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トキメキ、生き活き
オンリーワンの上勝町@

青山貞一


2007年3月5日


無断転載禁


 今やおばあちゃんたちのツマ・ビジネスで全国的に有名となった徳島県上勝町(かみかつ)。

 上勝町は行くたびに必ず新たな発見がある。

 今まで大学の学生・院生、政策学校一新塾の塾生、田中知事らと何度も上勝町に行っている。大学の公共政策論の授業にも昨年秋から「上勝町の社会実験」を入れている。青山ゼミの学生は夏休みに数人で上勝町にでかけ自分の目でまちをみている。

 今回は環境総合研究所の同僚、池田こみち副所長、鷹取敦調査部長と3人ででかけた。

 今回の訪問目的は、トキメキ、生き活きキラリとひかるオンリーワンのまちづくりを進める上勝町のキーパーソンとの議論と交流である。

 東京、水戸、長野なでも何度もお会いしている笠松上勝町長といつものようにさしでお話しするのも大いに楽しみだ。

 環境系の弁護士100人でつくるゴミ弁連の総会が茨城県水戸であったとき、懇親会の冒頭挨拶で突然歌を歌い出した。これが笠松流である。


いつものように、夜は宿泊先の旅館(月ケ谷温泉)で
笠松町長と延々と議論。これが何よりも宝だ!

飲食費は各自もち(念のため)

 今回の訪問でとりわけ共感を覚えたのは、分野はまったく違うが、上勝町も私たちの環境総合研究所も、前例にとらわれず、失敗を恐れず、リスクを負ってでも、次々に他ではしていない新たなことをしていることだ。

 超がつくほど過疎で高齢化、2000人弱のまちが上勝町だが、行くたびに私たちに、まさにミッション、パッション、アクションを見せつけてくれる!。

 実質2日もない超短期間の滞在だったが、それぞれの場所でキーパースンと会い、大いに議論した。

 やはりここには新たな発見がたくさんある!

 現地での私たちのスケジュールのアレンジを上勝町ゼロウエイスト・アカデミーの松岡夏子さんにお願いした。快く引き受けていただいた松岡さんに多謝。


上勝町の位置(大学の講義で使っているPPTより)


上勝町:こんなところ(大学の講義で使っているPPTより)

 その松岡さんは、神戸大学からデンマーク・オーフスにある大学に留学、上勝町の人材募集に応募。すでに3年が経ったそうだ。その松岡さんは上勝町あげて取り組むゼロ・ウエイスト、ゴミの資源化のいわば政策担当者だ。

 松岡さんは昨年10月、カナダ大使館と環境総合研究所で開催したノバスコシア州から2名の政策マンを呼んでの環境政策講演会にも遠路はるばる参加してくれた。新進気鋭のすばらしい人材だ。

 ....

 徳島駅到着後、松岡夏子さんの先導で上勝町までレンタカーで行く。一本道だが、なにしろ見えるのは山、山、山、である。


とんがったおもしろい山もあった

 上勝町に入ると下の写真が路端に見えてくる。JR徳島駅からは大体、車で40〜50分で上勝町に到着する。今回は岡山まで新幹線、その後、はマリンライナー、うずしおなどJR在来線で行った。

 地元の方に伺うと、大阪、神戸からでている徳島行きの高速バスが安くて速いとのこと。



●株式会社もくさん

 最初に訪問したのは、株式会社もくさん。ここにも何度もおじゃましているが、今回は担当者との議論がメインだ。


もくさんの玄関


もくさんの工場

 上勝町の森林や間伐材と言った資源をさまざま形で活用している会社だ。

 もくさんの企画開発部長、森西さん(下の写真の左端)から1時間ちょっと、杉を中心とした森林資源活用の苦労話を伺う。


株式会社もくさんでの議論。左端が森西さん。
その右が松岡夏子さん。右は池田さん、鷹取さん

 傍目に見ると、ユニークで順風満帆、今流に言えばバイオマス活用の最前線にいると思われるが、どうしてどうして大変だ。

 上勝町の場合、一番大変なのは原材料調達だという。

 すなわち木材がなかなか入手できない。上勝では土地や森林は個人所有が多く、杉、間伐材ともなかなか入手が難しいそうだ。

 とはいえ、杉材を加工したもくさん流の個人住宅資材、木材を活用した土留め、屋内外の家具、果てはストーブ用の蒔きやチップづくりまで、少人数で少人数でがんばっている。

 私は何度も上勝町に来ているが、もくさん関係者からお話を伺うことができたのは今回がはじめてだ。

 日本の森林、林業の行く末が、上勝町でも非常に厳しい事を思い知らされた。


もくさんの工場の現場。山深い場所にある。

 外材が席巻している日本で、どうやって持続可能な森林資源管理をしてゆくかが大きく問われている。

 私は昨年夏まで政策アドバイザーでいた長野県の森林資源管理と対比しながら森西さんのお話しを伺っていた。

 そこでは地域が抱える共通課題と、個別課題を伺うとともに、環境時代における持続的な森林資源管理のあり方を自分なりに考える上で大変意義ある議論になったと思う。

つづく