エントランスへはここをクリック   

理研、笹井芳樹氏会見と

それへのコメント

青山貞一 Teiichi Aoyama
東京都市大学名誉教授


April 16, 2014
Alternative Media E-wave Tokyo
無断転載禁

 2014年4月16日午後3時から約3時間半、STAP細胞論文の共著者で、理化学研究所の発生・再生科学総合研究センター(CDB)副センター長、笹井芳樹氏が都内で会見した。以下は会見の全容を収録したYouTubeビデオである。出典は thePAGE。


会見する笹井副センター長    出典:IWJ

※笹井氏会見に関連し理研が配布した科学研究面に関する説明資料


会見場 2014年4月16日 場所 東京都内   出典:thePAGE

   会見映像 YouTube   出典:thePAGE

 以下は会見を全部聞いた上での青山貞一のコメントです。

◆会見への会場からの主な質問点

 会見後の質疑応答では、

@笹井氏は、どこまでSTAP現象の出現、STAP細胞の作成などの実験に関与したのか、
A笹井氏は、現象、細胞などを自分の目で確かめたのか、
B専門家はES細胞と見間違えている(混同している)のではないかと言っているが、
C笹井氏はSTAP現象の存在を認めながら、なぜ笹井氏は取り下げに賛成なのか、
D笹井氏はNature論文リバイスに関与していながら理研の処分が甘いのではないか
E笹井氏以外の共著者も名前を連ねていないのに責任をとらないのか
F理化学研究所の上層部を含め、組織管理面で厳しい責任をとらないのか
G小保方氏を理化学研究所に任期付任用したのは誰か
H小保方氏の今後の処遇は? 
Iバカンティ教授が小保方さんにボストンに帰ってきたら、と言っていることについてどう思うか、


など多数の質問がだされました。また細胞実験についての専門的な質問も出されましたが、笹井氏は懇切丁寧に時間が許す限り答えていました。

 ただ、全体を通じ笹井氏の会見では専門用語が多用され、会場に集まった300名近くのマスコミの記者やジャーナリストがどこまで前半の説明を理解したか、できたかは不明であると思います。一方、質問の中には予断や偏見さらには会見の本筋と異なる質問があったのは、残念でした。

 理研という日本を代表する巨大研究所とはいえ、多くの共著者が各段階での実験過程、結果検証、解析などの全体を俯瞰した上でNature論文を相互にチェックしながら執筆すべきであったことからすると、共著者が自分の専門領域に固執し、全体を俯瞰したのは笹井氏だけであったことは問題です。

 理研は以下のような結論を出していますが、果たして以下は妥当なものなのかどうかが問われます? 以下の報告では、小保方氏が「そのようなことを知らなかった」というフレーズが多数ありますが、そのようなことを助言指導、教育するのも若山、笹井両氏の責任であることは紛れもないことです。

 そうでなければ、今後、若手の研究者が世界的に見て重要な発見、発明をしても、彼らを主著者として国際学会やNature誌などへの投稿を行うことは困難となるからです。


「捏造」と判定されたDNA写真、ほぼ実物大(3の部分)
出典:Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency
Haruko Obokata, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P. Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato & Charles A. Vacanti

http://www.nature.com/nature/journal/v505/n7485/full/nature12968.html


                         まとめ

小保方氏
2つの点について研究不正行為があった。

若山、笹井両氏
研究不正行為はなかったが、データの正当性と正確性等について
自ら確認することなく論文投稿に至っており、その責任は重大である

丹羽氏
論文作成の遅い段階でこの研究に参加したものであり、
研究不正行為は認められなかった。

出典:平成26年4月4日修正
研究論文の疑義に関する調査報告書  パワーポイント(理化学研究所)

 さらにその笹井氏でさえ、論文リバイスに際し全体を俯瞰したに過ぎず、各段階での実験過程、結果検証、解析などには直接関与してこなかったことも問題です。 言い方を変えれば、共著者でありながら、ひとたびミスが発見され社会的、国際的な騒動になった途端、自分はその部分には関与していなかったとか、投稿論文の草稿すら読んでいなかったと言いながら、Nature論文の取り下げに賛成しているのは、どうかと思います。

 今回の笹井氏の会見を通じ、それらのことが浮き彫りとなったと言えます。

<参考>理化学研究所の調査尾報告書・ppt 
平成26年3月31日
研究論文の疑義に関する調査報告書 全文 (理化学研究所)
平成26年4月4日修正
研究論文の疑義に関する調査報告書  パワーポイント(理化学研究所)

 さらに、理研は小保方氏を政府の特定研究機関認定先とするべくさんざん利用してきたにもかかわらず、Nature論文問題が勃発すると、手のひらを返したように、当人の言い分、弁明をろくに聞くこと無く、「捏造」「改竄」を一方的に決めつけたことはきわめて問題です。

 これは問題発覚後、野依理事長らがこともあろうか、最初に詫びに行ったのが自民党関係者であることからも分かります。


2014年4月9日の会見中の小保方さんのライブ映像  出典:IWJライブ映像

◆青山貞一の着目点

 ところで私(青山貞一)が笹井会見で最も注目したのは、以下です。

 笹井氏の会見によれば、小保方氏が中心となりNatureにSTAP論文を投稿しますが、その投稿、査読、修正依頼がいつであったかについて詳しく言及されました。小保方氏がNatureにSTAP論文を2回投稿しますが、笹井氏自身は第2回目の投稿後、査読者から修正要求が届いた2013年末から2014年2月までの間に論文修正(リバイスと述べています)を行っていることになります。

 そのリバイスの過程で論文の全体構成、論理構成さらには小保方氏がNature論文で使用する70枚以上の写真や図の選択などについても助言されていたようです。しかし、笹井氏によれば、Natureのリバイスを行う期限が、当初より何と3〜4週間も短くなったと述べられました。

 以下は、会見のビデオから池田こみちがテープ起こししてくれた内容です。

ビデオからテキストおこし(池田こみち)
投稿の時期から考えて2月下旬ごろに出る(掲載される)と思っていたが、Priority Publicaton というカテゴリーにされたために、3〜4週間早く発表されたため、電子バージョンが出るか出ないうちにプリントバージョンがだされてしまったため、準備をする時間がなかった。(プロトコールを整理して発表する時間がなかったということ)

 そのために、丹羽さんがまずは「こうやったら出来ない(再現できない)」という最低限の内容を protocol exchangeに出され、その後、いわば、Nature protocol とでも言うべきものを出そうとしていたやさきに、こういう問題に(状況に)なってしまって、小保方さんが研究から離れてしまった。。。。
 ( )は池田の補足

 実は上記は非常に重要なことを指しています。

 この問題については、別途以下の論考に詳しく書きました。小保方氏の名誉回復のためにも、以下の諸点はきわめて重要な意味を含んでいると思えます。

◆青山貞一:Nature誌査読結果 対応期間の3−4週間短縮疑惑
 
 すなわち、当初の予定がPriority Publicaton というカテゴリーにされたため、修正作業が結果的に3〜4週間短縮され、そのためにいわゆる実験のプロトコル(手順)、小保方氏の言葉で言えばコツやレシピの詳細掲載が困難となったということを意味しています。

 そして、修正作業が結果的に3〜4週間短縮されことにより、小保方氏が後で指摘される「捏造」や「改竄」に自分で気づき、Nature側に、写真、図などの差し替えを要求したが、見切り発車となった可能性も否定できなくなったと推察できます。

 3〜4週間、リバイス時間が大幅に減った主たる理由は、前後の経緯を見て見れば、どう見ても理化学研究所が政府の特定研究機関に認定期限に関係するものであろうことは、容易に推察できます。

 もし、それが事実であるとすれば、Nature論文が見切り発車で刊行されたことにより、小保方氏がその後、国内外から「捏造」「改竄」呼ばわりされるミス(小保方氏の言)の訂正が時間的制約からできなかったことを意味しており、結果として一連の騒動に発展することになったと言えるでしょう。これは上記の会見ビデオの一字一句のトランススクリプトからもうかがえることです。



◆Due Process(適正手続)上の瑕疵はないのか?

 
これも何度となくしてきたことですが、小保方氏がしてきたことに加え、共著者らがしてきたことについて、調査委員会は、それぞれを委員会に呼び、企画、実験、検証、論文執筆、論文リバイスなどの各段階での具体的な関与、その程度、その期間、その記録などについて詳細に聞き取り調査を行うべきです。

 他方、小保方氏自身が何度も抗言し、不服申し立てしているように、問題となった論文の箇所、とりわけ画像、写真などの存在をいつ、小保方氏が気づき、いつ小保方氏以外の共著者らに伝え(あるいは伝えず)、さらに小保方氏らが理研、共著者、Nature編集部などに差し替え要求を出したか、
その期日はいつかなどを徹底調査すべきでしょう。

 もし、その期日は、論文リバイス期間が3−4週間短縮された記事と重なる場合にあっては、Nature編集部にも事実関係を確認しなければなりません。3−4週間のリバイス期間短縮中であることが事実であれば、小保方氏に対する「捏造」「改竄」嫌疑は晴れることになります。

 もとより、理研の委員会は、小保方氏に対し、欠席裁判をしていた可能性が強いと言えます。理研側は悪意の有無などを言っていますが、上記を欠いた調査での「捏造」「改竄」判定であれば、それこそ予断、偏見などをもって結論づけた理研側にこそが悪意があることになるからです。


◆世紀の発明、発見を寄ってたかって毀損してよいのか?

 STAP細胞の発明、発見が事実なら、分子生物学分野やバイオテクノロジー分野で、ガリレオの地動説に類する大発見となります。もちろん、iPS細胞同様、ノーベル賞級の発明、発見となります。

 その発明、発見を若干30歳前の若手研究者がコツコツと実験をもとに行い、それを世界に提起したのが小保方氏のNature論文であると言えます。

 それがどれだけ結論や本質に影響するかは分かりませんが、仮に、いくつかのミスがあったとしても、その原因、理由が私が笹井会見をもとに指摘した諸点にあったとしたら、どうでしょうか?

 今回の一連の問題を引き起こした背景には、理研の利権的対応にこそ大きな原因があったことは間違いありません。そのことを認識、理解せず、権威筋である理研委員会の「捏造」「改竄」という一方的な判定を受け、マスコミやネタミ渦巻く研究者が異常とも思えるバッシング、ハラスメントをすることで、世紀の発明、発見を毀損し、小保方氏の人権、人格を侵害しているとしたらとんでもないことです。