、その上の御田ヶ原神社、御田ヶ原参籠所、そして月山八合目中之宮もすでに9月末で閉鎖していました。

 登ってきた月山自動車道も次の日、23日午後4時に閉鎖するとの通知版が掲げられていました。閉鎖一日前という間一髪の好機に恵まれました。

 この道路も明後日から来年6月末までの長い休眠に入ります。

 我々のほかにも幾つかのグループが三々五々登山やこの駐車場のすぐ上の御田原湿原散策に来たようでした。湿原はすでに植物がすべて枯れていましてた。

 月山「羽黒口」をこの八合目から登ります。月山山頂までは約4.6kmの行程です。

 芭蕉、曾良も『奥の細道』の途上、歩いたといわれる由緒ある歴史の古い山岳修験路です。

 午前9時、登山開始、途中8.5合目付近の案内標識柱には強風で出来た自然の造形、氷柱がすでに出来ていました。(写真―1)


 九合目の仏生池小屋は918日にすでに閉鎖していました。

 この小屋の手前には直径1520mの仏生池があります。

 そこに石室の祠がある真名井神社(高い所の水場の神)が祭られており、このお池はその神社の御神体でもあるのです。

 仏生池小屋HPの説明によれば、代々受け継いできている仏生池小屋の人以外は、この池に手を入れることを許されていないということです。

 この水は湧き水でもなく、ましてや水路もなく、夜つゆ、朝つゆがたまったり、地表を水が流れてきてじわじわとたまっているようです。

 サンショウウオが住んでいます。

 仏生池小屋を過ぎて、唯一の難所、30mほどを急登します。

 昔は「行者返し」と呼ばれた難所でした。

 その昔、飲まず食わずで、修業した山伏にとっては羽黒山から山麓の長く続く道を踏みしめてたどる最大の難所であったようですが、現在は道が整備されていたたいしたことはありません。

 仏生池小屋HPの説明によれば、斜面の中腹から右に迂回路があり、そこの祠の中に役行者が祭られているととのことです。

 昔、役行者が月山山頂を目指したときに、蜂子皇子(*出羽三山の開祖(562641)、崇峻天皇第1皇子)に仕える除魔童子と金剛童子が現れて、修行が未熟であるからと押し戻したという伝説があるところです。

 「行者返し」を越えればあとはなだらかな斜面の登りで頂上の月山神社に到着(標高1984m)、石積みで囲まれた月山神社本宮です。

 すでに915日で閉鎖されています。早速参拝、時間は丁度お昼の12時。三時間掛かりました。

 月山には9年前の9月、定年退職を直前にして羽黒山いでは文化会館主催の『山伏修行』二泊三日コースに参加して、お先達を先頭に参加者全員が白装束で、やはり八合目から登頂し、雨に降られて余りの寒さに凍えましたが、この本宮で梅酒をいっぱいいただき参拝して以来の二度目の登頂です。

 山頂からの視界は360度、秋の澄み切った空気の中に山々が紅葉しています。

 山頂からは、姥沢・湯殿山方面へ下るルートが望まれ、湯殿山も望めます。その奥に蔵王方面、左に大朝日岳方面の山並みが続きます。

 月山頂上から月山頂上小屋経由で姥沢ルートを下ると牛首で分かれて姥沢を斜めに下って月山スキー場のリフトに直行する道と、牛首から金姥を経て尾根の先端、姥ヶ岳(1670m)を迂回してリフトを下る道が見えます。リフトは尾根に隠れていて残念ながら月山頂上からは見えません。

 この日も姥沢ルートを登ってくる登山者が多かったのですが、志津温泉から姥沢小屋経由でリフトで十数分のんびり上ってくると(標高約1500m地点)、さあ月山頂上へと急な登りでへばってしまう中高年が多いということです。

 姥沢ルートと分かれて反対側の尾根筋に降りて行くと湯殿山(1504m)の途中から鉄梯子の難所である月光坂を経て湯殿山神社に下る道ともうひとつその手前から田麦川に下ると、豪雪地帯で有名な田麦畑の集落に達します。茅葺屋根、ガブトづくりといわれる3階建ての民家が今でもわずかに残るところです。

いずれのルートも尾根から下る谷は相当に急斜面のようです。


(写真―2 真ん中が湯殿山尾根、左が姥沢方面、右が田麦畑への尾根)

 湯殿山山頂への登山道がないのは、何故かと仲間に聞きましたら、霊場であるので、立ち入らないということでした。

 湯殿山神社は尾根の深い谷の中なので見えませんが、国道112号月山道から分岐して入る湯殿山有料道路が見えました。

 月山頂上小屋は923日で閉鎖。この付近はクロユリの群生地で6から7月中旬が見頃です。

 月山神社の石積壁の中で、持参のおにぎり二個をたべて30分休憩、1230分、往路と同じ道を下りました。

 途中、往路では背後になって振り返るのがもどかしかったのですが、帰路では眼下の前面下に広がる弥陀ヶ原湿原の秋景色を楽しみ、遥か遠くに鳥海山が墨絵のように見えました。(写真―3)



 午後3時、八合目駐車場に戻り、紅葉真っ只中の月山道路を下り、黒牛が放牧されている月山牧場の中の道を通って、午後4時半には酒田に戻り、酒田市内中心部の本町温泉で疲れを癒しました。