こともあろうか、田中康夫氏党首の「新党日本」が、福島県知事選挙で自民・公明が推薦する森雅子氏(42)を推薦、民主・社民が推薦する佐藤雄平氏(58)に大差で負けた。
「新党日本」の荒井広幸参議院議員が、先の国会の首班指名でも自民党の安倍晋三衆議院議員に一票を入れ、兄弟党(当時)の国民新党から三行半をたたきつけられたばかり。
この件について、私(青山)は田中康夫氏当人と電話で議論した。しかし、「荒井氏がその昔、安倍氏に世話になった」など、まったく理由にならない言い訳に終始していた。
「新党日本」のあまりもの節操のなさ、また党首である田中康夫氏のリーダーシップのなさに、有権者から怒りの声があがっている。当然であろう。
「新党日本」には政党助成法により1億6千万円の政党助成金がすでに渡っている。
国会議員が2名となっている同党で、今後荒井議員が抜けると、来年の参議院選挙を控え、全国区で出馬を狙っている田中康夫氏がさまざまな意味で不利になる、と言う思惑からか、昨今の「新党日本」の支離滅裂状態に、当のご本人は目をつむっている。だが、そんなことが許されるわけがない。
とはいえ、もともと選挙互助会と揶揄されている「新党日本」、その無節操さ、支離滅裂さに選挙民は呆れ果てるばかりだ。
さて、当の田中康夫氏は連日、全国各地からの講演依頼や議員選挙の応援などにひっぱりだこ、のようだ。
しかし、この8月まで田中康夫氏が知事を務めた長野県の県議会が設置した百条委員会から「下水道維持管理業務」の入札、発注にからみ当該業務を業とする当時の後援会幹部に、天の声など手心を加えたのではないかとして県議会から当時の部下(田附保行・元下水道課長、岡部英則元経営戦略局参事)とともに刑事告発されている。
すでにこの件は決着していると思っているひとが多い。しかし、実はいまでも当時の県幹部(部課長級)が長野県警に事情聴取を受けている。きくところによれば、田中氏やその側近も気が気でないようだ。
このところ福島県、和歌山県、名古屋市など下水道や汚泥関連事業などにからむ談合や口利き問題で知事らが連日逮捕、起訴されている。
長野県の一件も、当人のみが知ることであるが、成り行き次第で大変なことになる可能性もないとはいえない。
この種の事件での大阪地検、東京地検のリキの入れようは尋常ではないからだ。福島県の事件では数ヶ月に及ぶ県庁への家宅調査で職員も疲労の色がにじみ出ている。
いずれにしても今回の「新党日本」の一件は、まさに政治家としての田中康夫氏の資質を根底から揺るがす問題であり一大事であると思える。
福島県知事選、佐藤氏が初当選 日本経済新聞